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2013年10月07日

岡田斗司夫の近未来日記 274回「ホリエモン計画」11

2013y10m02d_005059381 僕がアニメ「悪の華」に感じる違和感、それは「声優さんの演技」と「自然志向の俳優演技をロトスコープで拾った作画」のズレであった。・・・と、ここまでが前回までの話。

 さて、僕が考えたのは「ロトスコープ技法を使って、もっと声優さんの声を活かしたアニメが作れないか?」ということ。

 2013/11/05日増刊号掲載
2013y10m02d_005013655 一般的に言う「声優さんを活かしたアニメ」は僕の考えてるのとは違う。普通の意味は「声優さんの個性に合わせたキャラ設定する」というカンジだろうか。もちろんこれはこれで魅力的なんだけど、せっかくロトスコープを利用するなら、もう一段進めたい。

 以前にバラエティ番組で、戦隊ヒーローものの俳優さんと、時代劇の大御所・高橋英樹さんの会話を見た。

 俳優さん「僕ら、戦隊もの以外のドラマに出ると演技にダメだされるんです。大げさだ、って。たとえば悪役に『待て』と止める時は、絶対に全身を張ってピンと伸ばして『待て!』と叫ぶんです。でも普通のドラマでそれしたら、スタッフに笑われちゃって」

 高橋さん「それは時代劇の演技だからだよ。時代劇の演技はタメとキメだ。振り向くときも、まず目線が先に動いて、肩や首はあとからついてくる。この間のタメと、動き終わったときの見栄を張る決めポーズが時代劇らしさなんだよ」

 なるほど。戦隊ものの動きは時代劇なのか。そもそも仮面ライダーや戦隊ヒーローを作ったのは時代劇専門の映画会社・東映だから当たり前と言えば当たり前。

 では、「声優さんらしい声の演技」に合わせた演技とは? 一般のドラマの動き?いや、違う。むしろ時代劇や戦隊ものの動き、タメやキメのついた演技が合うに決まっている。声優さんの舞台ミュージカル、あんな動きをロトスコープしたアニメがあれば、実は「声優さんを活かしたアニメ」に近づくんじゃないの?「悪の華」に僕が感じた違和感は、コレかも知れない。

 いや、ここまでは誰でも思いつく。アイデアや企画と言うより「思いつき」レベルだ。もっと根本的な部分から考えないと「企画」じゃない。

 思い切って声優さんにアニメそのものを考えてもらったら? アニメーターがアニメの企画を立てる。宮崎駿の昔から、それは当たり前だった。でも、なぜ今まで「声優さんがアニメの企画をする」がなかったんだろう?

 アニメーターが企画できるなら、声優さんだってできるはずだよ。声優さんがストーリーや設定を考え、シナリオを発注する。セットを組んで、その中で声優さんに演技してもらう。それを撮影して、ロトスコープにかけてアニメにする。もちろん声はオリジナルの声優さんをそのまま使う。

 これこそ、「声優による、声優のための、声優のアニメ」だ。

 「みんなのアニメ」の一本にふさわしい。

 しかし困った。こんなにやりたいことが増えたら、「みんなのアニメ」って何本作らなきゃいけないんだ?

 困った僕はホリエモンにニコ生本番中に相談した。

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