まるで直接お話をしたかのように、私の気持ちや状況をわかって下さっている・・・と、もっと驚きました。 なんてすごいかたなんでしょう!!!
1度めに読んだ時にはおーいおいと号泣してしまい、何度も読み返しまた泣いて、泣いたあとものすごくさっぱりした気持ちになっているのに気づきました。
朝日新聞連載の人気人生相談「悩みのるつぼ」が、新書として幻冬社から発売されます。
タイトルは『オタクの息子に悩んでます 朝日新聞「悩みのるつぼ」より』。発売は9月28日(金)。amazonや書店で絶賛予約受付中です。
これを記念して公式ブログでは、「悩みのるつぼ」特集を開催します。
相談者の気持ちになってみること。
岡田斗司夫は「オタクの息子に悩んでいます」の中でこれを、「同じ温度の風呂に入る」と表現しています。
相談者の状況が、相談者にとって熱すぎるのか、ぬるいのか、冷たすぎるのか。
まず、同じ温度の風呂に入ってみる。
快適な場所から風呂に入っている人に助言しても、その言葉は絶対に届かないと言います。
こんがらがった悩みを論理的に因数分解したあと、その理屈を一旦忘れ、同じ温度の風呂に入らなければなりません。
>まるで直接お話をしたかのように、私の気持ちや状況をわかって下さっている
論理的に相談を分解したあち、同じ温度の風呂に入って書かれた回答だから、引き出せた言葉です。
ライター:のぞき見のミホコ
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「天涯孤独な人に頼られ」
○相談者40代女性
昔、アルバイト先で友人だった女性(五十代)から助けを求められている四十代女性です。
彼女の両親は亡くなり離婚をして子供もなく、ほぼ天涯孤独です。体に変調を来し、全身に激痛の起きる病気を発症し、精神的に多少おかしくなっています。両親の残した家を売って、そこそこの貯金はあるようですが、働けず数年後には貯金も底をつくかもしれません。
私にとって彼女は、ここ数年は一年に一度会うか会わないか程度で、会って暗い話ばかりをされて辛いので、そろそろ友人関係も終わらせたいと思っていましたが、ある日突然、「自殺寸前の状態で病院に来た」と、唯一の友人として引き取るよう病院から呼ばれました。
それ以降、月に一回親しい医師のいる遠くの病院へ行くのに付き添ったりしています。一人暮らしも難しくなりそうで生活の支援も必要そうです。
放っておいたら一人で生きていくことができない彼女に、友人として手を貸すことは本当に必要だし、しかたのないことだと思いますし、同情もしているのですが、自分にとって大切ではない人間に、自分の時間や労力をかけなければならないことに、だんだん私も心が折れそうになってきました。
人として、見捨てることができないということと、「何で私が?」という気持ちが交錯し、自分自身がいつかパンクしてしまいそうです。
○回答者 岡田斗司夫
悩んでいる人間はついつい「決心」したがります。
A:彼女が死ぬか、あなた自身が壊れるまで面倒を見る
B:天涯孤独な彼女を見捨てて逃げる。
Aは無理ですよね?「心が折れそう」と言うぐらい限界に来ています。
と言ってあなたの性格ではBも無理。罪悪感という第三の問題が生じるから。
この状態から脱出するコツは「決心」や「根本的な解決」を望まないこと。
現状の苦痛の半分、せめて1/3減らす程度の具体策のみを考えるべき。
まず、こう考えてみましょう。
その人があなたの歳の離れた姉だったらどうしますか?
子供の頃から仲の良かったわけではない、これまでもロクに親交のなかった姉です。
でも他に頼れる人がおらず、治らない病気で、精神も不安定。自殺寸前の状態で病院に運ばれるような、
でも「実の姉」なんです。
あなたはどうしますか?
具体的に数値で考えましょう。
月に一回の通院は付き添う?
週に一度は電話する?
引き取って、自宅で面倒見ますか?
入院費はいくらまで覚悟する?
よく考えて正直に「どうするか」を、いますぐ紙に書き出してください。
書きましたね?さて、それがあなたの「肉親に対する支払限度額」です
質問の女性はあなたの肉親ではありません。
家族でもなければ、大事な親友でも恩人でもありません。
同じに扱うべきじゃない。
「大事な人だったら支払ってもいい限度額」の一割、つまり「姉だったらするべきこと」の10%で充分です。
自分の姉なら、毎回病院に付き添う」と思うなら、五回に一回で充分以上。
それでは彼女が生きていけないと思うなら、公共機関に相談して、根本的な責任を預けてください。
それ以上の責任や義務は、あなたには負えません。
あまたもまた、彼女と同じく弱い存在だからです。
支払限度額以上のことをして、あなたが壊れて彼女と同じになっちゃったらどうするんですか。
今度は誰があなたの面倒を見るんですか。
あなたは優しい人です。
だから「もう充分だ」と僕に言われても悩むんでしょ?もっと頑張れるんじゃないか、とか
ダメです。限度額以上、頑張るのを禁じます。約束ですよ?
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【メイキング】
この記事を旧公式サイトに掲載したところ、相談者本人さんからコメントが来た。
ここに書き込みをしてもいいのかどうか、とても迷ったのですが・・・
この「悩みのるつぼ」に相談した者です。
今回、私が本当に悩んでつらかったのは、自分にとってさほど大切ではない(むしろ半分終わっていた) 友人からのヘルプだったことなのです。
たとえ肉親ではなくても、本当に大切な友人だったらば迷うことなく、自分に出来ることは何でもするだろうと思っています。 たぶん人間なら誰でもそうではないでしょうか。
さらに 「友人が私ひとりしかいない」 ということ。
せめて10人、いや5人でも他に友人がいれば、相談し合いシェアし合っていけたのに。
(逆に言うと、友人ができないということは彼女の性格にも問題があるという、そういう相手であるということです。)
かと言って、この世で一人ぼっちで、誰も助けてくれないというのは、どんなにか心細く不安で絶望しているだろうか、と本当に同情もしているし、何とかしてあげたいとは思ってしまいます。
また私はかつて、うつ病だった友人を自殺で亡くしているので、その時に 「なぜ気づいてあげられなかったのか」 と、自分を責めましたし、同じあやまちを繰り返したくはない、という思いもあるのです。
今回の岡田さんの回答には、心底救われました。
「実の肉親だったらしてあげること、大切でない友人ならばその1割、10%」 という例え・目安は、数字なのでクールなようですが、実際に何がなんだかわからなくなっている人間には、いったん自分を客観視すること、クールダウンすることが必要なのだと理解することができました。
この10%という数字を鵜呑みにするのではモチロンなく、第三者から、こういう線引きもあるんだよ、と提示してもらえたことで、今後自分で判断していく大きな判断材料になると思っています。
それから、この欄で皆さんが書いておられたことも、とても参考になりました。
病院のケースワーカーにはもちろん既に相談済みですが、その他にボランティア希望のかた達を探すとか、地域コミュニティとか 「なるほど!」 なことが色々ありました。 感謝いたします。
朝日の相談欄に取り上げて頂けたことだけでも本当に十分だし感謝しているのですが、たまたまこのサイトを見つけて皆さんの書き込みを読んでいたら、私なりにお伝えしたいことが出てきてしまい、図々しく書きこんでしまいました。
岡田さんには100回でも、ありがとうございました!とお伝えしたいです。
さらに朝日新聞担当者から転送されたお便り。プライバシーに関係ある部分を伏せて公開します。
岡田斗司夫様
12月4日付「天涯孤独な人に頼られて」 にてご回答を頂戴した者です。
まさか、本当にご回答を頂けるとは夢にも思っていなかったので、記事を見た時にはまずびっくりギョー天いたしました。。。
さらに、まるで直接お話をしたかのように、私の気持ちや状況を わかって下さっている・・・と、もっと驚きました。 なんてすごいかたなんでしょう!!!
1度めに読んだ時にはおーいおいと号泣してしまい、何度も読み返しまた泣いて、泣いたあとものすごくさっぱりした気持ちになっているのに気づきました。具体的な道が、光が射すように見えてきたからだと思います。
これまでは周囲の人たちに相談しても、
「見捨てて逃げなさい。」
「あなたがやる必要はないから、公共機関に預けなさい。」
という、極端な意見しかもらえませんでした。
岡田さんがおっしゃって下さった通り、見捨てることだけは出来ないのですが、
「肉親ならばどのくらい出来るのか?」 を具体的に決めて、「その1割、10%」 という目安・・・・ おおおお!
それならば頑張らなくても出来そうに思えます。
さっそく、具体的にこれからの対策を考え中ですし、
今後も状況に応じて変わってくるでしょうが、自分の中の指針がはっきりしているので
もう迷わずに色々と対応できると思います。
彼女は最近は幻聴がひどくなり、頭の中で 「死ね、死ね」 と言われているらしく包丁で手足を切ったり、自傷行為も出ています。
これ以上になったら、病院なり施設に入れることになりますが、その方が彼女のためだし、正直、私もほっとします。 早くそうしたいです。
(なぜ早くそうしないかと言うと、猫が数匹いることもあり、本人はまだ大丈夫だと言い張っているのです。)
先日 幻聴と話している彼女に、
「今、なんて言われてるの?」 と聞いたら、
「●●(私)を殺せ、って言ってる・・・・・」 と平然と言われ戦慄し、冗談じゃねえやい! めんどう見てて殺されたら割りに合わねえやい! と、ドン引きしまくって、おかげでむしろ精神的にも思い切り冷めることができました。
まったく本当に、殺されてはかなわんので、彼女の部屋で2人きりになるのは今後極力避けるようにしようと思いますし、「月に1回、●●(地名)の病院へ行くのに付き添う」 ことだけを基本にしようと思います。
そして今後どうなったとしても、「経済的な援助は一切しない」
自分の中で 「やること・切り捨てること」 が着々と決まりつつあります。
この数ヶ月、眠れない夜を過ごし続け、食欲もなくなり (結果、ダイエットに成功してコレはちょっとラッキーです ^^ )自分も変な精神状態になりそうでしたが、ひさしぶりにぐっすり眠って、ごはんもおいしいです!
岡田斗司夫さま、本当に本当に、どうもありがとうございました。
こんなにあたたかくて、ものすごい、すばらしい回答を頂戴し、私は本当に果報者だと思います。
心より感謝申しあげます。
私は、書き忘れたので「職業:アルバイト」 となっておりましたが、プロの●●をやっております。●●に所属し、あちこちで●●活動をするなど好きなことを仕事にしているので自分自身はとても幸せな人生をおくっております。
それだけに、絶望の淵にいる友人を何とか助けなくては、という思いもあったのですが、やはり自分の人生を削ってでも他人の人生、命を救うことには限界があるのですよね。
これからも、もっと悪い状況や修羅場が来るかもしれませんが、その時には常に 「自分の支払い限度額」 を意識しつつ、そのライン内では出来る限りのことをしてあげたいなぁ、と思います。
限度額以上に頑張るのはゼッタイしません、約束します!
ああ、岡田さま 本当にありがとうございました。
長ーい文章になってしまって、お忙しいのに、たいへん申し訳ございません。
心よりの感謝と、敬意を込めて。
