岡田「今後、新作描くときって、出版社に出させてあげるんですか?電子は。」
鈴木「………そこなんですよね。」
電子出版業界は、もうここまで来ている!
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出版不況といわれて久しい。では、電子出版はどうか。
電子出版については議論百出、我々読者にとってはボンヤリとした状況が続いている。
議論がボンヤリしている理由は単純だ。立場によって利害が全く一致しないからである。
電子出版は失業者を大量に生み出すと、かつて岡田は指摘した。
作者の原稿を読者が読むまでに、紙の本の場合は多くの中間業者が存在する。編集者、出版社、印刷業者、製本業者、取次業者、運送業者、書店など。
これが電子化された場合、作者と読者の間にはamazonだけあればいい。あとは不要になってしまうのだ。
だからといって、これまでのやり方をここまで劇的に変えることは可能なのか?
それを実践し、成功させたのが漫画家の鈴木みそ氏である。
シンポジウムの冒頭の自己紹介で、鈴木みそ氏は自らこう語った。
「去年はちょっと食べるのが大変なぐらいでですね、漫画の状態が、非常に最近の出版不況によって、思いっきりかぶってるわけです。このくらいのポジションの(漫画家は)。
それで、なんとかしなきゃいけないな、っていうんで、去年の年末にはじめた自費出版としてやる電子書籍というのがボーンと当たったんで、あ、これで業界、急に変わるかなっていうぐらいに、急激に世の中の流れが変わってきたと、僕は思っていて、今年は非常に景気のいい話ができるなっていうんで呼ばれたんだと思います。よろしくお願いします。」
そんな鈴木みそ氏とブロガーの小飼弾氏、それに岡田とのシンポジウムのハイライトを、少しだけご紹介しよう。
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紙の本より、やっぱ売れないワケですよね。電子の方が。
鈴木みそ(以下、鈴木):
まだそうですね。今のところ、たまたま僕が(著書「限界集落(ギリギリ)温泉」を電子で)出したときは、他がまだ進撃の巨人もいないし、そういうときにボンと出したときにちょっと話題になって、ベストテンのなかのオススメと、今の一番売れてるところに顔を出しはじめると、これがけん引して、何を買おうかなっていってトップページに載ってるひとたちをクリックしてて、これがガンガンガンガンってきて、これがしばらく続いたんですよ。
で、1巻~4巻までがずっと毎日、ベストテンの1位から4位まで占めるっていうのを1~2週間続けて、これでね、1週間ぐらいで30万ぐらいを…
岡田:
はい。
鈴木:
1日30万を売り上げるんですよ。それが1日何冊売れたかってみると、3~4冊ってのが10冊になり、1日で100~200冊がでるようになると、これが非常に面白いワケですね。
岡田:
鈴木さんの場合は、自分の本…出版社としてみれば、紙の本として売れなくなったというよりは、さっき話してた2万~3万売れればペイライン(損益分岐点)っていうのが、徐々に難しくなってきたわけですよね。
鈴木:
そうです。僕が(紙の本「限界集落(ギリギリ)温泉」)1巻3万部出したんですけど、コレがあんまり売れなくて、2巻になると1万5千に減って、3巻になると9千部になって、4巻になると8千部ですよ。これで打ちきりですね。8千になるともうやってられない。
岡田:
出版社としても。
鈴木:
そうです。あの話、もうちょっと長かったんですけど、もうちょっとここゴメンね4巻でっていう話でこのマンガは終わって…。その前にも僕「銭」って本出したときに、全7巻なんですけども、これは相当長いことある程度安定して売れたんで7巻までいったんですけど、アレを電子化するときには "ちょっと「銭」は待っといてくんない?" って、むこうが言って。
ギリギリ(「限界集落(ギリギリ)温泉」)はいいんですか? "うん、ギリギリはイイよ。"
むこうも売れてないと思ったんですよ。このままこのコンテンツは売れないわ、と。
ギリギリ(「限界集落(ギリギリ)温泉」)はいいんですか? "うん、ギリギリはイイよ。"
むこうも売れてないと思ったんですよ。このままこのコンテンツは売れないわ、と。
他にもいくつかあるんだけど、じゃ、僕が自分で出しますよ? "うん、でも出しても売れないよ。" って。そういう話を去年、電子どのぐらい売れないかっていったら…
テルマエ(ロマエ)、どのくらい売れてるか知ってる?
テルマエがバーンと、(紙の)本が4百万部とか、次の単行本は百万部いきなり出しますよっていったときの、電子の数字が、まあ、電子は紙の4%ぐらいっていわれてるんですよ。
それよりも悪くて、それはタダでまいて(出して)るのもあって、100円とかでまいてるじゃないですか。 "全然売上的にも低いし、あのテルマエでそんなもんだったら、全然ダメだね。まだ。" っていう話でみんな思ってたから、僕が全部だしますよって言ったら "ああいいですよ" って。
丁度もう、むこうもちょっと力が抜けてるあたりで。
小飼弾:
いい意味で投げやりだったんですね。
鈴木:
そうですね。そこんとこで、僕が全部権利を持つってことでいいですよね?ってことで "OK、OK" っていう話で、出したんですよ。そしたらバンバンバンと売れて、あっという間に一ヶ月の間に3百万程売り上げて、俺は3百万いきましたよ、って、日記で書いたら、これをみんな見て買うわけですよ。"今は、鈴木みそって作家が売れてるらしいよ"って。
ちょうど4巻だから、じゃあ他の本も出しましょうってワッサワッサと。これが引っ張られてどんどん売れるわけですよ。
(以下、略)
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ライター:徳島のダイスケ
(以下、略)
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