FREEexなう。

2016年07月29日

「儲け話」の話をしよう。

週刊アスキーにて連載されていたコラム、
岡田斗司夫の ま、金ならあるし」の記事再録です。

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岡田斗司夫の最終ビジネス(1)
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「儲け話」の話をしよう。
「儲け話」というのは、誰がやっても絶対に儲かるビジネスのことだ。

 よくビジネス本や自己啓発本には「こうすれば年収が十倍」とか「必ず成功するノート術」とか書いてある。週アス読者はあんなタワゴトを信じてはいけない。
 ああいう本にあるのは「リスクにチャレンジしろ」とか「勉強に勝る自己投資なし」といった人生訓ばかり。たしかに正論だろうけど、そんな本を出版してる会社の社員や編集者、印刷会社のスタッフが成功したという話など聞いたこともない。
 
「チャンスを見逃さず」
「業界の進歩に目を配り」
「有能なスタッフを集め」
 
とか書いてるけど、そんな条件が揃ったらラーメン屋だって鉄工所だって成功するに決まってる。ようするに「絵に描いたモチ」なのだ。

「儲け話」とは、どんなバカがやろうと、時代とズレてようと、運が悪かろうと、絶対に儲からなければダメだ。でないと儲け話を名乗る資格はない。
 僕はビジネスパーソンが語る株や為替や資産運用には興味がない。ユーロやドルで貯金する、と言う話を聞いてもご苦労様としか思えない。儲け話が嫌いという潔癖症ではない。むしろその逆、そんな程度の低い「儲け話モドキ」では何も感じない不感症なのだ。

 かつて僕は究極の儲け話、いわば「最終ビジネス」をやってしまった。どんなギャンブルよりもスリリングで、どんなビジネスよりも儲かる「最終ビジネス」。その究極の世界を僕は昔、二日間だけ体験した。
 その経験で僕はすっかり経済不感症になってしまった。年収が十倍、百倍と言われても、そんなチンケなレベルでは興味がそそられない。現実の僕は西友で四足千円のお買い得靴下をあさる人間だ。
 でも「最終ビジネス」を知ってるので、IT長者たちの目のくらむような贅沢話も、ドバイの不動産王の成功譚も、自分と同レベルの「貧乏人のプチ成功自慢」にしか聞こえないのだ。

 では「最終ビジネス」とは、いったいなんだろうか?
 そのヒントは「絶対に成功するビジネス」というフレーズにある。「絶対に成功する」というのはつまり「絶対に失敗しない」ということだ。どんなにリーダーが無能でも、どんなに景気が悪くても倒産しないようなビジネスとはなにか?

 考えてみて欲しい。お店や小さな会社は店長や社長個人の才覚やカリスマで保っている。つまり不安定だ。腕のいい職人だって体を壊したら終わり。中小企業は景気が悪くなれば倒産するし、ソニーやトヨタのような大企業でも円相場が急騰すれば経営危機となる。
 
 しかし、国家が破産することはほとんどない。最近アイスランドが国家破産したけど、以前から破産状態と言われたブラジルもまだ保っている。これだけ世界中で経済破綻が起きてるのに、やっと一件だけ。つまり、国家とは「まず倒産しないビジネス」なのだ。

 では「最終ビジネス」とは国家経営の事だろうか?あわてないで欲しい。国家経営よりもさらに安全で、儲かるビジネスがある。それが最終ビジネス、「通貨発行」だ。
 
 かつてロスチャイルド財閥の創始者マイヤー・アムシェル・ロスチャイルドはこう言った。「国家のことは諸君に任せた。議会も首相も法律も、民主制でも君主制でも、君たち政治家の好きにしたまえ。私には通貨を作らせてくれるだけでいい」

 実にスケールのでかい話だ。我々庶民には何の関係もないと思われるかもしれない。でも、僕はやったことがある。それも学生の頃に。
 あの時、僕は確信した。
 
「通貨を発行すると絶対に儲かる」

 リスクはゼロで、リターンは無限大。通貨発行こそ、究極のビジネスなのだ。
 これからの連載数回は、大学生の頃の僕たちが借金まみれのイベント運営を繰り返したあげく、ついに通貨を発行するまでの一部始終を語りたい。

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