FREEexなう。

2012年07月16日

税金と評価経済について、岡田斗司夫が熱く語る。朝日新聞<カオスの深淵>インタビュー(FREEex特別編集版)

朝日新聞2012年7月3日の朝刊に掲載されたインタビュー記事のFREEex特別編集版を、FREEex所有音声と文字でお届けします。
ほぼ完全版となっております。

朝日新聞デジタル:「お金よりつながりで安心」〈カオスの深淵〉
http://go.otaking-ex.com/sLccFVtW




Q:取材時間が小一時間ということなので、こちらから質問を投げかける形でいいですか。
岡田:ええ、その方が。では一番最初に、数分だけ僕の方から。税金はですね、僕が考えるのは国家は撤退戦なんですよ。国家は18、19、20世紀にはうまく作動したシステムですが、元々は、いろんな経緯があるんですけども、現在の国家って市民のための総合サービス機関ですよね。市民たちが意志決定するために、行政機関とか政治機関っていうのがあって、彼らが何を要求するのかに対して、さっき言った行政機関の中のサポートみたいなものもあって、各種規制を決めてというものもあるですけども、もう市民が何を要求していているのかが国家の方でフォローできない。端的だと思うのは、こないだの東日本大震災をみてわかるとおりネットサービスというのは本来19世紀型の国家論だったら国家がやるべきですよね。あれは絶対必要なもんなんだから。で、それを教育の中で教えなければしょうがない。でも、そんなことはもう国家の仕事じゃない。じゃ、それは民営化、外部の民間の会社にやってもらっている。これを国家はすでに機能をアウトソーシングしていると考えてもいいんですけども、そうではなくて国家の果たすべき役割がどんどん、どんどん小さくなってきている。なので、僕の考えは基本的に国家の撤退戦を強いられていて、そのうち僕らにとっては日本という国に納める税金とソフトバンクというキャリアに納める課金が多分、逆転する現象が来るだろう。そのときにはもう、国家がなくなるとは言わないんですけども、僕は経済で貨幣経済というのは、恐らくその、評価経済に取って代わられることはないが、リアルマネー、地域マネー、個人通貨という三つの中の一つに過ぎなくなるというのと同じように国家というのは、僕ら国民が市民がでもいいが、必ず払うお金を税金という風に新しく定義した場合、支払先の一つにしか過ぎない。そのときに彼らがやってくれるのは何かっていうと、個人保証。つまりこの人は国民でID番号何番で確かに日本国の国民ですという、パスポートありますよね、そこらへんの部分だけかなと思ったんですが、そのID保証の部分すらも個人を保証するような格付け機関みたいなものが出てくると、もう怪しげになってくる。

Q:
今のお話聞いても、結構その、国家の基本と言うといろいろありますけど、あのう、税を取る、強制的に税を取るとか、何か悪いことしたら、まあ暴力装置みたいな言い方します、警察や軍隊とか、力でもってやるとか、いろんな機能がある中で、税金っていうのは国家を位置づける意味での非常に大きな、今までの要素だったと思うんですけど、その枠組み自体が変わろうとしているというお考えですかね。
岡田:税金自体を僕らは、これからも払い続けるでしょうが、そうではない「サブ税金」みたいなものもすでに支払いつつある。いま僕らが日本の国に生きていて、携帯とかですね、通信の使用料を払わずに生きていけるか。生きていけないんですよね。じゃあ、これはサブ税金じゃないのか。

Q:国がとる税金もあれば、電気代みたいに事実上独占で、払わなければいけないものといえば、今、情報ツールで携帯とかネットがないと生きていけないけど、それ税金じゃなくて民間企業に支払うしかないんですよね。
岡田:それらのものは絶対に必要なものであれば、民間の会社ではなくて公営というか、国営じゃないんだけど民間でもないという企業の作り方をやっていたと思う。例えば東電みたいなものですよね。じゃ東電っていうのは国営なのかといえばそうじゃない状態での、まあ原子力事故の前、なっていたわけですよね。

Q:はい。そうです。みんなあくまで民間企業だと言い張ってましたが。
岡田:では危機になってくると、じゃ、もう一回国営に戻すかとか。やっぱ、それ無理だろうっていう話が出てくる。今後出てくる国民に必要な装置とかですねぇ、仕組みとかインフラっていうのは常に常に国家が、「じゃあ、それをやりましょうか」というのは、とっくに破綻している。つまり国民国家が目指していたオールインワンパッケージの国、国家、政府、行政というものは破綻しているわけですよね。

Q:このあたり、よく言われるのは、みんなニーズが広がった。要するに、何でみんな税金払いたくない人がいるかっていうとこの本質として、そもそも財政が厳しいって前提があったり、ニーズが違ってきたり、国は税金を納めても俺の思うようにつかってくれないじゃないかとか、やっぱこう、納める人と実際それを使うとことの間に乖離があるんでしょうか。それとも、国自身が、そういう難しいこと言う以前に、もう、国民国家みたいに、まとめて1億2千万人の面倒をみる、政府として行政としてやっていくっていうのが、お金の問題なのか意識の問題なのか、難しくなっているんでしょうか。
岡田:5月か6月のフリックスの公式ブログの引用でも出たと思いますが、何で僕たちは税金を払いたくないのかというのを、毎日新聞に書いたやつがありますんで。これを書いたときの反響ですごく多かったのが、「その通り。確かに払うのは実はいやじゃないんだよ」と。何か納得できないから渋っているだけで、実は払うのはいやじゃないという人が半分以上いた。案外「そんなことないよ。何考えてんだ。税金なんて安い方がいい」という人は、思ったよりも毎日新聞に来たお便りは少なかった。

Q:税金をいやがる意識というのが、ここまで広がってきた要因というのは、最近の出来事見ても、例えば、例がいいかどうかは分りませんが生活保護みたいな、俺の払った税金は生活保護に使ってほしくないとかですねぇ、何かそういう意識もあるんですかね。つまり、誰か他の見えないところで使われるのはいやだとか、何に使ってる...
岡田:完全に、そんなにいるはずないとみんな思っているんですよ。何兆円という国家予算がそんなにいるはずないと。だってほとんど人件費ですよね。公務員も含めてなんですけども。アニメってつくるのがほとんど人件費なんです、はい。ほとんど手間仕事ですから。同じように国家予算もほとんど人件費ですよね。何かを買ったりするのに使ってないというか、何かを買ったりするのも本当にいるのかどうかもわからない。とりあえず予算のほとんどが、例えば人を雇ったりということでなくても委員会のお車代とか、配る紙とか含めてほとんどが人件費だろうと。そのために人を一杯雇ってたりするんだと。それらのことが本当にいるのかどうかわからないし、組織を運営するためにいろいろ調整役の人の方がすでに多くなっている。軍隊で言えば近代軍であればあるほど直接戦闘人数が少ないといわれていますよね。いわゆる兵站の方が多い。だからハンニバルの軍隊は100%戦ったが、現代米軍は5%弱しか戦わないといわれているんですけども。それと同じで現代の行政府も行政をやっている人は多分5%弱で、95%は行政をやっている人の連絡要員ですよね。それにみんなもう気がついているという時期なんで。で、ですね、さらに福祉の問題でですね「金を与えるだけじゃいけない仕事を与えないと」とよくいいますよね。つまり福祉でですね、仕事がない人にただ単に生活資金を与えたら、彼らが働かないのと同じように、国家や政府に対しても税金与えてたら、彼らは再就職の意志すらなくしてしまう。結局いまの職業や仕事にとどまることばかり考えて、いまの日本って、僕、公務員とか地方公務員とかですね、そういう国から金もらってる人が全部でいくら居るのかわかりませんけど、彼らは僕が考えるには扶養家族なんですね。ベーシックインカムをもらっていると。実はいらない仕事をしていると。なのでみんな必死で働いていると。いらない仕事だとみんな、腹の底ではわかっているから、それを必要なんだと証明するために各省ごとの争いごともしなくてはならない。みんながもう苦しいんですよ。

Q:そのあたり、もともとは国家は小さい、あの夜警国家みたいな、警察とか軍隊とか外交とかコンパクトだったのが、どんどん福祉国家になって、日本もまあ、生活保護も充実したり、年金を充実したり、医療を充実したり、昔はそれが支持されてきた時代もあったわけですけど。岡田:もちろんです。はい。これは、もう必要だったからですね。Q:今、それがある程度実現してきたのか、これだけ日本も裕福になったと言われる中で、そのあたりのアラというか、そこの無駄が積み上がってる、無駄っていうかその「そんなお金いらない」っていうのは、ここにきてよく見えるようになったのですか。
岡田:はい。それと、最初に言った、同時に国家が本来やるべきインフラのかなりを民間がやってくれちゃってる。その方がコストが安いのが分ると。例えば携帯を国家が運営して、それが税金だったらいまの携帯料金で済まないんですよ。

Q:電電公社の時代は電話機1台リースにするのにとか、加入金10万円とかていう時代がずっと長く続きましたね。
岡田:国際電話をかけるのにいくらかかるのか、という話です。いまはスカイプとかラインを使えば無料なんです。ということは、国にやらせれば高くつく。恐らく国家運営も、国にやらせているから高くついていると。なので石原慎太郎とかワタミとかですね、橋本市長のような、民間から来る人に対して、みんな期待しているのは、実は国家のリストラですよね。

Q:国への目が厳しくなるなかで、強制的にとられる税金へのネガティブな意識が高まる。一方で面白いのは、コラボもいっぱいされてきてますけど、お金持ちの人、セレブな人でも、節税対策というか、お金取られたくない、租税回避するんだけど、じゃあ何か公のために、人のためになんかやろうという、何かパブリックな意識がないかというとそうでもないっていうところですね。
岡田:国家はダイエットの時期にきていると思ってるんですよ。無駄に栄養をとっていると太るのと同じように、いま日本は、かつての僕が120キロあったんですけども、120キロ状態なんですね。これは食い物を減らすしかないんですよ。もちろん運動も必要ですけども。というわけで、国家の形を変えて支出を減らすのは必要なんだけど、それ以前に収入を減らすのが一番手っ取り早いんですよ!国家のリストラのためには。

Q:そこを指摘されてんのはすごいなって思ってるのは、国自体が自分でダイエットするのが無理だったら、それじゃ我々としては税金がなかなか、みんな所得も下がってるし、そもそも税金取れないと。納めにくくなることで国家のほうをスリム化するしかないというご指摘されてますよね。我々からすると、リストラ、いわゆる国家自身が何とか自分でね、行政改革みたいなことで、ちゃんとシュリンクして効率的になるのを政治通じて期待したりっていうことなんですよね。
岡田:でも、それは運動でやせようという考え方であって、それは実際に、現に体重を減らした人の中で数%なんですよ。大半はインプットの制限でやせている。ということは、国家のダイエット、シュリンクというものはインプットの制限しかあり得ないわけですね。

Q:確かに税金があればその分使わないといけないというのが国家のシステムみたいなもんですからね。
岡田:あればあるだけ使うんですから、じゃあ僕らが、国民ができる義務は節税ですよね。満額納税したら国家は太っちゃうから、僕ら親の立場になって、国民は。自分の息子が、もう、すっごい太ってきちゃってるんですよ。じゃ、彼らにいっぱい食べさして、食べた分ちゃんと運動するんだよって言ったら駄目なんですよ。そのときに、散々、息子や娘は文句を言うだろうけども、聞いちゃいけない。

Q:一方で、今の国家に無駄が多いと言われますが、弱者に配慮しろとか、国家の福祉が充実してるから、じゃあ、その人達切り捨てるのか、という反論もあります。
岡田:それは人質で、ヤクザの脅しですよね。だから国家を大人だと思うから、そんな言い方に耳を傾けちゃうんですよ。それは子供の反論、屁理屈です。つまり、そんなに食えなかったら学校で血糖値下がって勉強できなかったらどうするんだと言ってるのと、全く同じじゃないですか。だから国民として言えるのは、わかった、じゃあおまえらは満額税金を納めないと福祉すらもできない馬鹿なんだなと。じゃあ、福祉をしなくていいよと。だから福祉に予算を回せじゃないんです。国民はこれから本気で節税するから、おまえらは福祉をしなくていい。民間で福祉をやるから、おまえら寝てろと。

Q:福祉は国が責任をもってやるものだと。国って言っても、それは本来ひとりひとりの納める税金元にやってるんで、国って言う装置使わなくても、例えば海外なんかだと、よく言われる、みんな国に税金納めるのいやだから、バフェットにしてもものすごく慈善団体に寄付して、慈善団体がセーフティネットを支えてる面もありますよね。
岡田:いや、さっきのですね携帯会社の例と同じなんですよ。国家に福祉をさせると高くつくですよ。民間で福祉をすると恐らく安くつく。そうすると国家は絶対脅し文句を言いますよ。民間に福祉をさせると、こういう風に福祉を受けられない人が出るとか。でもそのデメリットよりも遙かに無駄というデメリットの方が多い。2割-8割の法則で、全員に金をやる代わりに10倍の金がかかるのが国家のやり方。そうじゃなくて10分の1の金で済んで、8割の人に効率よく福祉をする方法を考え、残り2割はさらに身近な人がフォローするという考えの方が、恐らく国民の納税意識を高めるとか、政治参加の意識を高めるのではなくて、国家はあてにならないからもう民間で引き取りましょうと。国家はさんざんダイエットして、何なら消滅しても構わない。それぐらいに考えておいて、国家に競争をさせないと駄目ですね。いま日本国しか僕らに政府がないのが問題。国内に最低三つあれば、どの国家の納税プランに僕らは加入するのか決めて、選択できる。

Q:自治体でも足による投票が実現すれば、例えば大阪は地方税が安いから移住しようとか自治体間の競争ができれば変わるかもしれませんが、いまはお金を配分する仕組みで、みんな平等にするように総務省がやってますから、なかなか行政サービスを自分で選ぶ、移住してでも選ぶという発送は、特に日本ではないですねぇ。
岡田:地方団体だったら移住っていうのは必要なんですけど、なんせ日本は日本全域にかかってますよね。ということは、クラウド状なんです。クラウド状であれば、僕ら複数の国家に入っていても、別に間違いじゃないと。じゃあ、統一的な国防はどうなるのかというと、そこの部分をアウトソーシングしてしまえばいいわけですよね。だって現にいま僕らは米軍で国防をしているわけでしょう? あれ、僕らは国防を外注しているんですよ。でも、外注だったら恥ずかしいから、彼らを受け入れる応接間として自衛隊を持っているわけですよね。外からヤクザを入れているんだけども、ヤクザが家の中で暴れたら困るから、お目付役として、応接間として自衛隊っていうのは存在するんですね。

Q:そういう、国家の基本要素である防衛みたいなものも外注するという発想も、実際にやってる国もありますからね。
岡田:僕らはすでにしていますから。という風にすでに日本国は10年以上前に、ひょっとすると戦後からずっと国家としては、すべてやりますというのは、もうウソなんですよね。外注したり、民間でやったりしているのに、建前機能だけ多くなっている。Q:今、そういう状態が見えやすくなってるもうひとつの要因として、税金が取れない、取りたくても、さっき、できるだけ節税をして国をシェイプアップっていう考え方もあるんですが、節税云々より、僕らのほうがなかなか税金を納めにくくなっているっていう要因があって。ひとつは、所得は伸び悩んでる、下がってる、国際的な競争の中で。もうひとつは、税金をどう取るかっていった場合、まあ、今、そう動きは大きくないにしても、お金持ちが海外に出るとか、ネット上の取引みたいに課税できないような部分がものすごく拡がってるとか、そういう税金を取る機能みたいなものも、やっぱり弱まってるんですかね。岡田:取る機能も弱まってますし、こっから先ですね、お金以外の取引がどんどん増えますよ。物々交換に税金とれないんですよ。で、物々交換が盛んになればなるほど見かけ上の経済成長は止んでしまう。でも、実際上の取引、本来の経済は増えると。これって20世紀末のイタリアと同じ。イタリアは地下経済が盛んで表面経済が低いから、まるで国家が不景気で破産しそうに見えたけど、実はイタリアはめちゃくちゃ元気なんですよ。

Q:それがよく言われる、僕も今回、消費税の問題、取材したら、イタリアなんかだと消費税10%20%になったとき何するか。これは、お前に売るんじゃないと。これは売買じゃなくて個人間でやるから、じゃあ、そのお金でこれよこせみたいなものだと、物々交換でも今、国の、税金の立場からすると、物あげてる以上、その原価分をやったら譲渡税がかかるっていう言い分はあるんですが、事実上補足不可能ですよね。イタリアだと、そういう個人間取引、いわゆる把握できないから地下経済って言いますけど、日本でも、例えば、消費税が5%から10%に上がったとしてたり、15%目指すみたいなことになると、国が補足できない物々交換であるとか、ネット通じた取引っていうのは、やっぱ爆発的に増えるというふうにお考えですか。
岡田:実際にお金を使った取引より、物々交換みたいなものが増える、割合として増えるのはこの10年以内だと思うんですね。ウイッシュリストというふうに僕らが呼んでるんですけども、個人個人がフェイスブックみたいなもので、私、実は今、何がほしいんですとか、うちの店で明日バイトを募集していますとか、明日時間が空いていますとか、個人個人のほしいものリスト、これをしてほしいリスト、これをしてあげますというリストというようなものを、お互いが出すようになったら、この間で交換済んじゃうんですよ。これまでの経済だったら、じゃ、その情報交換でお金を取りましょう、お店で働いてバイト代をもらいましょうと、お金があるから把握できるが、これが把握できなくなってきちゃう。

Q:わかりやすい例だとすると、ネット上でフリーマーケットみたいなただでもあげる、そしたら、もらう代わりに、じゃ私はコレあなたにあげますよとか。で、今んとこ食品はなかなか制約があって難しいんだけども、家具何かだと、みんな捨てるのにお金がいるから、事実上、無料で引き取ってくれたらやるよっていう人も、ものすごく多い。
岡田:いまはまだお金を介さない交換がそんなに増えないのは、その場で交換しなければいけないからなんですよね。でもネット社会はどうなるのかというと、交換して口約束で「これ貸しね」といったらお互いのサイトに記録が残せるじゃないですか。

Q:取引履歴みたいなものですね。
岡田:そうそう。肩もんであげたよと。肩たたき券みたいなものが、ずっと有効期限無限で続くんですよ。コーヒーおごったよねというのがお互いのフェイスブックのコメント欄で書いたら、それらの貸しがたまって後でご飯をおごるよと返せるわけですよ。で、そうなってしまうと、現金で取引してしまったら消費税かかると。なんで国家に払うのかと。消費税はたぶんこれから先20%くらいいきますよね、今のままだったら。じゃあ20%の消費税を払って僕たちは、あの100万人ぐらいいる「穀潰しども」を喰わせたいかと言えば、喰わせたくないんですよ。Q:そう、それがみんな本音のとこなんですけども、そこの岡田さんみたいな発想にいきにくい人、例えば、高齢者何かだと、農家の人たちはきっとみんな、お米買わないわけですよね。大体、田舎行くと親戚がいてくれるから。ほとんど自家消費米が全体の2割なんだとか。岡田:あれ、僕は自家消費米って言ってるのは、あれはベーシックインカムと呼んだ方がいいと思う。つまり日本国民のうちの実は3割ぐらい、米代を払ったことがない。それをすべて米代を払っている人たちが負担してるわけじゃないですか。あれって、だから僕らはお米買ってるんですよ。ってことは、米税金を払っているのと同じですよね。

Q:地方の人だと、そういう地縁、血縁とか、知り合いに農産物タダであげるとか当たり前のこと。ただそれは当時、ネットがない社会のいわゆる顔知ってるとか、同じ出身だとか、一番わかりやすいのは地縁、血縁でまとまるっていう。その地縁、血縁を越えて、ネットでつなぎ止める手段がいくら発達しても、相手のことを本当に信用できるのか。で、いくら取引履歴というか、お互いの貸し借りみたいなものが残るとしても、やっぱり、そこに飛び込んでいけない人っていうのは、大きなドットとして、多分、年齢層が上の人なんかには残るんじゃないですかね。
岡田:いや、それはねぇ、逆だと思いますよ。というのは、僕らは、昔はですね、怖いから知り合いにしか物を売れなかった。明治時代の日本人で、江戸末期ぐらいまでかな、金を持っているだけじゃ売らなかったんですよ。それより何とかさんの紹介ですからって、金はあるからといっても堺の商人は鉄砲を売れませんと、信長に断ったんですよ。つまりもともとは顔の信用がなかったら金だけじゃ売れないものをですね、わずか数十年というか10年ちょっとぐらいの明治維新で、金さえ持っていたら誰にでも売れる国家に僕らは変えたんですね。じゃあもう一回、これがですね、金さえ持っていたらじゃなくて、顔を見知っていないと、もしくはネット上の評価がないとあなたと取引できませんという国家になるのにかかる速度って、明治維新よりももっと早いはずなんですよ。

Q:そこの発想は、今、気づいている人と、気づいてない人、岡田さんのように、評価経済社会みたいなものが、そう遠くないころに来つつあるっていうのを、実感できる人と実感できない人との差っていうのは、どこで生まれてるんでしょうね。例えば、僕らみたいな、オールドメディアなみたいな、新聞のとこだと、正直、評価経済社会みたいなのがすごい勢いで拡がってみたいなのを実感できない人のほうが多いような気もするんですけど、それはやっぱり、ちゃんとネットの親和性だけなんですかねぇ?
岡田:リアルマネーにこだわっている人ほど見えにくいですよね。例えばリアルマネーにこだわっていると、お金払ったら解決しちゃうんですよ。でも若い人は、どんどんどんどん、お金を払わずして、結構豊かな暮らしをするようになっている。実は金いらないじゃん、ということにどんどん気がついている。でないと、彼らの就職率の低さは説明できない。それは彼らはもちろん困っているし、自殺するぐらい悩んでいる人も増えてるんですけど、何よりも親が別に無理矢理就職しなくてもいいと言うし、彼らも実はお金ってそんなにいらないんだよなと。服なんてユニクロでいいしと思ったら、年にいくらで食えるんだと僕らが見込んでいる金額よりも遙かに少ないんですね。

Q:家が親が居て、家で一緒に暮らしてたら、ちょっとバイトをするだけで、正直食えますしね。
岡田:今、シェアハウスもどんどん増えているじゃないですか。いまの40代以上の人たちって、まだ最後の、大人になったら独立して、一人住まいして、自分の部屋がという幻想を持っていた最後の世代だから、彼らにしてみたら経済が発達するのは当たり前。20人で住んでいた時代から10人で、2人で住んでいた時代へと。僕はサザエさんと言っているんですけど、サザエさん一家はお父さん2人が働くことによって、波平さんとマスオさんが働くことによって7、8人食えているんですよ。クレヨンしんちゃん一家は、お父さんが働くことによってみさえとあの2人だけですよね。あと最近ひまわりも増えましたけど。で、今は夫婦共稼ぎじゃないと食えないようになっている。と言うことは、何人働くかによって何人食えるかの人数が劇的に減っているわけですよ。それはなんでかっていうとこんなに家族がばらけてしまったから、10人がかりでテレビ1台でよかったのが1人1台になればそれは金もかかるよと。となるとこれからどうなるかと言えば、もう1回、10人でテレビ1台に戻るに決まっている。

Q:そう言う意味でシェアハウスっていうのは、若者がそういうシェアハウス的なものに流れるってのは理にかなってるってわけですよね。
岡田:当たり前であって、で、同時に実体経済と言うかですね、リアルマネー経済はここから先、縮小するんですけども、評価経済での売上って言うか、経済活動っていうのは盛んになる。ということは、評価経済で国家が税収を受け取らない限り、つまり労役などで税金を受け取ろうとしない限り税収は一貫して減るんですよ。

Q:強制徴税みたいな、みんな労務場で「働けー」みないな...
岡田:そうじゃなくて、今、例えばゴミ処理とかが高くついているとすると、民間の方がボランティアでゴミ拾いやゴミ集めをやってくれたらその分税金を下げますという地方団体があれば、みんなすごく納得できる。国家が、地方自治体がやっているから高くついている。その代わりこの市の中で毎日150人必ずやってくださいと。その分税金を安くしますと。

Q:それ見えやすいですよね。
岡田:見えやすいんです。それは何かっていうと、税金を現金じゃなくて労役の形で支払うということですよね。ボランティアで集まった人は、集まったら税金が安くなるっていうことは、実は毎日150人の有志が集まれば、その地方自治体の、例えば5万人とか10万人全員の税収、あの納めなければならない税金が下がるわけですよ。ということは、みんなが、ボランティアすることによって納める税金が少なくて済む。変な癒着の問題も起こりにくくなる。全員得なんですよ。税収が数字上下がる以外は。で、そういう地方自治体の方が、これから人気が出るんです。みんなが住みたがる。変な話ですよね。税金が高くて公共サービスがいいっていうのを、かつて田園調布や武蔵野市は目指していたんですけど、そういうのがいやになっていって、税金は安いんだけれどもボランティア活動が盛んなところっていう方が、みんなのあこがれの土地になっていく。こうなると国家の税金とか、地方税とかも含めて、どんどんどんどん、税金というのは、リアルマネーの税金というのは減らざるを得ない。

Q:今、日本の中の動きを聞かせていただきましたが、海外に関しては、国際間で見るとですね、例えばamazon取材していたら非常によく分って、amazonは、彼ら取材していてもなかなか認めないというかはっきりしない部分があるのは、日本でいくら税金を納めているのか、よくわからない。よく言われるのが、日本でamazonのものをダウンロードしたとしても消費税実はかからない。それはアメリカにサーバー置いてるから、アメリカで決済しているっていうことになって消費税かからない。一方で日本で楽天みたいなところから、ダウンロードしたものを買う場合、それは日本にサーバーがあって、日本で決済してるから、税金がかかるみたいな、国際間で実物を伴わない情報・データやりとりをする場合、どこで税金をかけるのかって非常に難しくってですね、amazonは、そこ税金を、日本では消費税払わなくていいんですよね。本は払わなきゃダメですけど、電子書籍にしたとたん、今払わなくていいんです。
岡田:ほう、おもしろいですね。

Q:それは、良い悪いじゃなしに、そういう実物じゃない物を国際間取引するときに税金なんてもう、掛けにくい時代になってるんだと、いうのを見て、一方amazonは、法人税みたいなもんもイギリスで払ってないとか、日本で払ってないとか、いろいろ怒られたり、まあ彼らとしたら、本社機能はアメリカだけであって、あとはネット繋いでるだけだという言い分だと、それも一理あると思うんです。そういう企業に税金をかけること自体が難しくなるというのが、今の現状ですよね。
岡田:国家とか税金という仕組みが、国際企業が出る以前のものですから、国際企業が出たところで、もう特例を色々つくるしかなかったものが、もう限界なんですよね。で、20世紀の人類の夢は「だから地球政府っていうのを作って税金を一元化しよう」という考え方がひとつあったんですけども、それより先に多国籍企業の方が広がり同時に無国籍企業、amazonそうですよね、完全に。ケイマン諸島とかに本社を置いている企業が山ほどある。あれは多国籍企業ではなくて無国籍企業ですよね。

Q:それに対する怒りも大きくてですね、それを何とか課税しようという動きも、今、例えば、ケイマンみたいなところも、もうアメリカとか圧力かけて、取引情報開示しないと、おまえら脱税で全部、圧力かけるぞとか、必死にみんな何とか取ろうとしてるっていうのが現状なんです。
岡田:それ、ケイマンみたいなところだから言えるんですけども、じゃあシンガポールが、じゃケイマンつぶすんだったらうちがやりますよと、うち法人税ゼロですっていうふうにギリシャかシンガポールが言ったらどうすんですか。言いかねないじゃないですか。言いそうなのが、ギリシャ、シンガポール、台湾だと思うんです。あっ、あとドバイ。(笑)

Q:今、日本企業も海外に出てる人もいるし、個人でシンガポールへ移住した人の取材何かすると、みんな何が高いかって、相続税がイヤらしいんですよ。金持ってる人は。相続税が日本だと、ある程度、これ何億円以上持ってる人の話ですけど、やっぱある程度負担するだろう。海外だと相続税ゼロの国って結構多いんですよ。それはまあ、価値観の違いみたいなところもあるんでしょうけど。そうすると、本当に日本を出て、海外で、相続税納めたくないから金持ちが移るっていう時代も、強ち、僕、遠い話じゃないような。
岡田:う~ん、僕ねぇ、そっちは案外少ないと思うんですよ。というのは、日本人は日本というインフラにすごい慣れてるから。よその国民だったらですね、こんなに相続税高かったらもっと出ているはずなんです。日本は相続税の高さと国民の教育程度に比べたら、出てる人間が実は圧倒的に少ない。これが日本という国の強みであり特殊性だから、これ、もう生かした方がいいですよ。

Q:なるほど。いや、そこはねえ、よく言われる日本語障壁とか、いわゆる、華僑の人とかどんどん出ますよね。それは、やっぱりそう、出ざるを得ない、家族がいっぱいいたら全員食えないみたいな厳しい現実があるんでしょうけども。
岡田:あのね、それはねぇ、僕らはですね、一族愛よりも郷土愛の方が強いからです。一族愛が強かったら華僑みたいに一族連れて海外に行こうと考える。僕らはそういう風に絶対に考えないじゃないですか。中国の人が国を愛すると言う場合、家族を愛するということで、全員がアメリカにいて豊かになれるんだったらアメリカに行こうって考えるんです。でも僕らはそんな風に絶対考えない。日本人が考えるのは自分が住んでいる環境を含めての忠誠心だから、実はそこにいるメンバーじゃないんですよ。

Q:それだけ日本は郷土愛みたいな、いわゆる地域を愛するパブリックな気持ちみたいなのがあるんだから...
岡田:それを利用した方がいいんですよ。はい。Q:それを、だから税金が取れないからって、じゃあその、逆に言うと活用法としては、郷土愛なりパブリックなのを評価経済的なものに結びつけると、税金がそうかからなくても、ちゃんと、今、政府がやっているようなことを代替することができるんじゃないかというのがひとつの考えですね。岡田:僕はそういうふうに考えています。だから、そうではなくて、マイクロ国家みたいなサービスを、それぞれの個人が始めればですね。特に富裕層相手に始めれば。資産5億円以上持ってる人は、「自分の国家をもっちゃいませんか」というふうにしちゃえばいいんですよね。

Q:そうなんですよね。ここで「いい人戦略」みたいな話を聞きたいんですが、例えば、税金が下がって、例えば福祉機能が、政府が持ってるものが落ちてきたとき、じゃ、みんなが郷土愛とかパブリックな気持ちとか、俺はこれがほしい、例えば、腹減ってるからお米がほしい、その代わり何でもやるみたいな、あの、そういう結びつきができてちゃんと回り始めればいいんでしょうけども、そういうときどうしても、ある種詐欺的な話とか裏切りとか、やっぱりこう、欺されたとか、なかなかそう踏み出せない。踏み出したら怖いんじゃないかみたいな、ネガティブな感情っていうのは誰しもあると思うんですけど、そういうのを乗り越える装置みたいなのは何かありえるんですかね。
岡田:さっき言った、ネットによる個人の格付けだと思うんですよ。結局そういう人って、もし詐欺みたいなことがあるとしたら、必ず前にもそういうこと起こしているわけですよね。それが追い切れないんですよ。でも、今、ネット社会ですから、そいつのやったことって小学校時代からもうたまってますよ。誰かをだましたら、それで1億得たとしてもそいつは小学校からの友達、すべてを失わないといけないんですよ。そうするとペイしないと。犯罪がペイしない社会に、徐々になりつつあると僕は思ってるんですけどね。事故はあるでしょうけども、詐欺的な犯罪をやるっていうのは、詐欺的な犯罪をやる階級自体で、彼らは社会をつくってない限り無理なんですよ。ところが詐欺的なことをやる人たちの階級っていうのは、囚人のジレンマというやつで成立し得ない。だから一見の人は信用して、裏切った瞬間に信用しないというやり方。ゲーム理論でいうところの誰を信用するのがもっとも勝者の、生存確率が高いかというやつですね。

Q:そういう発想に、みんな行って回り始めれば、結構面白い。
岡田:それらを若い人がやっているのは、この前、炎上騒ぎを起こしたスタディギフトみたいな形で、みんな人助けをしたいという欲求が強いんですよ。でも、欺されたくないと思うので、なので、何かをしてあげますとか、物々交換します、フリーマーケットしますというので儲けたい人というよりは、これで自分が一生つきあえるようないい人と知り合いになってそのネットワークを広げたいという方がみんな、多いんですね。だから僕らが得られる物はお金じゃなくてつながりなんですよ。評価経済社会の本質っていうのは、貨幣経済社会っていうのがみんな、とりあえずお金さえ持っていれば安心だったのが、つながりさえ持っていれば安心という社会になる。そうするとジャンクな小金なんかつかんでもしょうがないから大もうけしようとするのと同じで、ジャンクなネット上のつながりなんかいくら持ってても、リアルな本当に信頼できる人とのつながりの方がずっと重要に決まっているっていうような、つながり格差がというのがちゃんと生まれます。

Q:国内では、そういうやり方というのがあるのかもしれませんが、今、国際間では企業も競争するし、国どうしも競争するみたいなところがあって、例えば、日本がどんどん税金取れなくて、少しでも税金取ろうと法人税上げたりすると、トヨタとかソニーが海外に本当全部出て行くかもしれないとか。日本は、そういうふうに経済がシュリンクしてでも、ちゃんと回る仕組みを考えようしていったら、中国が昇っていって、経済的、GDPでいうと負けちゃうとか。今、税金を各国間で取り合い競争しているようなものが現実問題ありますよね。トヨタだったらアメリカで課税するのか、EUで課税するのか、日本で課税するのか。そういう違いがあるときに、そんな評価経済みたいなこと言っても、日本は世界競争中、生き残れないぞみたいなのがよく言うロジックで...
岡田:世界競争では生き残れませんよ。どっちにしても。国民減るんですから。はい。経済競争で生き残った人たちを客にしていればいいだけであって。彼らが来る喫茶店を目指せばいいんですよ、日本は。Q:過去の栄光なのかもしれませんが、そこのところ受け入れにくい前提もあるのかもしれませんね。岡田:旧家でプライドが高い家に、今、日本がなっちゃって、それはやってもしょうがない。明治維新とすごい似てますよね。プライドだけは高くて鎖国だとか、攘夷だ異国船打ち払えと言ってるのと全く同じ状況で、明治維新が終わったら何がやってきたかというと侍という階級が1人もいなくなったのと同じで、僕らがこれから迎えるのは、定職とかですね、国家公務員というのがない時代ですね。だから朝日新聞の記者という職業がなくなって、朝日新聞で記事書いているという状態だけが残る。

Q:結構ネットで、指摘で鋭いなと思ったのは、amazonで便利になったと。物買うんでも安く、安くじゃなくてすぐ、本、手に入るようになったと。でもamazonがそれで大儲けしてるかっていうと、まあ儲けてたとしても、まあトヨタ並には儲けてはいない。それでも、全国の本屋さんとか、仕事奪われた人はいっぱいいると。IT化を突き詰めていくと、ある分野で食える人がどんどん減っていって、収入がまあ、できない層が結構出てくる。
岡田:僕がさっきから話してる、じゃあ、みんなが物々交換したらどうなるのかと言うと、みんながどんどん、これあの言い換えるとですね、食えない人が増えると言うより現金収入が減るんですよ。つまりIT化が進めば進むほどマネー経済はどんどん衰退するんです。でも実は、みんなの幸せは少しずつ上がっていくと。本が安くなったり、ただで読めたりということで幸せは増えていく。じゃあ月に50万円給料をもらっているとかですね、年収1千万円って言いましょうか。年収1千万円の20年前の人と、いまの年収170~180万のバイトの学生とどちらが豊かな暮らしをしているかと言えば、絶対いまの学生なんです!はい。プラスの豊かさ、バイト代で年収120~130万の学生が20年前にタイムスリップしたら面白いでしょうけれどもその時代にいたいとは思わない。だってネットないし、テレビのチャンネル数って4つぐらいしかないし、情報遅いし。携帯電話すらないですね。20年前の人たちはいまの大学生の暮らしを見て、それだけの暮らしを維持するのにいくらかかるのといえばたぶん安さにびっくりすると思うんですよ。なので僕らはお金がなくなることにおびえなくてもいい。

Q:結構、ネットで評価みたいなこと、そうやってお互い信頼できる仕組みが構築できればいいんですけど、よく言うのは炎上だとかですね、ひとつは、あの、ネットでも、さっき国家間の競争みたいなところだと、どうしても今、日本みたいなものがシュリンクして、他の韓国や中国とかアジアに比べると見劣りしかねない状況になると、やっぱりそう排外的なことをいう、いわゆるネット右翼って言うんですか?そういうのも目立つかもしれない。ネットってこう、色々書き込んだり、大吠え言ったりする人が一定数いると、すぐ目立っちゃう部分もありますし。お互い信頼できる評価経済みたいなものを造るというのは夢物語じゃないかという人も多分、出てくると思うんですよね。
岡田:それは、個人間の格付けがまだ進行していないからですよね。炎上させた人は恐らくマイナスポイントがちゃんと付きますし。

Q:そこはいわゆるネットの匿名性だとか、何とか、そういうものがあればやれるんでしょうけど、本当にFacebookで顔出しして、他人を誹謗中傷したりとか、いわゆる排外的なことを言ったら、そうやってちゃんと受け入れないっていうような仕組みが回り出すんですかね。
岡田:僕らも月に10~20万円とか収入があれば無駄遣いをしますよね。それと同じようにこれからの人は評価の無駄遣いもするわけですよ。暴言吐いたり、炎上騒ぎに荷担していったりすると、自分の評価が下がるんですけども、それは自分の評価貯金の中でやればいい。馬鹿は破産するまで評価を使うと。つまりネガティブなことを周りでずっと言っている。そいつはただ単に破産しているから評価が月に3万円ぐらいしかない。円で言うと。でも賢い人はたまーに言うこともあるだろうけども、それは自分の評価収入の範囲内でしか言わない。Q:非常にわかりやすいんですが、そうすると結構、格差っていうものがお金以上に出てきますよね。岡田:もちろんですよ。だから競争社会であることは変わらない。ただ競争して得られる物は何かって言うと、よりいい人のふりをした方が得な社会になるから社会コストが低く済む。貨幣経済社会っていうのは悪いことをしたら損をするというような仕組みがないと、貨幣経済社会っていうのは安定成立しないんですよ。評価経済社会の方が悪いことをしたら評価的に損をすることが成立しやすいから、社会安定にコストがかからない。世界人口はここから先30億人程度は増えるでしょうから、基本的にみんなが仲良くするしかない社会なので。

Q:そろそろまとめ的入ると、まあ、税金をとりたくてもとれない世界だし、そもそも政府というものに対して税金をみんな頑張って納めて、いろいろと政府にやってもらおうというのが、もう時代遅れになってる。構造自体が時代遅れになって、その次のネットを通じて、お金を介さなくてもみんながうまく回れるような、ある意味助け合いというか、きれいごとでもないのかもしれない。
岡田:僕らは国家に税金を満額払うから、国家は問題がない立派な政治家が集まって、ウソのない官僚がいて、漏れのない福祉をやってくれというのは「モンスター国民」の言い方になっちゃうんですよ。既に。20世紀前半では、これは理想的国民のあり方だったんですよ。税金を全部納めるから、お上の人はちゃんと身をただしてやってくださいよというのは、すごい正しい国家と国民の関係だったんですけども、税金を納めるから、全部ちゃんと理想的なことをやってくれというのは、既に学校に対して学費を払っているんだから先生は全部やってくれ、いじめ問題とかはゼロにしてくれって、これって「モンスターペアレンツ」ですよね。それと同じように、それ「モンスター国民」。学校ですら今、しつけは家庭でお願いしますとか、言ってるんですよね。あの落ちこぼれは塾に行ってくださいと、限界を正直に言っている。国家も限界をもう言うべき時代なんですよ。国家というのは、もう単独では国民サービスをできなくなりましたと。それどころかダイエットすらできません。

Q:じゃあ、今の、消費税を上げるのどうしようという国会の議論とか、我々の論調も、ある意味ちょっと古いって言ったらいいかも...
岡田:僕はいくらでもお上げくださいと。上げれば上げるほど、実は税収は減りますけど。でも10年は大丈夫です。みんながそれに気がついて、リアクションを起こすには10年かかるんですよ。消費税を上げたら10年間は税収増えるだろうけども、その後なんでこんなに減ってきているんだろうと。どんどん地下経済化するだけ。Q:税金とるために取り締まりを強化しても限界がありますしね。岡田:ご飯を減らしたら、こっそりおやつを食べるだけですからね。頭のいい人たちが、そんな頭の悪いことをやってどうするんですか。




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