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2014年08月29日

【ヱヴァンゲリヲン】夏期集中講座二限目「碇ゲンドウの誤算」

この記事のポイント
  1. 頭の良い碇司令は幸せか?
  2. 賢人のネガティブスパイラル
  3. ここぞというときには“バカ”力を発揮しろ!

2012年9月8日京大フェス講演より
この講演の全長版はクラウドシティ岡田斗司夫講演「エヴァの碇司令が不幸に見えるのはナゼか?」で絶賛公開中!!


「頭のいい人はなぜ不幸なのか?」という問題提起はですね、この講演は最初「京都大学の学生は、頭はいいんですけれど何かいろいろ問題があるんです。どういうふうにすればいいでしょうか?」と聞かれて「京大生にモノ申す」というタイトルで依頼を受けたんですけど、ぼくには京大生の知り合いがいなかったのでイメージできなかったんですね。紹介の時に言われたんですけど、ぼくはオタクで、若い頃にアニメ制作会社のGAINAXを設立して経営していたんですけど、GAINAXの代表作に『新世紀エヴァンゲリオン』というのがあります。


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┃頭の良い碇司令は幸せか?

そこに登場する碇(いかり)司令というおじさんがいます。主人公・碇シンジ君という14歳の世をすねた少年のお父さんで、『エヴァンゲリオン』の中に出て来る組織の中で一番偉い人です。彼は元京都大学の学生で、偉くなって最後には地球滅亡の危機を救う組織のリーダーまでやっているんですけど、ぼくには彼が不幸でかわいそうに見えるんですよね。

ただ、本当に不幸なのかどうかというのは、その人の持っているバックグラウンドによっても変わるんです。例えば、オバマの前の前大統領だった二代目のジョージ・ブッシュという人がいます。彼がどのような人かというと、ある人に言わせれば「世界の支配者で、残酷で、自分のことしか考えていない帝王だ」という人がいます。別の人に言わせれば「いや違う。彼は気の弱い、ただ単に父親の影に脅かされた、コンプレックスの強い人間だ」と言うんですね。このふたつの意見の差はなにかというと知性と偏見なんですよ。偏見が強くなると、彼がアメリカの大統領というだけで「支配者で偉ぶっていて、すごく嫌なやつに違いない」というふうに自動的に考えてしまい、知性が入ると、その意見を知った上で「本当だろうか、どうだろうか」と考えて、いろんな方向から知識を仕入れた上で自分なりの見解というのを組み立てて持論を展開する。つまり、知性と偏見との間にあるのは「ステップ差」でしかなく、偏見というのは知性の手抜きなんですよ。

ここで、いつもニヤリとして「計画通り」とつぶやいている碇司令を偏見でみてみると「かっこよくて、冷血漢で、天才肌で、周りの人間は誰も信用しない」となるんですけれども「そんな人間が本当に存在できるのか」と知性を入れて考えてみると「周りに誰も相談できる相手がいなくて、実の息子とも関係がうまくいってない、かわいそうな父親だ」ということが見えてくるんです。アニメの中に用意されているような、準備されたフォーマットで見ていると天才に見えるんですけど、多方面から光を当ててみると彼の意外な一面が見えてくるんですね。

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┃賢人のネガティブスパイラル

ぼくが「頭のいい人はなぜ不幸なのか?」というテーマを語ろうと思ったのは、碇司令やこのアニメの中の人物に限らず、何でみんな頭が良くなろうとするのかよく分からないんですね。それどころか、ぼくから見たら頭がいい人は不幸なんです。 碇司令は、巨大ロボットを作る最中の事故で奥さんを亡くして、そのことがトラウマになりいろいろあったみたいなんですが、彼自身が怖かったり、彼のために徹夜してくれる人があまりいなくて、どの角度から見ても人望がないんですよ。年がら年中、ゼーレという自分の上役の変な組織への言い訳に一日の大半を使っているんですね。

彼は何かあると決め台詞に「計画通りだ」と言うんですけど、こんなセリフを言う人は見えている範囲が狭いんですよ。頭の良い人間というのは「世の中はどんなに自分の思い通りにならないのか」「自分に分からないことが多いのか」「他人が自分の思い通りに動かないのか」ということを知っているんです。それどころか「自分自身がどんなに自分の思う通りに考えたり、行動してくれないのか」ということも自覚できてしまって、頭が良いということでネガティブ思考になっていくんですね。

ところが、ぼくの講演も含めて、世の中の「うまい事やってまっせ!」みたいな人間の講演を聞いていると、自分でもやれそうな気がして元気が出てくるんですね。勝間和代さんの本もそうで読むとやる気が出てきて、なんかやれそうな気がしてくる。たとえ「人生の成功には理由がなくて、失敗には理由がある!」ということが真実だとしても、この真実は悲しいことにぼくらの心を明るくしてくれないんです。同じように「頭のいい人はなぜ不幸なのか?」というこのテーゼもぼくらを全然楽しくしてくれないんですよね。

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┃ここぞというときには“バカ”力を発揮しろ!

ぼくらが何かにチャレンジをして成功するためには、元気だけでもいいから動機付けが必要なんです。その元気を出すために嘘でもいいから成功者の話を聞いて「成功には法則があるんだ」と思い込んだり「自分もそれを身につけたら出来るんじゃないか」と頭を悪くして思いこむことが大事なんです。頭が良いと「この世の中も自分自身も思い通りにならない」ということが分かってしまって、一日の大半がつらくてしょうがないという、ネガティブスパイラルになってしまうんですよ。

これは普段の生活ではいいんだけど、ここぞという時は頭のレベルを下げて「私は好きだからあの人を信じてみるの!」とか「原発を止めなければいけない!」と、自分自身の頭が悪い結論を出して、やる気をものすごく出す。このやる気のオンオフを頭の良さのレベルで出したりして制御するんですね。

でも、頭の悪い結論は、やる気や勇気を出すためであっても、自分の信じていることを本気で信じないようしてください。彼のことはちゃんと裏で調査した方がいいし、原発を本当に止めて大丈夫かどうかも裏で考えた方がいいです。 ここぞというときに力を出す時は、あえて頭を悪くしてみてください。

ライター:城谷尚也(FREEex / アルテイド)

2012年9月8日京大フェス講演より
この講演の全長版はクラウドシティ岡田斗司夫講演「エヴァの碇司令が不幸に見えるのはナゼか?」で絶賛公開中!!




otakingex at 18:00コメント│ この記事をクリップ!
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