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2017年02月21日

山田玲司先生の新作『CICADA(シカーダ)』を岡田斗司夫が妄想で分析!

2月12日(日) ニコ生 岡田斗司夫ゼミ のハイライトです。
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今回は2月10日に発売された山田玲司先生の『CICADA(シカーダ)』を分析します。
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 『CICADA(シカーダ)』は山田玲司先生の新作漫画ですね。

 話としては今から150年後の世界で、漫画が禁止されている世界。

 その世界において、ダメな男の子が漫画の中にしかないような恋をするという恋愛ものみたいな話になってるんです。

 そして漫画を現実化させる能力者がいて、その能力がCICADA(シカーダ)なんです。

 僕は今回、山田先生に「この『CICADA(シカーダ)』を、僕の妄想力を全開で解説するぜ?」って言ったんです。

 そしたら山田先生は「どーぞどーぞ!岡田さんの解釈と僕との対決になっても構いません!」って言くれました。

 なので安心して妄想をぶつけます。


 冒頭から「だから俺は貧乏ですぐに折れる、クズ野郎なんだよっ!」という主人公のダメダメなフレーズから始まります。

 いきなり情けないセリフから始まって、それに対して、倒れて死にかけている女の子が「全部 好きよ」と言うんですね。

 それに対して主人公は「だめだ」って思うんです。

 「俺はずっと聞きたかった。どうして君は、こんなに何も無い、俺みたいな男を!」というのが、冒頭。

 これは山田先生らしく無い。

 元々、山田玲司先生の漫画は、どこかに欠点があってコンプレックスがある主人公を置くんですけど、ここまで否定的には描かないんですね。

 これは山田玲司のトリックが仕掛けられていると思うんです。

 山田先生は漫画家で漫画が大好きで、漫画の可能性を信じている。

 だから漫画を読んではいけない時代になっても、漫画を読み続ける夢を見る、恋愛が出来ない時代になっても、恋をする事を信じる男たちの話を描いている。

 そんなふうに考えちゃうじゃないですか?

 それがトリックだと僕は読んでるんですよ。

 冒頭から主人公は「俺はこんなクズ野郎だ!」「なんでそんな僕を好きなんだ?」と言ってるのに、ヒロインは「全部 好きよ」と言う。

 大ゴマを使ってるんだけど、ヒロインの言葉があまりに弱い。

 それに対して主人公は「だめだ」という言葉で返してるんですね。
 この言葉は変なんですよ。

 これはヒロインが予定調和のセリフしか言ってくれてないんですよ。

 主人公がダメな人間で、「こんなダメの俺が、何で好きなの?」って聞いたら、彼が欲しい言葉は「でも好き」とか「全部好き」なんて言葉じゃないんです。

  “なぜ好きなのか?”なんですよ。

 つまり存在理由を問うているのに、彼女は「あなたに存在理由なんて無いわ」って言っちゃってるんですね。

 なので予定調和のセリフしか言ってくれないから「だめだ」と。

 「この期に及んで、この女は本音を吐かない」という意味かもしれないし、「しょせん作られたキャラクターだから、だめだ」という事かも分からない。

 僕が思ったのは、「このヒロインこそが主人公が作った漫画の具現化なんだな」という事。

 このお話の中に出てくる女の子と、冒頭のヒロインは別人。

 現実の女の子との恋愛に絶望した男の子が、二次元の女の子を具現化することに成功した。
 ところがその女の子は予定調和のセリフしか言わない。

 自分の想像力の範囲内のセリフしか言わないので、自分に救いを与えてくれない。
 
 つまり漫画を信じようとするけども、自分が生み出したキャラの言葉では救われないというジレンマに悩んでる。

 そして漫画に絶望しかけながらも信じようとする、山田先生の信仰告白の話じゃないかと思うんですよね(笑)。

 
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otakingex at 08:00コメント│ この記事をクリップ!

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