- 宇宙戦艦ヤマトってどんな話?
- プロットとストーリー
- 『STAR BLAZERS』で大切にしてもらいたいこと
この対談の全長版はクラウドシティと島本和彦×岡田斗司夫対談2「オタキングの逆襲」で絶賛公開中

島本 宇宙戦艦ヤマトが実写になったときにラジオを聞いていたら、アニメのことをあまり知らないパーソナリティーが「『宇宙戦艦ヤマト』が、どんな話なのか説明します。地球が放射能でやられて、宇宙戦艦に乗って遠く離れたイスカンダルという星へ行き、放射能除去装置をもらってくる話」と説明していたの。 おれは、それを聞きながら、何の説明にもなってないだろうと!
岡田 うん。なってない。

┃プロットとストーリー
島本 もし、自分が『宇宙戦艦ヤマト』を簡単に短い時間で説明するとしたらどうなるんだろう。
岡田 最後まで説明しないことだと思うんだ。昔、日本SF会の大叔父貴といわれている、今日泊亜蘭先生という作家がプロットとストーリーの違いを説明していたんだけど、プロットというのは、お話の全部を頭からお尻まで時間順に並べたもので、たとえば桃太郎でいえば「犬、猿、キジを連れて鬼を退治しにいく話」がプロット。「ある村が鬼にいびられて、すべての財宝を毎年根こそぎ持ってかれいて「どうしたらいいんだ」と困っていた。その村の端っこで暮らしているじいさんとばあさんも「来年こそは鬼が来なければ良いな」と思ってて……」と、これがストーリーなんだ。
島本 素晴らしい。

┃『STAR BLAZERS』で大切にしてもらいたいこと
岡田 だからさっきの宇宙戦艦ヤマトのお話の説明もプロットであって、ストーリーは「地球が放射能に侵されているという絶望的な状況の中、一部の可能性にかけてコスモクリーナーDという装置を14万8千光年先にある存在するかも分からないイスカンダルへ取りにいくために、大好きな人たちが死んでいく中、屍を超えて地下都市へ逃げてなお、屈辱にまみれて地球艦隊というのを維持していく」沖田艦長のシーンを説明せずに何を言うか!
島本 そうなんですよ。その時にラジオが終わってから自分だったら短い間にどう説明するか考えて「わかった!『宇宙戦艦ヤマト』はどういう話かというと、1年後に滅亡する地球という状況の中で、万に一の可能性を信じて沈着冷静に行動する男が艦長となって、宇宙に出発する話」となったの。ここが大切。
岡田 そうでしょ。戦艦ヤマトもストーリーも大事じゃなくて、どんなやつが何にがんばるのかを言わないと熱い思いが伝わらないから、ぼくらが何に感動したのかを言わないと駄目なのに、なんで流れを説明するんだよってなるんだよ。
この対談の全長版はクラウドシティと島本和彦×岡田斗司夫対談2「オタキングの逆襲」で絶賛公開中
ライター:城谷尚也(FREEex / アルテイド)
「アオイホノオの全てを語る」
開催決定!ついに舞台は関西へ!!
あんなチャーミングな島本先生見られるのは、この対談だけ!