働きすぎることは資源を浪費し、環境を破壊する悪徳なのです。仕事のために、最も希少である「自分の時間」を使う行為です。いまや日曜も祝日もなく働く人とは「働き者」ではなく、「こき使われている弱者」なんですね。
評価経済社会 ぼくらは世界の変わり目に立ち会っている
著者:岡田 斗司夫
販売元:ダイヤモンド社
(2011-02-25)
販売元:Amazon.co.jp
最近、お金って、あってもあんまり使い道ないですよね。
だって音楽や映画は、ネットでタダで拾えちゃう。
本や雑誌なんて買わなくても、TwitterやFacebook見てれば新しい情報が流れてくる。
服もユニクロで十分だし、食事だって牛丼なら300円しない。
家具や家電だって、ヤフオクで買えばタダみたいなものだし。
もちろん、お金は必要ですよ。
でも昔に比べたら、ずっと必要性が少なくなってる。
あったらそりゃうれしいけど、なかったらないでたいして困らない。
こんな時代になると、そもそも働くことの意味がなんだかよく分からなくなってきます。
バリバリ働いて、出世して、社長になったからって、それが何なの?
意外なことに中世の人たちにとって、“勤勉"とは泥棒と同義の犯罪的行為でした。というのは、一人がたくさん働けば、結果的に他の人の土地や資源を奪うことになるからです。中世の人々は、いくら働いても貧乏なかわいそうな人々ではありません。「貪欲は悪」という価値観に生きていたのです。
働いてないと、たしかに世間とか、親とかの目が気になりますよね。
自分でも、なんだか罪悪感を感じますし。
でも「働くこと=善」という価値観自体、実は近代社会の刷り込みでしかなかったんですね。そもそも仕事自体、確実に減ってきているというのに。
お金はもうたいして重要じゃないし、一所懸命働くこと自体、必ずしもいいことじゃない。
その代わり、「人からどう見られているか?」ということがどんどん重要になってきているのではないでしょうか。
ヤフオクだって評価が悪いと入札もさせてもらえない。
TwitterやFacebookでフォロワーが少ないと、なんだか恥ずかしいし。第一いい情報もまわってこない。
でもフォロワーが多い人には、欲しいものがあれば誰かがプレゼントしてくれたりする。旅行に行っても、誰かがタダで泊めてくれる。
本だって買わなくても、出版社や著者のほうから送ってきてくれる。
1億円持ってるやつより、Twitterのフォロワーが100万いるやつほうがずっとエライ、というのが今。
つまり、これから稼がなくちゃいけないのは「お金」ではなく「評価」なのです。
この新しい時代について書いた本が『評価経済社会』です。
貨幣経済社会というタイタニック号が沈没しつつある時に、最後まで沈まない場所、より安全そうな場所を、我先にと争って取り合っても意味がありません。
貨幣経済社会が没落する時、どんな現象が起きるのか? 評価経済社会と入れ替わる時、どのように人や社会は振る舞うのか?
そして、その中で私たち一人一人はどのように生きていくのが、「新しい幸福」なのか。
本書で扱うテーマは、この評価経済社会という新世界への海図であり、大陸の地図そのものです。
世の中の価値観自体が大きく変わろうとしている時に、以前の価値観の延長線上で物事を考えても、何も解決しません。
なんてったって、昔は「勤勉=悪」だったんですから!
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目次
第1章 貨幣経済社会の終焉
百年前の未来
五十年前の未来
西暦二○○一年のオフィス
技術の進歩は社会常識を変える
「科学は死んだ」
トフラーの予言
堺屋の反論
経済的視点の限界
パラダイムシフト
若者の価値観を見る
ネット内のオカルト
チープ革命
私たちの内なるオカルト
最も大事なもの「今の自分の気持ち」
もう「豊かになることによる幸福」が信じられない
正しい未来
科学主義者
再び「科学は死んだ」
価値観変化の中心
何が科学を殺したのか?
マスメディアの親殺し
理系離れの「エコロジー問題」
社会自身の「理系離れ」
では経済は死んでいないのか?
経済が輝いていた時代
「評価経済社会」
第2章 パラダイムシフトの時代
消えた古代都市
パラダイムシフトの時代
人間のやさしい情知
農業以前の精神文明
農業革命と社会変化
封建社会の価値観
引き返せない楔
古代科学帝国の限界
「モノ不足・時間余り」の中世
高度抽象文明
産業革命前夜の風景
「科学」はキリスト教から生まれた
中世社会の崩壊
民主主義・経済主義を生む「科学」
近代人の生き甲斐
「国民教育」の正体
近代人の苦悩
ネット中世
人類の「悩み相談所」
新しいパラダイム
「モノ不足・ネットによる情報余り」の時代
唯一無二の自分
求められる「生涯教育産業」
第3章 評価経済社会とは何か?
溶けていく極地の氷山
「影響」とは何か?
メディアの影響力
「高度情報化社会」の正体
ポスト軍事力としての「影響力」と「評価」
メディアの本質
「報道主義」というイデオロギー
兵器としての映画
「評価経済社会」
貨幣から評価へのバトンタッチ
「洗脳装置」から「影響/評価装置」へ
市民に開放された「影響」
【実例1】ネットの世界
【実例2】コミックマーケット
評価経済社会の勝者
評価資本に基づく「影響力」のある企業
評価経済社会に適応した会社モデル「FREEex(フリックス)」
未来企業を左右する「評価資本」
評価資本に恵まれたSONYとApple、その明暗
評価資本の投資と回収
評価経済社会での消費行動
望まれる企業像
評価経済社会での政治
有名人であるデメリット
「政治の意味」の減少
「国家権力」の変容
分断される日本
第4章 幸福の新しいかたち
評価経済社会のキーワード
人を「中身で判断する」とは
価値観で判断される個人
価値観共有グループ
二次文化集団
価値観並立の訓練
非就職型社会
TPOで使い分ける価値観
「近代的自我」の呪縛と限界
情報化会で求められる才能
近代的自我から「キャラ」へ
評価経済社会での「自分」
「自分の気持ち」至上主義
評価経済社会で求められる「商品」
評価経済社会を生きる人たち
「結婚」の解体
「家族」の解体
第5章 新世界への勇気
今、起きつつある「変化」
失楽園
新世界への勇気
コラム
クラウド・アイデンティティ問題
評価経済社会 ぼくらは世界の変わり目に立ち会っている
著者:岡田 斗司夫
販売元:ダイヤモンド社
(2011-02-25)
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週刊東洋経済インタビュー ノーカット版掲載
(ライター: リア充のヨシヒロ)