■悪魔の兵器といえないこともないんです。それを宮崎駿、知ってて作ってる……。
■もう70超えたらアニメの監督なんてできないですよ……。
岡田斗司夫がコメンテーターとして出演。
番組中、話題のジブリ映画『風立ちぬ』について岡田が熱く語った部分を厳選再録!
もう見た方も、これから見る方も、見る気がない方も『風立ちぬ』が20倍面白くなる!
こんなジブリ論、他じゃ聞けませんぞ!
※ネタバレはありませんのでご安心を
<町 亞聖(以降 町)>
岡田さんは『風立ちぬ』の方は試写会見て……。
<岡田>
まだ見てないです。
この3回連続、宮崎駿の映画ってスカだったんです。スカっていうか、大ハズレ。だって『千と千尋の神隠し』と『ハウルの動く城』と『崖の上のポニョ』、全部ストーリー破綻してたんですよ。
『千と千尋の神隠し』なんて、お父さんとお母さんを化け物にした奴らが、最後、千尋ががんばってクイズに答えて人間に戻るとみんながバンザイしちゃうんですよ。意味ないですよ。
ストーリーの後ろが破綻してるんですよ。
『ハウルの動く城』も最後になったら、それまで出てこなかったキャラクターがいきなり「いやあ、ぼくは魔法の力で王子様にやっと戻れたよ」とかいって終わっちゃう。これも破綻してるんですよ。
『崖の上のポニョ』なんて小学生の男の子が、「ポニョを永遠に愛せなければお前も地球も破滅するぞ」なんか言われて、みんな「良かった~!」って言ってる。良いはずないんですよ! でも、なんかね、圧倒的な映像で魅せちゃうんですよ。
で、それはなんでかっていうと、鈴木敏夫さんっていうすごい偉いプロデューサーが宮崎駿を使いこなして、世界作家にしちゃった。村上春樹と同じような「ワールドワイドなアートをつくる」。
でも宮崎駿がついに「自分のつくりたいもの」をやっと作った。多分、宮崎駿史上初めてっていうぐらい、ほんとにやりたい作品なんですよ。『風立ちぬ』凄い期待してるんです。
<町>
70歳でしたっけ? 宮崎さん。70歳にして、初めて。
(宮崎駿さんが)完成したものを見て泣いちゃったって、インタビューに答えてましたけど。
<岡田>
ただね、試写会でやったら、普通のジブリアニメと思って親子で見にきたら、子供たちが退屈して走りまわったという(笑) 子供がわかる話に今回なってないんですよ。
<阿曽山 大噴火(以降 阿蘇山)>
宮崎監督のやつで動物じゃないのって、珍しいですよね。
<岡田>
だからマスコット・キャラクターもないし。
あと零戦、いわゆるゼロ式艦上戦闘機を開発する話だから、戦争の人殺しの道具を作る話なんですよ。そこに関して一切逃げも何もなくて、そういう生き方もあるんだっていうふうにドーンってやってるんですよ。
だからテーマが「生きねば」って言ってて、つらい時代で、病気で死んじゃいそうな女の子が生きたいという話なのに、自分が作ってるのが人殺しの兵器でしかない。
で、この主人公が作った零式艦上戦闘機の性能が良かったから、戦争が長期化して日本は敗戦の時期を読み間違えた。結果数千万人が死んじゃったというような、悪魔の兵器といえないこともないんです。それを宮崎駿、知っててコレど真ん中にドーンとおいて作ってる。
また鈴木敏夫はいつもの調子で「宮崎駿最後の作品になるかも!」って言ってるんだけど、宮崎駿はまだ作る!まだ作る!まだ作る!(笑)
<阿曽山>
10年ぐらい言ってますよね。
<岡田>
もう漫才コンビなんですよ、あいつらは(笑)
<町>
今回5年ぶりだけど、5年かかったって、ご本人も言ってたみたいですけど。
<岡田>
5年かかったんですね、はい。だからそれは、やりたい作品やっとやれたから。
もう70超えたらアニメの監督なんてできないですよ。実写の監督って椅子に座って「OK」「駄目」って言ってりゃいいんですけど、宮崎駿、監督といっても机に座ってガーッ!って人一倍描きます。作画も直しますし、なんでもするんですよ。それがね、今、見たくて見たくてしょうがないですね。
<町>
どの時代でも、一所懸命生きた人がいたっていうことを伝えたい、っていうふうに言ってますんで。
<岡田>
そんないい話でもないんですけども(笑) 
ライター:はじめのカズオ
