僕らは所詮、「なぜ?」とか、「どうしたら?」という悩みの解決、回答しか求めてないんです。これらの問題を因数分解した果てにこの専門家に聞くことはあるんですけども、専門家に聞いても満たされないんです。
だから僕は、自分の仕事も占い師の系譜の末裔だと思ってるんです。
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星占いに血液型占い。占いコーナーは複数確認して都合のいいほうを採用する蟹座のA型無銘のマサフミです。
今回は2012年3月に福岡で行われた「岡田斗司夫講演会 占いのことを語るよ!」前編の模様をお届けします。
「占いなんて信じない」と公言している岡田斗司夫のもとに、現役の占い師の方からお招きがあってこの講演は実現しました。
岡田斗司夫が占いの歴史を遡り、その分析から占い師の今後について助言をしていきます。占い師が今後勉強すべきこととは何なのか。果たして占い師の将来を明るくすることができるのか。
参考になりましたら皆様もお近くの占い師の相談に乗ってあげてみて下さい。
では講演の模様をまずはハイライトからどうぞ。
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で、こっから先がですね、さっきも言ってました、現役占い師さんたちに対する説教で、マーケティングの助言なんですけども。
「神→シャーマン→まじない師→錬金術師→宗教→将来を心配する人→昭和の占い師→21世紀型占い師」
こういうふうに構造図を書いたら、やることは明らかなんですね。君等は“21世紀型占い師”という立場に安心してるからまずいんだよ!
今の占い師って“勉強”するんですよ。やたらと占いの方法を。「占いの方法をどんどん勉強すればするほどいい占い師になれる」って思ってるんですよ。違う!
いい占い師、これからの21世紀型の占い師の進化形というのは、それまで失った機能を取り戻すことなんです。オカルトに詳しいとかカウンセリングの技法を持ってる。ここまでは当たり前なんです。
だから、現代の占い師っていうのは、人のどうしようもない衝動とか疑問に関して、責任持って付き合ってあげる。これが最低限の仕事です。(21世紀型占い師)次に、そん時に使う手法の一番と二番はカウンセリングとオカルトです。(→昭和の占い師)これは手法の一つにしか過ぎない。一番と二番にしか過ぎない。
その後、勉強すべきことは“占いの勉強”じゃない。まず経済の勉強(→将来を心配する人)であり、思想の勉強(→宗教)であり、科学技術の勉強(→錬金術師)であり、医学の勉強(→まじない師)であり、政治の勉強(→シャーマン)なんです!
これらをやらないと、元の力強い状態に戻らないんですね。こっから先もどんどん占いの勉強なんかしちゃったら……もう既にキリンの首は伸びきってるから、更に伸ばしてもしょうがないんですよ!
やっぱねえ、“商売”として占いを真面目に考えてほしいんですよ。
「宗教→錬金術師→まじない師」って、上に行けば行くほど売上は上がるんですよ。なんでかっていうと、対応できる問題が多いから。
たぶん、現役の占い師でも、遺産相続の相談とかがあったときに、法律とか経済の知識があれば、「あなたの運がこう出てるけど、それは多分……“登記簿”をもう一回見てごらんなさい」とか、色々言えるはずなんですよ。これらの知識は絶対に無駄にならないですよ。
これらの知識があってこそ、“カウンセリング”とか“オカルト”っていう、今持ってる2つしかない武器が、ものすごく有効になるんですね。この武器をこれ以上研ぎ澄ましてもしょうがない。
それよりは真面目に、経済の勉強しましょう。『日経新聞』読みましょう。思想の勉強しましょう。サンデル教授の本読もう。科学の技術ですね、『ニュートン』読もう。医学ですね。これは当然、「体の調子が悪いんです」と言われたら、「それは、なんか枕のこっちの向きが~」とかいうのもアリなんですけど、同時に、ちょっと医学的な知識があったらその言ってることに説得力が出るんですね。
さっき言った“金色の財布”というのも、ただ信じさせるだけじゃなく、「その人がお金儲けに邁進するためにはどういうふうにさせたらいいのか?」っていうのを、これらの知識を総動員して助言することで、はじめて機能するんですよ。
だから、「中国では昔からそういうことに~」とか言っててはダメなんですよ。あと、成功例だけ持って来るのもダメ。この世の中に“金の財布を持ってもダメだったやつ”は“金の財布を持って成功したやつ”の10倍いるに決まってるんですから。そういうのはダメなんです。
ちゃんと真面目に政治の知識、医学の知識、科学の知識、思想、経済っていって、その後カウンセラーとオカルトの知識にいったほうがいいと思います。
「それなら占い師である意味は? 法律家や医者になったほうがよくないですか?」(会場からの質問)
ほうほう。法律家や医者になったほうがよくないですか。“信じてなくて”、“金儲け”ですね。(質問の書かれたポストイットを、先ほどのボードの左上に貼る)
いえいえ。政治家や医者は単機能しかないから、実は使い勝手が悪いんですよ。
僕らは所詮、「なぜ?」とか、「どうしたら?」という悩みの解決、回答しか求めてないんです。これらの問題を因数分解した果てにこの専門家に聞くことはあるんですけども、専門家に聞いても満たされないんです。
僕らが医者に聞きたいのは「これでいいですか? これでダメですか?」であって、「医学的にどうか?」ということは全く聞いてないんですよ。僕らが原発の専門家に聞きたいのは、「安全ですか? どうですか?」なんです。その人を信じられるかどうかを聞いてるんであって、「このような条件下で、このような前提で、このデータが正しいとすれば、こうです」なんて話はタルくて聞いてらんないです。
なので、それらの単機能しか持ってない人たちっていうのは、勉強するものに専門的なものが多すぎる割に、潰しがきかない。
それよりは、人の悩みは所詮「なぜ?」「どうしたら?」にしかないんだから、今現在、占い師でそこそこ売上があるんだったら、政治や医学などを勉強したほうが絶対にいいです。
それが僕が考える占い師のこれからのことです。機能ですね。
なんでかっていうと、所詮、人は「誰を信じるのか?」で考えるからです。
もちろん「その人が言ってることが正当かどうか?」って部分もあるんですけども、言い方がどうかとかですね……例えば、「美味しいパスタ屋さん知ってるんだけど」と言われた時。僕らは「その言い方がどうか?」とか「本当に美味しいパスタ屋さん知ってそうかどうか?」、「総合的な人格、総合的なキャラクターでその人を信じるに足りるのかどうか?」で考えちゃうんですね。
なんでかっていうと、常に問題は解決不可能で、誰にでも答えられないのが当たり前で、そしてどんなに愚かに見えるお客さんであっても消費者であっても、「この問題は本当は誰にも答えられないんだろうな」って腹の底で知ってるからです。
だから占い師は全力をあげてその人に“信じてもらう”しかない。それはなんだろう? 「私を信じてください!」って言うしかないんです。
だから僕は、自分の仕事も占い師の系譜の末裔だと思ってるんです。
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ライター:無銘のマサフミ
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ライター:無銘のマサフミ