○相談者 34歳 主婦
昨年男児が生まれた３４歳の主婦です。
毎回、岡田斗司夫さんの回答を楽しみに読んでおりまして、どうしてもお聞きしたくなりました。それは、物事を論理的に考える人間に育てるためには、どういう訓練、教育が必要かということです。
私自身は「理屈っぽい子」と言われて、育ってきました。何ごとも、自分が理解していないのに何となくムードに流れるのが嫌で、きちんと①②③と、問題を数学のように整理し、解決策を考えたい性分でした。
ただ、不思議なことに、同じ志向の男性とはうまくいかず、結局、いまの夫は融通無碍というか正反対の性格です。問題に対してあまり真正面から向かい合おうとはせず、したがって解決しようという気概とか意欲はなく、ただ単にうーんと悩んでうなっていれば、問題は消滅する、そんなふうな人です。「どっちでも大して代わりはしないんじゃないの」「そんなにスパスパと割り切って考えるから難しくなるのでは」などと、文句を言う始末です。
仲がいいのでそれは相性でいいのですが、子供にはなにか壁にぶちあたったとき、現実に即して物事を考え、いくつかの選択肢から最善の策をとる、賢明な問題処理能力を持たせたいと思います。
どうしたらいいのでしょうか【回答】
論理力の教育については心配無用。
母親のあなたが論理的なんですよ。「勉強しろ？」「なんで？」と毎日激しくやり合ううちに、息子には必要以上の論理力や言い返し力、別名「戦闘思考力」が身についてしまうでしょう。
逆に「他人にあまり理屈を言うな」というしつけが必要です。プロレスラー一家の息子が他所の子を殴ったらシャレになりませんからね。論理だけでは役に立ちません。
論理力＝論理的に考える。
解答力＝最善の答を出す。
実行力＝実際に解決する。
いくら論理的に考えられても、答を出せないとムダ。よくいるでしょ？「政府はダメだ」と口だけで言ってる人。彼らは論理力はあるけど、解答力がない。
また「こうすればいい」と思いついても、実行力が無いと絵に描いたモチ。論理力と解答力だけで、実行力がないと”言うだけの人”になっちゃいます
大事なのは総合的な思考力と解決する力、言うなれば「問題解決力」です。
これは５つの要素の掛け算で決まります。
①論理力②人望③金④コネ⑤運。
①と②は弱者の味方、「持たざる者」はこれに頼るしかありません。③と④は、生まれた環境で決まるけど、工夫しだいで徐々に伸ばせます。
各数値が高いほど問題解決力は上がります。でも低い要素が一つでもあると、大きく足を引っ張られます。論理力が高くても、並はずれて人望がなければ、幸福になるのは難しいでしょう。
⑤運は「見切り」のために必要な要素です。
たとえば人気絶頂アイドルに恋をした場合、どんなに①～④が多くても、まず不可能。その場合、「これはムリ。運が無かった」とさっさとあきらめるべき。でないと、ずっと飢餓感にさいなまれることになります。
幸いにも、あなたに無い要素を夫は持っています。理屈は通じない、問題に正面から向き合わない。でも、現に大きな問題もなく、あなたとの相性もいい。
たぶん②人望⑤運が強いのでしょう。
なので、教育の最適解は「いつも親子三人で話す」「共通の目標を持つ」です。
三人で力を合わせて社会的な成功、つまり③金④コネを伸ばしましょう。すると全員の問題解決力が上がりますよ。
教育とは「知ってることを教える」じゃないんです。「子どもといっしょに発見する」のが最大の喜びであり、自分の学びにもなります。
楽しい家庭になりますように！
