なにがきみのしあわせ♪
なにをしてよ~ろこぶ♪
わからないままおわる♪
そんなのはい~やだ!♪
やなせたかし、すごいですよね、幼稚園児にこんな歌きかせているんですよ。お釈迦さまが聞いたら怒りそうな、なぜそんな「業」を深くするような真似を……。
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岡田斗司夫哲学のシンボルとしてたびたび登場する『アンパンマン・マーチ』。
この歌の作詞は、原作者やなせたかし氏です。
子供の歌だと聞き流しがちですが、すごく深い歌詞ですよね。
第二回「やなせたかし追悼特集」では、岡田斗司夫の著作ではなく、トークの中から、『アンパンマンマーチ』に関する語りを抜粋してご紹介します。
新宿・ロフトプラスワンの人気トークショー・シリーズ『岡田斗司夫のひとり夜話』。
2009年12月18日におこなわれた第四回講演は、サブタイトルが『今夜、人生の意味を教えましょう』。
そこで語られたアンパンマンマーチとは?
人間の本質とは何か。
これを読みながらしみじみ考えてみるのも、秋の夜長にはふさわしいかもしれません。
のぞき見のミホコ
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では、第一段階。
人間は、なぜ人間なんだろう、と。
動物と違うとよく言われているけど、動物と全然違うはずはないですよね。
ただ動物と同じにできない部分が多すぎる。
例えば、動物は「孤独」を怖がらないんです。
例えば、動物は「孤独」を怖がらないんです。
『アンパンマン』の歌が成立しない。
『アンパンマン』の歌、おれ好きなんですけどね。
なにがきみのしあわせ♪
なにをしてよ~ろこぶ♪
わからないままおわる♪
そんなのはい~やだ!♪
やなせたかし、すごいですよね。幼稚園児にこんな歌きかせているんですよ。
お釈迦さまが聞いたら怒りそうな、なぜそんな業を深くするような真似を……。
「わからないままおわる、そんなのはいやだ」
「わからないままの死」「理解しあえないままの死」「孤独な死」を恐れる。
「わからないままの死」「理解しあえないままの死」「孤独な死」を恐れる。
そういう歌を幼稚園児に歌わせるという、恐ろしい主題歌なんですけど。
なにが相手の幸せで、なにをして喜ぶのかわからないまま終わる
わからないまま死ぬのがなぜ嫌なのかっていうと、人間がもっとも恐れるのは孤独だからです。
わからないまま死ぬのがなぜ嫌なのかっていうと、人間がもっとも恐れるのは孤独だからです。
「孤独な死」「意味のない人生」というのを人間はものすごく嫌がります。
「孤独な死」とか「意味のない人生」を嫌がるあまり、愛する人とか祖国のために、喜んで死んじゃったりします。
自分の子供の為だったら、自分の命を削ってもいいと思う。
自分の子どもに手術を受けさせる為だったら、自分の腎臓一個ぐらい喜んで売っぱらう。
そういう親なんていっくらでもいます。
自分の子どもに手術を受けさせる為だったら、自分の腎臓一個ぐらい喜んで売っぱらう。
そういう親なんていっくらでもいます。
そうじゃなくても、日常的に子供にいいもの食べさせるために無理したり、ちょっといい服を着せるために寝る時間削ってパートしているお母さんかなんて、いくらでもいるんですよ。
僕らは自己犠牲がなんか平気でできるんですね。
「それは本能ではないか」とよく言われるんですけども、違う。
本能じゃない。
本能じゃない。
なぜかっていうと、本能は壊れているからですね。
動物が子どもの為に死ねるっていうのは、ある育児期間の、ある段階の特有な現象です。
それも生命の危険にさらされた場合とか、特殊な場合に限られるんですね。
それも生命の危険にさらされた場合とか、特殊な場合に限られるんですね。
そうじゃなくて、僕らは自分の子どものかわいさを守る為とか、無垢な心を守る為とか、そういった抽象的なことの為に、平気で自分の財産や生命を投げ出すことができるのです。
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