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2013年11月27日

【特集】ゼネプロ繁盛記「ロスでおもちゃの違法大量買いつけ」の巻

ま金2写真 「あんた達、ここで買った物を日本で売るダロ?」。観光ビザで入国した僕たちは、気まずそうに目を合わせた。「こっちの国で安く買って、あっちで高く売ル。みんな同じヨ。そうやって商売を大きくすル。そしたら、またうちで泊まればイイ」。

 オヤジの僕よりも下手くそな英語は、見知らぬ異国の治安の悪い地区で、それでも安ホテルオーナーとして一国一城の主として成功した男の言葉だった。
岡田斗司夫の「ま、金ならあるし」第2集 [Kindle版]より

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週刊アスキー の人気連載『ま、金ならあるし』が、電子書籍になりました。

現在、第1集から第3集までを刊行。今後も続々と刊行予定です。

一冊に25回、約半年分を収録。
99円で、一気に読める爽快感をお楽しみください!

ま金2表紙今回紹介する第2集、お勧めは『アメリカに買い出しにいった話』という全8回のシリーズです。(第2集には、6回目までを収録)

大阪の片隅で『世界初のSF専門店・ゼネラルプロダクツ』を開店した岡田斗司夫。
3か月でつぶれるというまわりの大人たちの予想を裏切り、大盛況。
あっという間に商品がなくなり、増産はおいつかず、店内はからっぽの棚と白い壁ばかりが目立つことに・・・

一念発起。「何でもある」という夢のアメリカ・ハリウッドに、珍しいグッズやフィギュアを購入すべく、二泊4日の買い出し・弾丸旅行に出かけることになります。
相棒の武田とあやしげな激安ホテルに泊まり、商品求めてハリウッドを右往左往。聞いたこともないおもちゃ屋をめざして、レンタカーで慣れない道をひた走る。
二人の大冒険の結末はいかに?!

まずは、ハイライトをどうぞ!

ライター:のぞき見のミホコ 

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 岡田斗司夫の「ま、金ならあるし」第2集 [Kindle版]より

時差ぼけと興奮でろくに眠れやしなかった。
SFグッズ買い出し旅行の2日目、明日はもう出国だ
。焦って起き出したはいいけど、アメリカの店の朝は遅い。
遅いだけでなく時間にルーズだ。
11時前になっても、ハリウッド大通りのシャッターは閉じていた。
 
とりあえずなにか食べよう。
”毎日、24時間、2ドル98セントの朝食を出します”のポスターに武田さんと顔を見合わせて笑った。
「朝ご飯ちゃうやん」。
 
顔よりでかいバターミルクパンケーキ、バターたっぷりのワッフル。
コーンビーフとジャガイモを炒めただけでなぜあんなに美味しいのか不思議なホームポテト。
とびきり新鮮なミルクと卵で作ったオムレツ。
薄くてパリパリに焼き上げたトーストとベーコン……。
僕はいまだに、世界で一番美味しい朝食はアメリカのダイナーで食べる2ドル98セントの朝食だと信じてる。
 

元気を取り戻した僕たちは大通りの店を片っ端からまわった。
しかしHさんに教えてもらったオモチャ屋は手品専門店で、映画の小道具を売ってるはずの店はタロットカードを売ってるだけだった。
 
「やばいな……」
 
僕たちは焦りだした。すでに午後2時。早い店は4時半に閉店する。
これまでの戦果は昨日買ったポスターだけだ。
明日の出国時間は11時、つまり買い出しのチャンスはどう考えてもあと数時間しかない。
日本を出るときに持ち出した1200ドル、たった30万円の軍資金すら使い切らずにタイムアウトになるのだろうか。
このまま、ろくに買う商品が無かったら。
安売り航空券代も安ホテル代も、単なる無駄な出費になってしまう。
 

「トイザらス、行ってみるか?」
武田さんがつぶやいた。
正直、気が進まなかった。
ハリウッド大通りなら正確な住所などわからなくても歩いて探しまわれる。
しかし”バンナイズをまっすぐ行ったところ”としかわからない。
だいたい、バンナイズってなんだよ!
 
 
万策尽きた僕たちは、収容所みたいなホテルのアジア系オーナーに尋ねた。
「バンナイズはロスの北部を走る道路。
テキサコの地図があるからあげる。
タダでいいヨ」
え! 
この強欲オヤジがタダでものをくれる? 
「あんた達、ここで買った物を日本で売るダロ?」。
観光ビザで入国した僕たちは、気まずそうに目を合わせた。

「こっちの国で安く買って、あっちで高く売ル。みんな同じヨ。そうやって商売を大きくすル。そしたら、またうちで泊まればイイ」。
 
オヤジの僕よりも下手くそな英語は、見知らぬ異国の治安の悪い地区で、それでも安ホテルオーナーとして一国一城の主として成功した男の言葉だった。
 
ハーツで借りたフォードのステーションワゴンに乗り込む。
アメ車特有のだだっ広いキャビンを見渡して決心した。
このキャビン一杯に玩具を買い込んで帰国する。
そして売って売って売りまくって、儲けた金でまたこのホテルに来るんだ!

 

ステーションワゴンで夕暮れのバンナイズ通りをぶっ飛ばす。
どこまでも続く街路樹と住宅と、そして荒野。
あの地平線に陽が落ちるまでに、店に着けるのだろうか?
 
”なんでもアルで!”とHさんが請け合った店。
摩訶不思議な響きをもつ”トイザらス”というオモチャ屋。
奇跡のオモチャ屋を探して、僕たちはロサンゼルスを北上した。

第48回 散財その46 アメリカに買い出しに行った話②

つづく





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otakingex at 07:00コメント│ この記事をクリップ!

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