10月2日(日) ニコ生 岡田斗司夫ゼミ のハイライトです。
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今回の話は、2人の美少女がロボットを作った、歴史ヒストリアです。
最初の美少女は、名前をメアリーといいます。
メアリー・ゴドウィン。
パーシー・シェリーというイギリスの貴族が、19世紀始めにいました。
過激な思想家で、オックスフォード大学にいた時のあだ名が
「き○がいシェリー」
パーシー・シェリー君はいとこにフラれて、
やけくそで『無神論の必要性』という同人誌を作ります。
神様なんて信じなくていいんだ、という同人誌。
それをオックスフォードの町で売りまくって、発禁処分。
退学にまでなってしまいました。
パーシー・シェリー君は慰めてくれた友達の妹と、思いつきで結婚してしまいます。
そして次はカトリックの解放について言い出す。
イギリスは「イギリス国教会」という特殊な宗教なんで、カトリックじゃないんですよ。
でも、みんなカトリックを信じよう!
みたいなパンフレットを作って、お尋ね者になってしまう。
その結果、嫁さんのお姉さんと大喧嘩して、ロンドンの貴族ゴドウィンさんという所に転がり込みました。
それが1814年ですね。
1814の19世紀のイギリスってどんなんかというと、産業革命です。
この世の中のすべてが、どんどん変化していく。
なにもかもが動く時代、なんですね。
『ジョジョ』の第一部が19世紀末のロンドンなんです。
荒木飛呂彦は19世紀の世界を、都市部に人口が集中している。
農民でなく労働者という階級が発生した。
発明とか、消費者とか、生産とかでどんどん生まれてきた。
まさに激動の時代であると書いています。
そんな1814年。
パーシー君は、ゴドウィン家の令嬢メアリー・ゴドウィンと恋に落ちます。
メアリーの肖像画があるんですが、この時代に肖像画が残ってる。
つまり、この女の子がどれだけ身分が高かったかわかります。
メアリーは16歳でした。
お父さんに大反対されて、17歳でパーシーとヨーロッパに駆け落ちしてしまいます。
パリ・スイスとうろうろして、ろくでなしと有名な、詩人バイロン男爵と出会います。
バイロン男爵は、その前の年にアナベラって女の人と結婚して、子供ができたのに離婚。
スキャンダルまみれの真っ最中。
ヨーロッパの鼻つまみものだったんですよね。
で、このパーシー君とメアリー、バイロン卿はあっという間に仲良しになりました。
そして、スイスのレマン湖のほとりの別荘でひと夏を過ごします。
当時の最新ニュースは「ボルタの蛙実験」
貴族はゴシップも好きなんですけど、スポーツも好きで、おまけに科学的な話題も好きだったんです。
ボルタっていうフランスの科学者が、蛙の死体に電気を通して、足がぴくんと動くと。
これが、筋肉が電気で動く証拠だと。
人間も実は、微弱な電気で動いてるんじゃないかと。
もう哲学界から教会から、いろんな所がパニックになったんですね。
これ僕らが、小学校か中学校くらいで習う「ボルタの電池実験」の元です。
それともうひとつ評判だったのが、ジャック・ヴォーカーソンというフランスのからくり人形師。
ヴォーカーソンは「水を飲むアヒル」というからくり人形を作りました。
ヨーロッパ中・・ジュネーブ・パリ、ルクセンブルグ、いろんな町で興行したんです。
これすごい精密で評判を呼びました。
これおもしろいんじゃないかと。
バイロン卿とパーシー君とメアリー。この3人はこの夏、すごい話しあいをします。
生物ってみんな機械かもしれない。
電気で死体が生き返るかもしれない。
ということで大盛り上がりになった。
3人はそれぞれ自分の得意な分野。
パーシー君は評論みたいなもの。
バイロン卿はポエム。
メアリーは書いたことないけど小説で、この世界観を、このアイデアを作品にすると約束します。
でも、このあとパーシー君は詩人として成功してしまいます。
そのあとジェノバで特注したヨットに乗って、メアリーのところに帰る最中、船が沈没して死んでしまった。
バイロンはギリシャ独立戦争に参加してですね、戦場で病死してしまします。
結局メアリーのみが、この物語を書きました。
タイトルは『フランケンシュタイン』といいます。
『フランケン・シュタイン』を書き上げたとき、メアリー・シェリーはまだ20歳。
17歳で駆け落ちして、次の夏に話しあったことを2年後に書いたんです。
夫のパーシー君は、貴族で、詩人なんですけど、今パーシー・シェリーの名前を知ってるのは、イギリス文学の研究家だけ。
バイロン卿も僕らはバイロンって人がいて、詩人だったってのを知ってる。
でも具体的に詩を暗唱出来る人、タイトルひとつでも言える人、ほとんどいないんですね。
やっぱり研究者しか知らない。
でもメアリー・シェリーは『フランケンシュタイン』
この一作だけで、夫とその恩人の大貴族のはるかに上をいく有名作をものにしてしまった。
『フランケンシュタイン』の名前を今知らない人はいません。
それと同時に人造人間が、その創造主である人間を憎んで殺すということ。
現在の『ターミネーター』に至るまでの、王道中の王道を書いた。
たったひとりの女の子が17歳の夏に思いついた。
この話からロボットの歴史は始まります。
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