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2017年02月06日

樋口真嗣のイラストだけでも1万円の価値がある『ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ』

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今回は、このあいだ買った『ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ』(http://amzn.to/2jF4ISV)を紹介します。


 『ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ』を買いました。
 これは定価が9800円だったかな?

 だから税込みで10600円ぐらいするんです。

 箱を開けると、ムチャクチャ大きい本が出てきます。

 一万円の商品のクセに通販のカタログみたいなのが付いてきます(笑)。

 そこから布張りの本が出てきて、シン・ゴジラの台本が出てきます。
 ウワサでは電話帳ぐらいの大きさがあると聞いてたんですけど、そこまでではありません。
 
 色は黒に統一されていて、やりたいことは分かります。

 本の内容ですが、最初は高すぎると思ってたんですよ。
 あまりこういう商売が好きではないので、正直あまり薦めるつもりが無かったんです。

 というのも、プロットや企画書までぜんぶ入ってるんだ。
 それはいいんだけど、そんな物まですべて“いい紙”に刷っちゃってるんだよね。

 だからもう凶器に仕えるぐらいメチャクチャ重い。
 紙が分厚いから、すごく重いんだよ。

 竹谷隆之(たけやたかゆき)さんが作った原型のページとかはいいんだよ。
 だけど、この本の大部分ってインタビューとか文字資料なんだよ。

 そういうのは薄い紙にして軽くしてくれればいいのに、こんな作りにしちゃったから重たくて高くなってるんだよね。

 これはもう作り手のエゴ以外の何モノでもないよ。

 だから「高いよなぁ」って話をするつもりだったんだ。
 だけど、問答無用でいいページがいっぱいあるんだよ。

 たとえば樋口真嗣(ひぐちしんじ)のインタビュー。
 
 「俺がこんなに準備してたのに、庵野さんがすべて破壊しちゃったよ」とか。
 「最初は庵野さんは脚本と編集だけって言ってたのに、どんどん現場に来て俺が決めた事を変えてるよ、どうしてくれるんだ!?」とか。

 そんな泣き言が延々と書かれていて、とても良いんだよ(笑)。

 この本の中でも素晴らしいのが、樋口真嗣が描いたゴジラの火炎放射のイメージ。
 彼は本当に映像イメージが凄いんだよ。

 まず下に向けて熱火炎を放つ。
 熱で地盤が溶けて行く。

 そうすると、ドロドロに溶けた地盤が熱炎によって押し流されていく。
 向こうに地面が溶けて流されていく。

 それによって基礎が緩んだビルは、次々に傾き、沈み込んで後ろに流されていく。
 それで将棋倒しになって行くというイメージが語られているんだ。

 これまでの映画クリエイターが思いついたイメージは、街が炎で燃えるとか、熱線でビルが破壊されるとか切断される止まりだった。

 だけど樋口真嗣がやろうとしてたのは、「ゴジラが下を向いて火炎を吹いたら、どんな事が物理的に起こりえるのか?」を最もカッコいい形で見せようとしたの。

 そのイラストが一枚載っていただけで、この本の一万円の元は取ったと思いました。
 さっきの悲鳴も良かったけどね(笑)。

 
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otakingex at 09:00コメント│ この記事をクリップ!

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