FREEexなう。

2013年08月12日

岡田斗司夫の近未来日記 267回「ホリエモン計画」4

SnapCrab_Noname_2013-8-12_1-32-35_No-00 ホリエモンに「アニメ、作りませんか?」と誘われたのは実は二回目だ。
 FREEexを設立する前に誘われたとき、僕はきっぱり断っている。
「だって、俺の見たいようなアニメ、もういくらでもあるんだもん」

2013年9/10増刊号掲載
SnapCrab_Noname_2013-8-12_1-32-20_No-00 「進撃の巨人」「まどか☆マギカ」「風立ちぬ」。初期の新海くんのような一人でアニメ作っちゃうような作家だって、いまやニコニコ動画にいっぱいいる。
 僕がガイナックスを結成した25年前と比べたら、もう充分に「オタクの天国」なのだ。

 なのに今回の依頼を引き受けた理由は「面白いアニメを作ろう」という目的じゃないから。作品が目的ではなくて、「みんながアニメを作れるようにする」という環境が目的だ。
 つまり「いい成績を取る」が目的じゃなくて、「誰もが勉強できる・勉強が好きになる学校を作る」が目的だ。

 となると、アニメの作り方も根本的に変わってくる。従来の作り方は「芸術品の作り方」だ。優秀な人を集めて、誰も見たことがないイメージを具現化させる。
 しかし今回やりたいのは「お祭り」に近い。集まった人なら誰でも参加できる。才能がある人やプロだけを優遇しない。

 たとえば声優だって、中学生の女の子が「私がヒロインの声をやりたい!」と望んだら可能になる仕組みを考えないといけない。その子を使うことによってクオリティは下がるけど、なにか違う楽しみ方があるはずだ。

 そう、これはアニメの「カラオケ」なのだ。
 カラオケって上手い人の曲を聴くだけじゃつまらない。自分も歌えるし、上手いヘタ以外の「へぇ、お前ってこんな曲、好きなの?」というお楽しみがあるじゃないか。
 カラオケの登場で「歌」は根本的に変わった。聴くモノから歌うモノに変わって、ヒットする曲だって「歌いたくなる曲」がランキングされる。

 僕がもう一度アニメを作りたいと思ったのは、「面白いアニメが作りたいから」じゃないんだ。誰でもアニメが楽しめるような、カラオケできるようなアニメ環境を作りたい。

 僕はこのコンセプトを「レゴみたいなアニメ」と名付けた。
 レゴはパッケージのお手本通りに作れる。でもパーツを使って、他になにを作ろうと自由だ。もちろん本物そっくり、というわけにはいかない。だってレゴだもん。

 同じく、僕の作りたい「みんなのアニメ」はレゴみたいに「お手本通り」のアニメが誰でも作れる。そのお手本第一弾が「ホリエモン・アニメ」だ。

 レゴだから映像や音声パーツを好きに組み合わせて「自分だけのアニメ」も作れる。
 もちろんエヴァやジブリと同じクオリティじゃない。だってレゴだからね。

 でもレゴと同じくらい簡単に、小学生は小学生なりの、大人は大人なりのアニメが作れる。
 これが「レゴみたいなアニメ」だ。
 これ、やりたい!

 興奮した僕は、渋谷の喫茶店にホリエモンを呼び出して「ゴメン、ちょっと目標を変えたい!」と頼み込み、仕組みを説明した。最初のコンセプトからかなり大幅な変更だ。
 ホリエモンの返事は「全然OKですよ。でも問題があります」だった。

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