FREEexなう。

2014年10月27日

Gのレコンギスタは富野由悠季監督が好きだったら、みんな止めようよ!

「みんな富野さんが好きだから!」(コメント)
そのコメントは見過ごせません! 「富野さんが好きだったら、みんな止めようよ!」って思うんですよ。

この記事のポイント
  1. 偉い人と作家が話すべきこと
  2. ターンA>Gレコ
  3. “富野の味”を守るのは君たちだ!

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 富野由悠季さんのアニメ最新作に『Gのレコンギスタ』っていうのがあるんですけども。先々週の放送で、僕はそれの1話2話の一挙放送を見て「なんじゃこれは! もう見ないわ!」って発言をしたらですね。すっごい怒る人がいてですね(笑)

 いや、「そりゃ怒る人もいるだろうな」とは思うんだけども。よくわからんのは「なんでそんなに怒るの?」と。「君たちにとって、“Gレコ”はそんなに大事だったの?」と。もしそんなに大事だったんならば……まあ、他人が大事にしているものをアレコレ言ったのはスマンとは思うんだけど。

「みんな富野さんが好きだから!」(コメント)

 そのコメントは見過ごせません! 「富野さんが好きだったら、みんな止めようよ!」って思うんですよ。

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┃偉い人と作家が話すべきこと

 今日の番組への質問でこんなのが届きました。

「エヴァの監督の庵野さんとドワンゴ会長の川上さんが対談をしています。彼らがその場で話すべきことはなんでしょう?」

 ――という質問なんですけど。

 この質問に引っ掛けて言うのなら、偉い人と作家とが話すことなんて一つしかないんですよ。「次の俺の作品に協力して/金出して!」しかないんですね。

 企業のトップがそこで作家とかプロデューサーぶって「あなたの作品のこういうところに共感しました~」なんて言ってもしょうがないんですよ。床屋は髪の毛の事を語ればいいし、サッカー選手はサッカーのことを語ればいい。ラーメン屋に人生を語らしちゃダメだし、床屋に女のことを語らせてもしょうがないんです。

 川上さんが語るなら“起業的なこと”。つまり、「こんなアニメだったら金出すよ」「これだったら出さないよ」みたいな。そういう話をして欲しいんですよ、僕としては。庵野も庵野で、そこで“宮崎師匠”みたいに環境問題とかを語ってもしょうがないんですよ。「どんなアニメを作りたいか?」ってことを言ってくれればいいんです。そういうところで、丁々発止の話があればいいと。

 で、『Gのレコンギスタ』について思うのは、「偉いプロデューサーとかは富野さんをなんで止めないんだ!?」ってことなんですよ。

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┃ターンA>Gレコ

 Gのレコンギスタの作品としての良し悪しの話をすると、僕は『ターンAガンダム』を見た時のようなワクワク感がなかったんですよね。

 ターンAをはじめた時の富野さんは、「今までの実績を一旦置いて新しいガンダムを作るぞ! 俺のガンダムはこれなんだ!」っていう、新しいものを作ろうという気概が見えたんだよ。

 でも、富野さんにとっては、それにしても「自分にとっては完全なる成功とはいえなかった」と。ガンダムを作り終えた後、富野さんはいろんな作品を作った。僕は『イデオン』にしても『ダンバイン』にしても『ザブングル』にしても、それなりの成功作だと思ってるんだけど。

 富野さんはさ、「ガンダムの時に自分が抜きん出ていたものがなんだったかというと、ものすごい“当てた”ことだ!」っていうふうに思ってるんだよね。で、「きちんと整った環境さえあれば、もっとすごい大ヒット作を作れるはずだ!」と。だから、「ハリウッドの監督並みの制作環境で自由に作らせてくれ!」っていうことをずっと言い続けてるんですけども。

 だけど、ヒットするかしないかっていうのは、狙って作るとか作家の能力というよりは、その時代の空気のようなものや運みたいなものが大きいから、なかなか狙えるもんじゃあない。でも、富野さんはそれを狙っちゃうわけですよ。

 ターンAガンダムっていうのは、そういった富野さんの“欲”みたいなものと、かつて『未来少年コナン』や『アルプスの少女ハイジ』で宮﨑駿に感じた敗北感をひっくり返すために、出来得る限りの手駒を揃えて挑戦した作品なんだよ。だから、ターンAガンダムはすごくいいんだよね。

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┃“富野の味”を守るのは君たちだ!

 ところで、「Gレコはわけわからん」って俺が言ったら、「それが“富野の味”だろ!?」って言われたんだけど。富野さんの味というのは「いろんな設定やアイディアを盛り込み過ぎて最後がガタガタになる」ことであって、そこまで“味”と言っちゃいけないよ!

 そんなガタガタの状況でも最後はピシっとキマるところがあるんだ。ターンAはピシっとキマったんだよ。聖戦士ダンバインも、最後ワッタワタになりながらもラストのナレーションでキマった。『機動戦士ガンダム』も、アムロが最後に乗り捨てて宇宙に消えていくコアファイターのコクピットから漏れ出た光が十字架に見える、というラストカットで「おお! すべてが繋がった!」っていう快感があるわけだよね。

 つまり「最後、ガタガタになりながらも、ひとつの世界が見える」という。これが富野さんの味であって、第一話からわけわかんないのは味じゃないよ(笑)

 そこまで味だと認めてはいけない! それはね、寿司屋のオヤジをダメにしたり、ラーメン屋のオヤジをダメにする方法であって。僕らは“善き客”として、良い物は「良い!」とすごく言うし、ダメなものは「ダメ!」とちゃんと言わなきゃいけないと思うよ。

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 で、あと、僕がこんだけ言って、もし富野さんがメゲてしまったら。

 そりゃもう、レコンギスタファンの皆さんは、「岡田斗司夫は“老害”です! あんなヤツの言うことはどうでもいいんです! 富野さんには俺達が付いていますから!」って言って支えて欲しいんだけど。……「俺を老害って言うんだったら、富野さんはどうなるんだ?」とは思うんだけどさ(笑)

 Gレコ、俺は相変わらず1話2話しか見てないんだけども。でも、なんか富野さんの“悪い癖”が出てると思ったので、「どうかにゃあ?」と思ってます。


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ライター:矢村秋歩(FREEex)


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otakingex at 08:01コメント│ この記事をクリップ!

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