恋愛戦略は、ちょっとお休み。どうしても気になったので「3Dプリンター」の話をします。
インクジェットプリンターは、微細なインク粒子を紙に吹き付けて印刷します。三原色と黒のインクを、何度も紙を往復させて吹き付けると、カラー印刷ができます。
これと同じ原理で、微細なプラスチック粒子を吹き付け、それを何百層も何万層も重ねると・・・どんな複雑な立体でも、印刷するように成形できてしまいます。
これが3Dプリンターの原理です。
2014/1/21日号掲載
この3Dプリンター、「21世紀最大の発明」と言われています。
オバマ大統領も「モノ作りアメリカ復権を担う技術」と演説し、全米の公立学校に3Dプリンター設置と教育を指示しました。
すると、たちまちあらゆる産業で3Dプリンターが応用されました。
・食品・料理
NASAはできたてピザを3Dプリンターで「印刷」に成功。
・工業
ゼネラルエレクトリックスはジェット機のパーツを3Dプリンターで製造開始。3Dプリンターで作られた自動車、あと二年で公道を走る。
・建築
一戸建てを20時間で超大型3Dプリンターで作る計画が進行中。
ビルや橋など巨大建造物を作る建材にも3Dプリンターの応用進む。
・生物
アイオワ大は3Dプリンターで人間の「臓器」出力を研究。
DNAを印刷する可能性をアメリカの分子生物学者が示唆。
・・・と無限に応用範囲は拡がります。
素材もプラスチックだけでなく、金属や半導体素子も可能です。つまり機械部品や筐体も成形が可能なんです。電子回路に必要なプリント基板も、それどころか集積回路だって、いまや「印刷」されています。近い将来、スマホや腕時計などが丸々すべて「印刷」されるでしょう。
では、この行き着く果てはどこでしょう?
建物だけでなく、道路や港や鉄道まですべて「印刷」する、超巨大な3Dプリンターの登場?
DNAや細胞を印刷し、ついには「人間」まで出力する生物3Dプリンター?
いいえ。そういうセンセーショナルに聞こえる発明よりも、ずっと地味で、おそらく数年以内に可能な技術に、恐るべきゴールが見えています。
「3Dプリンターを作れる3Dプリンターの登場」
これが究極のゴールです。言い換えるなら「自己複製できるマシンの誕生」。繁殖できるロボットの誕生です。
次回に続きます。
<<前回、「モテる戦略」3はこちら
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