これは『風立ちぬ』をみるまでの僕の考えであり、信念だったんですね。
主役クラスというのは演技が必要がない。キャラクターがあればいいんだ。
だから『風立ちぬ』の庵野秀明の声優起用も大賛成”だった”んです。
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記念すべき岡田斗司夫誕生祭SP。
『報道ステーション』のコメンテイターとして出演したりと、ますますのぼり調子な岡田斗司夫のニコ生ゼミ。
ブラック企業問題からしょこたんの裸リボンまでいっぱい詰まった怒濤の90分間!
今回はTwitterでも話題になった『声優問題』について、庵野秀明主演、宮崎駿監督アニメ『風立ちぬ』を絡めた話題をハイライトでお送りします。
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一個ですね。謝んなきゃいけないことがあってですね。
前回、ホリエモンとやった『みんなのアニメ(仮)』の生放送……、これは公式放送じゃないから、あんまり見た人はいないと思うんですけど、そこで声優さんはどれくらい必要なのかっていう話をして、のちにホリエモンがそれをツイートして、えらい騒ぎになった一連の出来事があってですね。
これ僕の意見なんですけど、アニメにおいて主役クラスは実はプロ声優さんじゃなくても大丈夫だと思ってるんですね。
その理由は何かというと、映画で中心のスターっていうのは演技力がそんなにいらないんですね。
それは角川映画の頃もそうだし、昔の石原裕次郎の映画もそうなんですけど、メジャー映画になればなるほど中心にいる人物っていうのは、”キャラクター”として色んなものを演じなきゃいけないんじゃなくて、例えば、”正義の味方”だったら、”正義の味方”って一種類の声でいいんですね。
しかし、脇役っていうのは演技力がいるんです。
悪役は時に相手を籠絡(ろうらく)するために、つまり騙すために甘いセリフを言ったり、もしくは苦々しい本音を言ったり、自分の中にある思わぬ暗黒面をつぶやいてしまったり、または正義っぽいことを政治家としてテレビで言うとかですね。
色んなバージョンの声がいるわけで、演技力の幅がいるんです。
だから演技派と言われる人は、助演クラスで副主人公とか対立役くらいになってます。
ところが主役クラスになると自分というのがあればいいんですね。
スター性は必要はあっても演技力というのはさほど必要はない。
主役クラスは新人とかアイドルでも案外いけちゃう。
これが昔から言われてる映画の中の配役の構造なんですね。
(中略)
これは『風立ちぬ』(予告編)を観るまでの僕の考えであり、信念だったんですね。
主役クラスというのは演技が必要がない。”キャラクター”があればいいんだ。だから『風立ちぬ』の庵野秀明の声優起用も大賛成だったんです。
庵野秀明って独特な声してるし、まあ、なんか演技力は問題あるかもわかんないけど、「主役だったら大丈夫だよ」と思ってたんですけども……。
『風立ちぬ』の予告編が始まると、もうしょっぱなからですね。
庵野くんの棒読みというかですね、棒読みというかじゃないですね。棒読みそのものですかね。
「これだ! これを棒読み、イッツ、ボウヨーミ!」っていうくらいの棒読みが流れ出して、頭抱えちゃって。(笑)
以後、Wikipediaで『棒読み』の欄をクリックしたら庵野の音声ファイルが開くくらいやってほしいくらいですね。
頭を抱えた後は「なんだよ」とか「ダメだよ」とか「庵野何してんだよ」じゃなくて、本当に自分勝手なんですけど「しまった。俺、次回のニコ生で謝らなきゃ」と、「誰でも声優ができるというのは嘘です。少なくとも庵野は無理ですよ」っていうくらい下手だったんです。(笑)
(中略)
唯一の俺の心配は庵野秀明の演技で(『風立ちぬ』に)集中できるかどうかですね
可能性として三つあります。
一つ目、映画の最後まで庵野くんの棒読みが気になって集中できない。
二つ目、あれはフェイク。
俺たちを騙そうとして、予告編で声優としてやりだした最初の一番下手な部分をわざわざ見せてる。実はあの後だんだんうまくなっている。
だって、庵野の声自体は味があるんです。
僕は発表で「庵野秀明を声優に」と聞いた時は、本当にこれはすごく良いキャスティングだと思ったくらいです。
庵野秀明を知っている人間だったら全員わかると思うんですけど、朴訥(ぼくとつ)で説得力があって頑固な感じがして、なんともいえない愛嬌のある声なんですよね。
それがちゃんと演技として出せるようになってよくなるのが、二つ目の可能性。
三つ目はですね。下手な演技のままなんだけど、下手であるがゆえに嘘っぽさがなくて、映画の最後の方では僕らは真剣に”庵野秀明の声”じゃなくて、堀井さんという零戦の”開発者の声”として何故か聞こえてしまうという状態に持っていかれる。
『一』『二』『三』でいうと、『三』が一番望ましいんですね。
これから先、庵野秀明が声優として活躍することは別にないと思うんですよ。
だから庵野秀明の声がうまくなる、演技がうまくなるというよりはあの演技のままで最後までいって、最後の方は何故か、それがぴったりに聞こえてしまって、もう今後、日本では零戦の開発者というと庵野の声が頭の中に浮かんでくるというくらいの状態になるというのがベストなんですけども。
2013年8月10日(土)
小飼弾☓鈴木みそ☓岡田斗司夫 出版シンポジュウム開催!!
風立ちぬについて、まったく逆の評価をくだした
岡田と弾さん。特に触れていない鈴木みそさん
そんな話も飛び出すかもしれません!!(すみません、未確認です・・・)
イベント詳細・受付はこちらから
http://blog.freeex.jp/archives/51391448.html
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おまけ
コメントで「岡田さんは何歳が一番楽しいと感じるか」と質問をされた時に
昨日も会議中に俺の誕生日サプライズをやりやがってですね。
毎年、毎年、人生最後って思うくらい照れてるんですけども、これも言っちゃえばしあわせなわけですね。
と答えていましたが、その「人生最後って思うくらい照れてる」岡田斗司夫をとらえた貴重な写真がこちら↑になります。ご覧ください。
ライター:佐藤家清