「みんなのアニメ(以下みんアニ)」は、レゴのようなアニメだ。作品内の映像や音声はすべて視聴者によって差し替えが可能で、それどころか自作パーツの使用や共有までOK。
ホリエモンはこれを「スマホでやりたい」と言いだした。
2013/09/10日号掲載
たしかにスマホだと、本当にレゴみたいなユーザーインターフェースが可能だ。タッチパネルに3秒ごとの画像がずらりと並び、水道管ゲームのように入れ換えるだけで編集できる。音声ボタンをタッチしてマイクにしゃべったら、そのシーンのセリフは自分の声になる。
最難関の回線問題はどうする? スマホに30分のアニメをダウンロードして、なおかつアプリ内メモリで編集して、ふたたびアップロードさせる?
いかにも非現実的だ。
「スマホで編集するときはサムネイルでやるしかないですね」とホリエモン。つまり小さな動かない見本画面だけ操作する、ということだ。データそのものはクラウドのデータベースから動かさない。
ならば話は簡単。アニメにはタイムシートと呼ばれる撮影指示書がある。このタイムシートをユーザーが自由にいじれることにする。本物のシートはプロでないといじれないけど、スマホで遊べるオモチャ的なものを作るのは可能だろう。
もちろんパソコン版だったらもっと複雑な映像処理のできるアプリやサービスがある。でもみんアニが目指すのは「子どもでも遊べる、アニメごっこ」だ。
シートをスマホで動かす、つまり「この映像の何フレーム目からを以下のタイミングで再生しなさい」というコントロール信号だけをスマホとデータベースでやりとりする。よし、先が見えた。
「サムネイルで編集して、作りたいモノが決まったらボタンを押す。するとyoutube映像が生成される。これでいいよ」と僕。
「でも、それじゃ完成映像が予想できないですよ。サムネイルだけで作業して、いざyoutube見たら全然違う!とか」
「そこがゲームっぽくて面白いじゃない?」
「岡田さんがそれでいい、というならOKにしますよ」
しかし、あらたな問題も発生した。僕らはこのシステムを作り、スマホ用のアプリを作り、なおかつ「面白い宇宙アニメ」まで作らなくちゃいけない。これってつまり、ボーカロイドのアプリを作って、なおかつヒット曲まで作るのと同じだ。すげーしんどい。
「こんなアプリやサービス、作れる人って見当つく?」
「プログラマーならもちろん手配できますけど」
お互い、雲を掴むようなプランと膨大な作業にメマイがしそうだ。
考え込んだ僕は、こういうとき頼りになるアイツに相談した。
困ったときの小飼弾。実の娘からも「パパと話してると、まどマギのキュゥべえみたいでイヤ!」と拒否られる、頭は良いけど哀しい男だ。ウォーターフロントのペントハウス階で僕は彼に計画をぶちまけた。
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