朝日新聞「悩みのるつぼ」からの転載です。
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タイトル「ダイエットに反対されてます」
相談者 中学2年生女子
2010年4月17日(土) 朝日新聞朝刊
2010年4月17日(土) 朝日新聞朝刊
学年一デブな中2の女子です。ダイエットを止めにかかる周囲の大人にうんざりです。
運動と軽い食事制限をしていますが、最近、担任の先生に気付かれ、やめろと警告されました。やめる気はありません。夢をかなえるためにはどうしても減量が必要だからです。
私の夢は、テレビで見ない日はない、ある男性アイドルグループのメンバーと友達になること。そのためにやせて自分も芸能人になりたいんです。
迷惑になると困るので名前は出しませんが、その人の人柄の良さや笑顔のかわいらしさにすごくひかれるし、何事にも一生懸命な姿を尊敬しています。でも今のままの生活では出会うチャンスがありません。
現実を見ろ、イタいんだよと笑われそうですが、私は本気です。その人とかかわりのある人をひがんだりせず、むしろ、太っている事実を受けとめて前向きに行動していると思います。舞台を見てプロの演技や発声を勉強したり、オーディション情報を集めたり、自分の良さを伸ばす努力をしています。
高校を選ぶ条件に芸能活動の許可が出ることも入れています。今日までに体重を4キロ落としました。
夢を追いかけることは本来ならば後押しされるべきことなのに、ダイエットの努力が非難されるのは腑(ふ)に落ちません。
私の考えや、していることは、間違っていますか?
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岡田斗司夫による回答
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あなたが今、挑戦してるのは「目隠しの綱渡り」です。やり遂げた時の報酬は大きいけど、成功の可能性は大きくない。失敗したらかなりダメージを受ける。あなたがどんなに努力しても「運次第」という要素が大きすぎる。だから周囲は反対する。
ダイエットに成功しても芸能界に入れなかったら計画はパー。芸能界に入れても、その彼が結婚しちゃったらやっぱりムダ。
わかりますか? 長い綱渡りの先にたった一つのご褒美しかないギャンブルは、人生を賭けるには危険すぎる。途中に休憩所やご褒美、落ちても大丈夫な命綱や安全ネットが必要です。
ではどうするか?
決意の強さを見せてもダメです。リスクヘッジ、つまり「ダメでも次のプランがある」という戦略をたてましょう。
プランA 芸能人になり、アイドルと友だち。成功確率1%程度。必要な活動……オーディション受験
プランB ヘアメークなどの仕事について20年以上働く。その期間内に彼と知り合いになれる確率は50%程度。必要な活動……高卒後、専門学校へ
プランC ダイエットに成功して、アイドルにちょっと似てる彼氏を作る。成功確率70%程度。必要な活動……高校入学までにダイエット成功
以上の3プランは相互に矛盾していません。AがダメでもBを狙えるし、Cを実現しさらにBやAを狙える構造です。途中段階でご褒美もあるので、やる気維持にもつながります。
さて、やりかたです。自由時間全部を100%として、以下のように配分しましょう。
Aに20%:オーディション応募。
BとCに40%:カッコいい彼氏候補のいる高校へ受験対策。ヘアメークなどの仕事は人脈が大事なので接客バイトなどで経験値を上げる。
Cに40%:中学卒業までにダイエット終了。
今から1年かけて減量するなら、無理のないダイエットなので周囲も反対するはずありません。ダイエットに成功すればCの確率もあがります。受験対策もちゃんとすれば、オーディションに落ちても彼に近づけるチャンスは十分にあります。
この紙面の裏には勝間和代さんが連載しています。彼女の本を読んで、「戦略的思考」を身につけてね。成功を祈る!
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この考察の続きは、“ほぼ”毎日更新している会員制ラウンジ『岡田斗司夫ゼミ室』で問答しています。
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