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2014年11月10日

【俺たちのガンダム】手塚治虫と富野由悠季にかけられた呪い

手塚治虫は思ったより成功してないマンガ家で富野由悠季はワガママに生ききれない人

この記事のポイント
  1. なぜ、新作ではなく続編なのか?
  2. マンガの神様手塚治虫の苦悩
  3. 手塚治虫と富野由悠季の決定的に違うところ
  4. 富野由悠季の呪縛は世界そのもの

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最近『宇宙戦艦ヤマト』と『機動戦士ガンダム』に関して考えたので話させて。

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┃なぜ、新作ではなく続編なのか?

ガンダムって、僕は「続編は好きじゃない」という話をしているよね。Zガンダムも好きじゃないしガンダムZZも好きじゃないし、∀ガンダムも今やってるガンダムGのレコンギスタも僕は「好きか?」といわれるとそんな好きじゃないんだよね。

∀ガンダムは面白かったんだけども「なんでこれガンダムでするの?」と思っちゃうんだ。

それは、「最初のガンダムが良かったから後は全部だめだ」という意味ではなくて「なんでガンダムなのか?」が後の方になっていけばいくほどわからないわけだよ。

∀ガンダムなんて「これまでのガンダムを黒歴史にする」と言ってるんだけれども、そうじゃなくてガンダム以外のアニメにすればいいわけなんだよな。

でも、ガンダム以外のアニメだったらやっぱりヒットしないわけだよな。ブレンパワードとかがあっても、やっぱり富野さんはガンダムだと思われているからヒットしない。

これって、宇宙戦艦ヤマト2199の問題を知り合いの作家さんと話したんだけども「なんで岡田さんはヤマト2199に関して文句があるの?」と聞かれたんだけど、もちろん宇宙戦艦ヤマトが好きだからというものがあるんだけど「ヤマトでなくてもいいじゃん」と答えちゃうんだよね。

つまり出渕くんがもう一回新しい宇宙戦艦ヤマトをやりたいと思うんなら、宇宙戦艦ヤマトを自分の中で消化してヤマトみたいな別のものをやればいいと思うんだ。

この「なんで続編をやるのかがわからない」という僕の感性っていうのがちょっと変なのかもわからないんだけど、昔機動警察パトレイバーのメカニックデザインやラーゼフォンで監督をやったのに、なんでヤマトをやりたがるのかというのがわからないんだ。

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┃マンガの神様手塚治虫の苦悩

ここで手塚治虫の話をするんだけど、手塚治虫は思ったより成功してないマンガ家なんだよ。マンガでいろいろヒットしたんだけども、社会現象になるほどじゃなかったんだよな。その中で、自分でアニメ化した鉄腕アトムがたまたま大社会現象になって「アトムの手塚治虫」と呼ばれるようになって、どこに行っても「サインください」「アトムを描いてください」と言われて、ついに手塚治虫はアトムが大嫌いになってしまうんだ。

「自分の中で主人公の“悪者を許さないぞ!”とか言ってるような正義の味方のアトムが嫌で嫌でしょうがなくて、アトムが不良化するような話を描いたりして、アトムから過剰に離れようとしたんだけれども、どうやってもアトムから逃れられない」と言っていたんだ。

結果アトムから逃れようとして、いろんなマンガを描いて、いろんなアニメを作ったけど逃れられず、一般の人から見たらマンガ家としてどんどんマイナーになっていき、連載をすべて打ち切られてしまったんだ。

そして、あらゆるサブカルチャーの価値観が大きくズレていった時代。包丁人味兵とかデビルマンが登場し、あしたのジョーが終わる1973年にブラックジャックを始めた。このブラックジャック連載開始が第二期手塚治虫といってもいいと思うんだ。

これは、手塚治虫がマンガ家としてどんどん登って行って、その名声が頂点に達したのは鉄腕アトムを成功させたころ、テレビアニメを成功させたころが第一期で、そのあとは“鉄腕アトム症候群”に苦しんでいて、何を描いても何をやっても鉄腕アトムで成した名声には届かない。

もちろん作品性としては、もっとすごいものを出してるんだけど、どうやっても鉄腕アトムでやったことの名声と比べられてしまう。手塚治虫は、そうやりながら連載をどんどん打ち切られても、現役マンガ家として新作を発表し続けることにこだわったんだよ。

手塚治虫もたぶんアンパンマンのように、アニメを作り続けるとか、藤子・F・不二雄を否定するつもりはないんだけど、ほかのマンガを描きながらもドラえもんをずっと描き続けるみたいなことを鉄腕アトムでしていたら、最終的にもっといいポジションに着けてたかもしれないんだけど、そうじゃない、あくまでも現役マンガ家として、他のマンガ家とマンガの一対一の勝負をしても勝てるマンガ家になりたいと思いながら、散々苦しんで1973年にブラックジャックを描いて、やっとアトムの呪縛から逃れることができたんだ。

マンガとしてのブラックジャックというのは、鉄腕アトムよりもすごいショックを与える作品になったんだ。

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┃手塚治虫と冨野由悠季の決定的に違うところ

宇宙戦艦ヤマトとか機動戦士ガンダムも、続編を作るより手塚治虫が鉄腕アトムの後でブラックジャックを出したように、新しいやつを出し続けるしかないと思うんだよ。「富野監督はガンダムしかやっぱりダメなのか」とか「オーラバトラーがダメだ」とか「ブレインパワードがダメだ」とかと言って安易にガンダムに帰るのではなくて、手塚治虫がブラックジャックを出すまで描き続けたように新作を出し続けることが、虫プロ出身の作家の遺伝子を継ぐ者として必要ではないのかな? 宇宙戦艦ヤマトに関しても同じように思うんだけれどもみなさんいかがでしょうか?

「ガンダムとヤマトの話もう少ししてもいいよ」(コメント)

あそこまでなんだよ。僕の中で組み立ててる理屈では手塚治虫は作家としての意地を通したんだよなと思っていて、富野さんも作家としての意地が人よりもあるはずなんだけど、マンガ家とアニメ監督では職業が違いすぎる。アニメ監督というのは、自分の思い通りにならないんだ。

手塚治虫みたいに印刷所を止めてまでペン入れしてという仕事と、何百人体制でアニメを作って納品日に必ずフィルムを入れなければならない映像作家では、ワガママ度が違いすぎるんだよな。

手塚治虫は「自分一人ぐらい何としても食える」と思うから、売れずにどんなに連載を打ち切られても、自分一人で次々と新作を持ち込むことができて、マンガ家であり続けることにこだわることができた。

いわゆる贅沢で作家としてワガママな人生を生ききることができたんだ。

でも、富野さんはそんな風にワガママに生ききれない人なんだよな。あまりに当たらないものとか失敗作を繰り返しすぎるとチャンスが与えられずフィルムを作る監督という立場にいることができなくなるので、やりきれない部分があるんだろうなと思いました。

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┃富野由悠季の呪縛は世界そのもの

「それでも、続編だから見る」という人を僕は理解できないな、それよりは「富野さんに新しいものを作らせてやれよ」と思う方が僕の中では大きくて、富野さんが新しいアニメを作ったら第一話は必ず見るけど、ガンダムの続編は第一話から見ないという仕切りわけになってくるね。

では、第二話以降はどうなのかというと、一話と二話でまともに面白さが成立できない時点で一段落ちてしまうな。

機動戦士ガンダムから僕が学んだ富野由悠季が証明したことは「一般の人とか子供とか理解力が低い人にもわかるようなドラマを作りながらも、高度なことができるんだ」というもので、一話,二話ではまだだけど、最後まで見ないとわからないというのを言い出したりとかせず「みんなその日その日でちゃんと尻拭いて商売しているんだから、ひとつひとつで評価した方がいいよ」と思っちゃうよ。

もちろん最後まで富野さんに付き合いたい人は付き合ってあげてください。ガンダムに関しては何か言うたびに結構騒ぎになるから、ガンダムを愛する人がいっぱいるのかなとも思うし、ガンダムと自分を乗っけちゃう人とか、ガンダムを利用して何かしたい人というのがすごく多いんだなと実感したな。これもなんか違うんだと思うんだよね。

この話題を「俺は、タツノコプロのゼンダマン以降のヤッターマンシリーズはダメだよ」とか言っても、まったくこんな騒ぎにならないんだろうな。

「ガンダムの市場規模は妖怪ウォッチの倍以上ある」(コメント)

すごいな。妖怪ウォッチと比較してもコンビニに出てる商品数からみて、市場規模からいうとまだガンダムの方が大きいんだろうな。なぜかというとガンダムの方が得ている客層の上限と下限が一番上が僕と同年代の50代半ば、一番下がおそらく30歳ぐらいで、25年ぐらいの幅に影響力があることに対して、妖怪ウォッチが爆発的な人気があっても2年ぐらいの世代に対する幅しかないからで、妖怪ウォッチも今のメガヒットの後で、次々とここから先に小さいヒットを伸ばしていければガンダムクラスの市場規模になるのではないかな。

それでもガンダムの市場規模の半分っていうのはすごいことだよな。


この動画の全長版はクラウドシティ「岡田斗司夫のひとり漫画夜話11月09日号」 / 「《会員限定放送》岡田斗司夫のひとりマンガ夜話 11月9日号 第二部」で絶賛公開中

ライター:城谷尚也(FREEex / アルテイド)


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