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2013年05月20日

岡田斗司夫の未来日記 255回「ガンダム芸人」3

img いっけん「カワイソウな仕事」にも思える。バラエティ番組で地方在住を命じられたタレントと同じように「会社の都合で芸人生命を殺された」ようにも見えるからだ。
 しかしR藤本さんの見解は違う。「売れない芸人に多い仕事は、実は地方営業なんです。大阪や東京の舞台は競争も多いわりにギャラが少ないし」
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 R藤本さんは別名「ベジータ芸人」として名高い吉本芸人さんだ。ブログはコチラ。
 面白いからぜひ読んでみよう。先輩芸人の引退について書いた「芸人という仕事を 与えられて どれくらいだ」や、若手芸人にとっていかにブログが大事か書いた「無名芸人×ブログ」は必見の面白さだ。

 そのR藤本さんと、僕のマネージャーふくめて三人での話題。あまり知られていないけど、実は僕は吉本興業に所属している。いわゆる「文化人枠」というやつで、たま~にヘンな舞台やテレビの仕事を紹介されて、出演する。専属契約ではないので、基本的に気が進まない仕事は断る。ギャラは貰わなくてもOKなので、こんな気ままな仕事の仕方が可能なワケ。

 オマケ程度の所属といえど、いちおうは担当マネージャーもつく。たま~にメール来るだけの関係だけど、先日そのマネージャーが交代した。せっかくだから一度ご挨拶に、と言われたので、R藤本さんをゲストに呼んだライブに来てもらった時の話だ。

 吉本では数年前から「あなたの街に”住みます”プロジェクト」を推進している。R藤本さんは熱心に「あれ、芸人のメリット大きいですよ」と力説した。

 いったいどんなプロジェクトなのか?まず、過疎化やウリがないとかで悩んでいる地方が吉本興行に申し込む。すると吉本から芸人(当たり前だけど知名度低い目)が派遣されてくる。そいつはその土地に住み、ちゃんと住民になる。

 いっけん「カワイソウな仕事」にも思える。バラエティ番組で地方在住を命じられたタレントと同じように「会社の都合で芸人生命を殺された」ようにも見えるからだ。

 しかしR藤本さんの見解は違う。「売れない芸人に多い仕事は、実は地方営業なんです。大阪や東京の舞台は競争も多いわりにギャラが少ないし」

 なるほど。でも都会でないとそもそも芸人として活躍する場がないんじゃないの?
「地方に住み着けば、その地域一帯の【すべてのタレント活動】がそいつひとりに集約されます。有名人の講演でも、その司会者として安く呼べる芸人がいると便利でしょ?結婚式の司会やスーパーの開店イベントなど、地方には驚くほど多くのチャンスがあるんです」

「しかも、ご当地アイドルや地方アナウンサーとの出会いもある。もし結婚して子どもが出来たら、パパタレ・ママタレとしてその地方で生涯稼ぐことも可能でしょう。無理して東京や大阪にしがみつくよりも、そっちが幸せへの近道かも知れない」
 
 でも、このプロジェクトが進行したら、いま全民放が吉本に支配されているように、地方をぜんぶ吉本が支配するかもしれない。あらゆる「人気者=評価のプラットフォーム」をすべて吉本一社が吸い上げる構造。AppleやGoogleより地味でおバカに見える戦略だけど、これアリかもしれない。


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