FREEexなう。

2014年11月24日

【俺たちのエヴァ終了のおしらせ】貞本版エヴァンゲリオン完結について

ついに貞本義行の漫画版『新世紀エヴァンゲリオン』が完結しましたが?


 いや、満足だね。俺、漫画版のエヴァはすっごい好きだよ。

 最後の最後まで、エヴァが「ギャグもありシリアスもあり」な貞本漫画であることを踏み外さなかった。単なるTVアニメの漫画版ではなく、きちんと貞本漫画になってたところがすごく良かったと思います。


この記事のポイント

  1. エヴァの世界に冬が来るということ
  2. 貞本版エヴァはなによりも“わかりやすい
  3. 俺達のエヴァが終わった

この動画の全長版はクラウドシティ岡田斗司夫のひとり漫画夜話「貞本エヴァ、ついに完結」で絶賛公開中



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┃エヴァの世界に冬が来るということ

 この14巻の表紙を見た時に、ちょっとゾクッとしたんだ。

 エヴァンゲリオンって、実は“冬がない世界”なんだよね。セカンドインパクトが起こって、それによって地球の自転軸が狂ったかなんかで異常気象になった末、永遠の夏の世界になったと。

 そんな常夏の世界のはずなのに、この14巻の表紙に描かれているのはダッフルコートを着たシンジ。こんな絵が出てくるということは、「この世界についに冬が来るんだ!」と。つまり、「終わりかけていた世界がもう一度再生するんだ!」と。

 世界が再生される時の描写っていうと、普通は“春”とか“花”とかを描くものなのに、それをこういうふうに“雪”で見せるというところで、「一つ大人になったシンジたち」っていうのを表現してると思うんですけど。

 まず、この表紙がいいんですよ。

 ところで、今、セブンイレブンでエヴァの一番くじをやってるんですけども。その景品として、もう、いろんなコートを着たエヴァのキャラクターが用意されているんですね。

 これまでエヴァのキャラクター商品を作っていた色んなメーカーも、この手の冬物のキャラクター商品のアイディアもいっぱい出してたそうなんですけど。それを、権利を押さえているところが、「いいや、エヴァの世界には夏しかありません!」っていう理由で、バンバン断ってたそうなんだ。

 きっと、「なんで今になって公式がそんな“大裏切り”をやるんだっ!?」って、それを見たメーカーは悲鳴を上げてると思います(笑)

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┃貞本版エヴァはなによりも“わかりやすい”

 漫画版のエヴァンゲリオンって、書き手である貞本義行の「いろんな考え方はあるだろうけど、こういうことじゃないかな?」って解釈を元に作られていて。もちろん、それが“決定版”ってことはないけれども。僕としては、かなり好きな解釈なんですね。

 エヴァが好きでまだこの漫画版を読んだことがない人がいたら、「アニメ版だけがエヴァだ!」って考えるんじゃなくて、絶対に読んだほうがいいよ。貞本版のエヴァはね、TVアニメ版や劇場版では言ってくれないことを色々と教えてくれるんだ。

 ネタバレにならない程度に話すとすると。例えば、アニメ版ではよくわからない存在として“リリス”とか“リリン”みたいなのがいるじゃん。あるいは、使徒の目的はなんだったのか、とか。で、まとめとか考察をやってるサイトを見たら、「え? そんな設定どこにあったの?」っていうことが書いてあるじゃん。

 そういうのが貞本版の漫画には書いてある。貞本くん自身が、曖昧なものがあんまり好きじゃない人なので、映像作品では語られなかった設定を全部書いてしまってるんだよね。

 だから、メチャクチャよくまとまってる設定紹介になってる。その上、その設定の見せ方も上手くドラマとつながってるから、すごく自然に入ってくるんだ。

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┃俺達のエヴァが終わった

 そんな“わかりやすい貞本版のエヴァ”の最終回はどうなるのか。俺、月刊誌の少年エースの連載の方は追いかけてなかったんで、「どういうふうに最終回を落とすのかな?」って思ってたんだけど。

 それは、この表紙を見たらわかる通り、「一つの世界が終わって、新しい世界が生まれる」という、本当に『新世紀エヴァンゲリオン』の“新世紀”が始まっていたんだ。

 その意味では、最初の劇場版の“アスカの首を絞めて「気持ち悪い」”でもなければ、新劇場版の“ひょっとしたら作ってる庵野秀明すらもどこに行くのかわからないエヴァ”でもなくて。ちゃんと、漫画作品として終わろうとしてたんだよね。

 こういうのを僕は「広げた風呂敷をたたむ」と言うんだけど。ほら、よく話を大きくしていくことを「風呂敷を広げる」って言うじゃん。で、風呂敷を広げるだけならば、ある程度は誰にでもできるんだけど。これを綺麗にたたんで、お話を「ここしかないよなあ」って所に持ってくのって、すごく難しいんだ。貞本版エヴァはね、その風呂敷をすごく上手くたたんでる。

 もちろん、「もっとすごいことも出来たんじゃないか?」って思うところもあるんだけどさ。でも、エヴァのお話自体は既にTV版でも劇場版でも終わってるから。最後「綾波が巨大化して、シンジとどうなるのか、エヴァの中身は~」っていうのは、もう、みんなわかってることじゃん。貞本版の漫画の中では、それを切ない絵とセリフとで、ちゃんと読者の心が収まるところまで落としていた。

 「ああ、終わったんだなあ」って感じがしたな。この20年、俺達の心を震わせて、不安にさせて、ワクワクさせてきたエヴァが、最後に“いいところ”に行った。結局、みんなが求めていた、「こういうのが見たかった!」っていうエヴァになってるんじゃないかと。

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「どんどん読みたくなってきた」(コメント)

 本当はこういう話をしている時に新刊コミックスの広告とかを貼っておくと、アフェリエイト収入が入ってくると思うんだけど。

 まあ、それはどうでもいいや(笑)
 

※番組中、岡田はこう言いましたが、ブログ運営部としましてはやっぱりどうでもよくなかったので、この話を聞いて興味を持った方は広告をポチッていただけると嬉しいです。

この動画の全長版はクラウドシティ岡田斗司夫のひとり漫画夜話「貞本エヴァ、ついに完結」で絶賛公開中

ライター:矢村秋歩(FREEex) / 構成:城谷尚也(アルテイド / FREEex)



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otakingex at 11:00コメント│ この記事をクリップ!

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