FREEexなう。

2012年03月30日

「国民スナフキン化計画」 サンプル原稿 3

__こんにちは、人が多くなってますね。どうしたんですか?

 こんにちは、冬以来ですね。
 これから田植ですし、必要があって山林の伐採も始めましたからいつもより多くの人に来ていただいています。

__これだけの人が暮らせるんですか。


 ええ、管理している空き家に分散して寝泊りしてもらいます。食事は集落の会所でまとめて作っていますので大丈夫です。女性の方にも来ていただいていますので。
 今夜は鴨鍋らしいですよ。後でいっしょにどうですか。
 濁酒(どぶろく)ですが酒もありますから。
 風呂もこの時期はJA(農協)の倉庫だったところに大浴場を作ってあるのを毎日沸かしてます。混浴ですけどね。嫌だという方には我々の自宅にある五右衛門風呂に入ってもらいますがね。

__ありがとうございます。田植えの準備の方は順調ですか。

 はい、今年は全部の田んぼの3割ほどを不耕起農法で 残りを耕運機で耕しました。もうほとんどの田に水が入っています。
 耕運機は燃料づくりに畑を作って菜種を植えたりしなきゃいけないので本当は農耕馬を数頭ほしいんですがまだまだ数が少ないらしくって値段か高いので買えません。馬なら交通手段にもなるんですがね。大災厄以来ですからね農耕馬や農耕用の牛を増やし始めたのは。
 不耕起の田も増やしたいのですが、不耕起を始めて安定するまでの数年は収量がものすごく減りますからなかなか増やせないんですよ。

__山林の伐採は何故始められたんですか。

 ああ、光通信のケーブルが経年劣化で取り換えないといけなくなったんですよ。いわばこの村は国に見捨てられた村ですからインフラは自分たちで整備しないといけないんでね。その費用を捻出するために伐採した木材を売ります。
 ネット接続ができる事がスナフキンさんたちに長期滞在していただくための最低条件ですからね。

__山に行っている人たちはスナフキンではないような雰囲気があるんですが。

 山賊さん達ですね。国民総番号制と『あの国』への接続を嫌って山に逃れた人たちですよ。国との連絡を取らないので死人扱いになっていると聞いたことがあります。
 初めは本当に山賊のような事もしていたみたいなんですが、今では山のエキスパートです。
 時々ふらっと獲物と米の交換に数人が来られる時を捉まえないと連絡の取りようがないのは不便ですが、彼らには彼らなりの連絡方法があるみたいで お願いすればこのように人数を集めてくれます。

__山賊やスナフキンたちへの報酬はどうなっているんですか。

 山賊さん達には米でお支払いします。スナフキンさんたちは米がほしいと言われるなら米を送りますし、そうでないなら街で米と交換した食糧ポイントで支払っています。基本的に現金で支払うことはないですね。

__有難うございました。また収穫期に来させていただいてよろしいですか。

 収穫期は我々が認めた信用できる方々しか村に入れなくなっています。
 大災厄前にも少しあったようですが、コンバインを持ち込んで勝手に米を収穫して盗んで行ったり、収穫した米を強奪していく、俗に『盗賊カンパニー』と呼ばれているいるグループが増えましたので厳重な警備になっています。時には戦闘状態になりますので危険です。数年前には居残り組の数人が亡くなりました。
 この警備をスナフキンのかたに頼むわけにはいかないので居残り組が警備に当たります。人数を割けないので、申し訳ないですが収穫期にはこの村に入っていただくわけにはいきません。

__警察は?

 警察ですか。一度呼んだ事があるんですが2・3人の警官が来て盗まれるのをボーっと見ているだけでした。「犯人を調べてるんだ」とか言ってましたが結局盗まれたものは返ってきませんでした。あんなものあてになりません。

 ただ、出荷が終わったあと収穫祭として村祭りを行いますのでその時にはおいでください。今来ておられるスナフキンや山賊の方々も全てお呼びします。


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クラウドシティ市民 奈良の達摩 さんの作品を掲載しました。

掲載に快く応じて頂きありがとうございました。





5回に渡り、お付き合い頂きありがとうございました。



「国民スナフキン化計画」ご応募お待ちしております。


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あなたの話、未来の話、旅の話を聞かせて下さい。


無銘のマサフミでした。






otaking_ex_staff at 23:00コメント│ この記事をクリップ!
国民スナフキン化計画 

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