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2011年10月02日

BRUTUS 10/1号 岡田斗司夫インタビュー全文(前編)

 発売中の「BRUTUS(ブルータス・マガジンハウス)」10月1日号のスターウォーズ特集にて、岡田斗司夫のインタビューが掲載されました。

 以下にそのインタビューのノーカット版を公開します。

 長いので、時間がある時に読んでね!

(取材:2011年8月31日(水)、インタビュアー:カンキチ) 

Q よろしくお願いします。メールで一番最初に申し込んだ時に、こちらの去年の本の特集で、井上英之先生、社会起業をやられている方ですが。

A この後井上先生と直でツイッターで連絡を取って、井上先生の慶応の講義に僕、ゲストで行きました。すごい楽しかった。

Q これがいわゆるNPOとかいろんな組織に応用出来るぐらいの教科書として、必ず入学生に読ませると言っていたんですね。なので、僕はこれを読んでいた時にすごく面白いなと思って、今回の『スター・ウォーズ』の特集の話を編集部からいただいた時にこれを思い付いて、で、タイトルが『特別講義・銀河征服の手法と実践』っていうことを思い立って申し込ませていただいたんですが。

 悪の皇帝の目的というのが、結局何だったんだろうかというところをですね。

A あれは民主主義革命です、皇帝は。中国支配っていうのがジェダイの復讐なんです。中国の人格者文明。古代中国の皇帝による人格者文明っていうのが、ジェダイが目指したことで、今の中国対アメリカというのが、ジェダイ対シスの戦いですね。シスは欲望を前提とした、つまり資本主義文明全般です。なので、最後皇帝、パルパティーンが皇帝になる、それはもうローマ帝国で、カエサルが皇帝になったのと全く同じ。正しい民主主義のあり方のプロセスなんですね。はい。

 だから、シスの皇帝っていうのを否定しちゃうと、アメリカの大統領制度を否定することになるんです。大統領制度というのは、皇帝制度を何とかリニューアルして、まずいところをどうやればいいのかと、分かったと。何か誰か一人の家族が、独裁者みたいな形で次々と代々継承されることさえ防いで、能力がやればいいんだと。だから、シスの暗黒卿っていうのは、自分の子どもに継がせるのではなく、能力があるダースベーダーを選んでいますよね、パルパティーンは。パルパティーン自体は自分の誰かに子どもを産ませて、それに後を継がせようとするのではなくて、血の継承ではなくて能力の継承。つまりこれは、アメリカの大統領型の最も有能な者が司令官になるべきだという考え方なんです。

 だから、その意味では『スター・ウォーズ』の映画の中では、パルパティーンのやった銀河皇帝というのは、悪というふうに描かれているのですが、実際問題あれは民主主義であり、それは何を反対して革命したのかというと、血の継承で出来ているあと人格者文明。つまり、貴族たちが政治とかを完全に独占している、それまでの銀河共和国システムですね。これはその、民衆に開放されていないわけです、政治のシステムとかが。王族とかがやっているわけですから。それに対するアメリカ的政治システムというのを導入しようとしたんですね。

 で、ただ『スター・ウォーズ』のⅣの時代になってくると、パルパティーンはですね、うまくそれが動かないのが分かってしまったから、議会まで解散しちゃった。だんだんうまくいかなくなってきた。何でうまくいかなくなってきたかというと、弟子であるダースベーダーが血の継承にこだわったからです。つまり、ルーク・スカイウォーカーを自分の弟子にしようとしたと。それによって我ら一家によって銀河を支配するのだと。それって言い換えれば、ヨーダが望んでいたフォースによる銀河支配と全く同じなんです。

 パルパティーンはフォースの暗黒面を使って銀河を支配しようとなんてしていないんです。彼はフォースの暗黒面っていうのを、政治の道具には使ったんですけれども、あくまでも銀河をしようとしたツールは何かというと、欲望の肯定なんです。ウォール街でゲッコーっていう経営者が言っているのと全く同じ、人々は欲望によって自由競争する。で、貿易などの価格差をなくすことによって、自由に人民が経済的に競争する。軍事的にも競争することによる活力を与えるというですね、完全に民主主義的なことを考えていた。そのあたりが何か面白いなと。

 ルーカスがどこまで考えていたかは置いておいて、スター・ウォーズで描かれている政治形態はそこですね。というかね、逆に言えば、ヨーダの失敗なんですね。スター・ウォーズをⅠからⅥまでやっていくのは。ヨーダって八〇〇歳でしょ。最後にシスが死んだのが一〇〇〇年前。実はヨーダには実戦経験がなかったんですね。あの映画の中ですごい頼りになると描かれているヨーダですが、ヨーダの歴史は失敗の歴史で次から次へ弟子に裏切られ続けるという。下手! 弟子育成が。まるで宮崎駿。本人は強いけど、弟子は全然駄目っていう。でも、最後まで駄目だと思っていた宮崎五郎が割と行けるやつだったっていう、ルーク、行けるじゃんっていう、まさかの展開。

Q なるほど。目的設定が今分かりました。

A パルパティーンの立場から見てみると、銀河の運営に明らかにロスがあるんですね。フォースなんていうものを頼りにしているから。ジェダイ騎士団っていうのが。だってジェダイ騎士団って、結構やっていることは腹黒いわけですよ。車座になって、誰をジェダイにするかも、何かそれはおまえのさじ加減一つや!みたいな話がやたら多くて。

 で、そのジェダイ評議会がすべて政治的に決めているのかというと、ジェダイ評議会と議会との間の認識差があると。あれは何かというと、軍部なんです。つまりで、ジェダイ評議会は最後、議会で決めたことを無視して、ジェダイが決めたことを優先しようとします。あれは軍部の独走なんです。だから、銀河をそれまでは何だかんだいってパルパティーンですら、議会政治っていうものを、暗躍っていうのは何かというとルールを守ろうとしているわけですね。ルールを守って議会政治を運営していたのに、ジェダイたちがですね、軍部による独裁を目指そうとしたので、パルパティーンはそれを防ぐためにという解釈も出来るわけですね。

 だから、本来で言えば、ヨーダたちの理想としては、フォースを持っているジェダイたちの賢人政治。それを望んでいたわけです。でもそうはならなかった。で、竹林の聖団みたいなもので、中国の賢人たちが政治と関係のないところ、竹林でこういうふうに世の中がなればいいのにと、こうあるべきだというふうなもの。

 で、それに対してジェダイたちが、政治と関係なく自分たちが行って、戦争に協力している。これは墨家思想ですね。墨子が唱えた、中国で徳がある人間というのは、同時に能力もあり武力もある、で。困っている国に行って助けて、そこで正義をまっとうするって墨家思想。だから、かなりルーカス自体は、古代中国に対する傾倒が深いと思うんです。それで政治というのを考えた。で、世の中がそのように乱れていく。

 で、その中で出てくるシスの暗黒卿っていうのがやっていることは何かというと、『三国志』の曹操のように、人間は能力によってランク付けして、自由競争による活性化。だから織田信長とか曹操のような存在が、シスの暗黒卿でありパルパティーンなんですね。それを悪役として書いた『三国志縁起』のようなものが『スター・ウォーズ』であると。こんなもんです。

Q なるほど。確かに能力があっても抑え付けられている若者がこっちに行っちゃうっていうのは、分かります。

A だから能力があれば、能力があるっていうのは何かというと、パルパティーンっていうのは欲望による能力なんですね。つまりホリエモン肯定なんです。そうじゃなくて、ジェダイ騎士団が考えたのは何かというと、欲望というのを持っているのはいけないことだと。そうではなくて、もっとバランスを考えてという、その中立中道的な人間になれという、その孔子の徳みたいなことを説いているわけです。

 そうでなければ、どんなに欲望を持っているやつも上に上がってこない。ということは、世の中がもう停滞するしかないんです。ジェダイがやっていることは、科学技術を抑えて、人間の欲望も抑えて、そして低生産・低成長の世の中。経済的な成長も出来るだけせずに。で、貿易なんかに関しては、出来るだけ障害というのを設けるという、大きい政府型なんです。で、その大きい政府型の干渉が強いものを、少人数の自分たちが選んだグループだけでやろうとしたところに、帝国運営上の無理が僕はあったと思うんです。

 もっと本来は、国家経営論になっていくんですが、あれはですね、惑星一つとか、せいぜいいくつかぐらいだったら出来るんですけど、巨大になった銀河帝国自体を運営していくには無理があったと思うんです。ただ、あの映画の中で語られていない一〇〇〇年前のフォースの黄金時代ですよね。に、どういう政治形態があったのか僕たちには分かるすべがないので、一〇〇〇年前にシスが死に絶えた一〇〇〇年前ということは、シスもいて、で、ヨーダたちの善のフォースの側もあった、大戦争がおそらく一〇〇〇年ぐらい前にあったはずなんです。その一番すごい時代を『スター・ウォーズ』は書いていないので。

Q 今、低生産の話が出ましたが、劇中ではクローンを生産することが分かって、いきなり量のものにジェダイが行きますね。あの辺はどういう転換があったんでしょう。

A 結局クローンを作っていたこと自体も、ジェダイ評議会の承認を得ていたかどうかはグレーなんですけど、あれジェダイの手の者がやっていたことですよね。それは最終的にどっちだったかあまり分からなくなっているんですが。つまりフォースがある人間たちを集めて、それによって銀河を何だろうな。運営すると言ってもいいですし、基本的にジェダイって軍部なんですね。軍部なのでどういうふうに武力を持つのか。

 で、これまではフォースが強いものを集めてきて、フォースが強いものを育てて、ジェダイ騎士としてやっていたんですが、これだけでは本当は惑星いくつかとかしか運営出来ないシステムなんです。それをどうやって全銀河にやるのかというと、それはもうある程度フォースというのに関係なく、ジェダイ騎士の思い通りになる兵隊というのを山ほど量産するのがいいと考えたわけですね。それがその、クローンたちを使った兵隊養成システムなんですが。

 もしあれが銀河皇帝の方が、パルパティーンが考えていたのだったら、パルパティーンの方はもっと産業っぽく考えているからロボットになるわけですね。ドロイド生産をやって、ドロイドたちによって何だろう。銀河の運営を任せちゃえばいいんじゃないかっていう、本当に工業生産みたいな考えになるんですが、ジェダイの方はそうは考えないですよね。もっと自分たちが管理出来る安全なものとしてクローンを考える。

 いやあ、本当にヨーダはあらゆるところで判断ミスをしていますから。一から三までの判断ミスの数はすごいですね。あれはパルパティーンより悪いことをしていますよね。ってなことを言いながらも、一番好きなキャラクターはって書いてあったじゃないですか。あれは僕、ヨーダなんです。『スター・ウォーズ』のⅤのヨーダなんですが。初めて会うところから、小さい家の中でルークと話し合うあたりのヨーダが一番かっこいいですよね。力も権力もなくなり、迫力だけはある。

Q 好きなシーンも伺いましょうか。

A 好きなシーンね。やっぱり一番好きなのって、『スター・ウォーズ』のⅣのですね、スターデストロイヤーが頭の上を通過するシーンです。もうこれは違う映画なんだと。ショックでしたね。つまり映画館で見たのが初めてなのがあれだし、テレビのCMとかでさんざん使われたんですが、やっぱ見た時にこれまでのSF映画と全く違うものが来たっていうショックがあった。

 で、同じようなショックが、これまたいろんな人が言っているでしょうけど、『スター・ウォーズ』Ⅳのタトゥイーンに沈む二重太陽のシーンですね。で、スターデストロイヤーが頭の上を通っていくというのは、『スター・ウォーズ』というのが絵として、ビジュアルとして全く新しい次元に進んでいったということなんです。これまでのSF映画の安物の作り方と違って、どうやればスペクタクルな画面が、まるで戦争映画みたいに作れるのかということでやった。

 だから、特撮技術ですよね。ビジュアルイメージの作り方がすごかったんですけど、あの二重太陽の沈むというのはですね、別に特撮技術は全然すごくないんです。本当にレトロなやつで、穴だらけの映像なんですが、ただイメージがすごかったんですよね。僕らが全く見知らぬ惑星のところに若者がいて、同じように大学に行きたいと言っているのに駄目だと。もう一年やれと言われたと。何回もそれ言われて、俺はずっと友達に追い抜かれていると。俺、こんな星で朽ちていくのかなっていうので見ている夕焼けっていうのは、何か世界中の若者が共感出来ることなんです。

 若者に限らず、誰でも挫折っていうのがあって、誰でも夕焼けの中で挫折をした思いっていうのはあるだろうから、それを二つの大洋というのは見ているだけで、全く別の世界にいる人間が、君と同じ悩みを持っているんだよというのが、一瞬で分かる世紀の名シーンだと思うんです。

 SF映画の世紀の名シーンって『二〇〇一年宇宙の旅』っていう映画の中で、猿が骨をやって、他の動物を殺して、その骨を投げると一瞬それが宇宙船になる。それが当時の米ソ・中国の原子力ミサイル、核ミサイルを積んだ原子力衛星なんですね。それが人類の武器の進化っていうのが一〇〇万年が一瞬でつながる世紀の名シーンって言われますが、同じ世紀の名シーンだったんですね。SF映画の世紀映画の歴史に残るぐらいの名シーン。だから、一番好きなシーンっていうのは、多分心情的には二重太陽が沈むシーンなんですが、映像的にはスターデストロイヤー。好きなキャラクターはヨーダ。それもⅣの正しいですね、フランク・オズが下でいじっているようなですね、マペットの。

Q 今、作り上げていくところまで伺って、本の中での第四章の作戦と武装というところまで伺いましたが。

A パルパティーンのうまいところは、結局パルパティーンって、シスの暗黒卿としてはですね、自分と弟子しかいないわけじゃないですか。で、二人でですね、ダースモールがいた時には何だろう。あれは何だっけ。アナキンに首を切られて殺されたドゥークー伯爵。ああいうのもいるにしてもですね、基本的にめっちゃ人数は少ないんです。ジェダイは二〇人ぐらいいるじゃないですか。

 それに比べて、パルパティーンの手持ちの駒の少なさよと。で、この手持ちの駒の少なさで、どうやって銀河帝国を作るのかっていう実践を見たら、もう面白いんですね。基本的に表として、どうやって議会の掌握をするのか。で、その議会の掌握というのも、彼は自分に協力した人間を後で次々と殺していくんですね。そうせざるを得ない。証拠を消していって、自分がどういう汚いやり方をやって、権力を掌握しているかを把握していくしかない。何でかというと、彼はルールを知っているからですね。ルールを知っていて、そのルール違反をしているのを知っているから、こうどんどん裏技を使わざる得なくなって、その裏技をやっている証拠を消していくと。いわゆる銀河の小沢一郎みたいな。手腕は抜群なんだけど、方法は褒められたものじゃないと。

 で、本来あの手法だったらですね、自分以外のものが皇帝になればいいわけです。キングメイカーになればいいんだけど、そこのところで何か出来ないと。やはり長年陰に人間なので。あと、最終的に表に出るためにこれまでずっと陰にいたんですが、陰の手法をずっと採りすぎていたんですね。なぜこんな話をするのかというと、何でパルパティーンが銀河皇帝にならざるを得なかったのかというのと、何で協力したものをすべて殺していくのかというのは、表裏一体のものなんです。本来、自分に協力した者を殺すのはばかがやることなんです。

 自分に協力したものっていうのは、同じ何だろうな。手法を採ったわけだから、仲間なわけですね。本来、こいつらとずっと取引している方が効率がいいはずなんです。だから、自分の部下を次々と、無能であるからとか、もしくはばれるからと言って殺すやつっていうのは、結局持っている軍団の力が上がらないわけです。最も有能な者で最もいい働きをした者を殺さなきゃいけないから、そんなことをやっていたら軍団の力は上がらないんですが。パルパティーンがもしずっとキングメイカーでいようと。つまり陰の存在でいようと思ったら、自分に協力してくれた貿易連盟なり何なりの人たちを殺さなくて済んだんです。で、ずっと俺たちは、裏で手を汚して、そして綺麗なイメージの銀河皇帝を次々歴代出していって支配しようだったら、パルパティーンの政策はかなりうまくいったと思うんです。でも彼はそう出来なかった。

 何でかというと、誰を擁立しても彼は信用出来ないからなんです。だから、あんな手法を採っていると、どんどん自分以外に信頼出来なくなってきて、自分と同じ手を汚した者しか信頼出来なくなってしまう。だから、アナキンを自分の弟子にして、じゃあおまえはこれからダースベーダーだって言ったのは何かというと、彼が自分の□□までを手に掛けて殺すようなことをしてしまったというところで、あと体が失われてしまって、手足が失われてしまって、引き返しが付かなくなったらようやく信じることが出来ると。それぐらいパルパティーンの人間不信は根強いわけです。これぐらいしないと。で、だからといってダースベーダーを自分の次に皇帝にするのも、Ⅳ、Ⅴ、Ⅵ見たら全然ないんです。彼、多分永遠に生きるつもりですよね、フォースとダークサイドの力で。

 だから、そのすごい人間不信でありながら、欲望を肯定しているさまというのは、そのパルパティーンのキャラクターとして面白いところなんですね。僕なんかが見たら、ジェダイよりはやっぱりパルパティーンの方が感情移入出来るんですね。パルパティーンがやろうとしているのは、手法においては間違っているけど、明らかに正義感で始めている。このままでは駄目だと。現に見てみろと。俺が議会掌握に乗り出すまでの銀河共和国っていうのは、年がら年中議会で議論ばかりやっていて、何も決まらないという状態だったと。でも、俺が出ていって議会掌握というのを強力にやったおかげで、ようやっと銀河じゅうの交流が盛んになり、物流が盛んになりということになったと。だから俺は銀河皇帝になるんだって、明らかに正義感でなっていったと。

 ところが、『スター・ウォーズ』Ⅳ、Ⅴ、Ⅵで描かれている世界というのは、銀河皇帝が銀河を支配して、議会を解散させて、それまであった通常の兵力ですね。志願兵制度か傭兵制度か分からないですが、それらをすべてやめて、すべてクローン兵による体制にしたら、文明がどんどん落ちていってしまったと。すべての出てくる機械が全く進歩しなくなってくる。『スター・ウォーズ』のⅣ、Ⅴ、Ⅵに出てくる機械というのはすべて古びていて、かつての栄光の時代から科学技術が進歩しなくなったことを示している。

 で、ライトセーバーを見たものも、作れる人がどんどん減ってきて、ドロイドの性能も上がらない。で、新兵器として作ったデススターですらも、三〇年前に設計図が出来たものをもう一回作っているだけで、そのから先新しい機械がなんと。パルパティーンがやったのは、自分が皇帝になった瞬間に、徳川家康の江戸幕府みたいなもののあらゆる技術の進化とかを止めるところになったと。欲望肯定で始まったはずが、欲望を肯定するのはお互いに殺し合うことを肯定するだけで、それによる進歩というのを止めてしまった。なぜ進歩を止めたのか。進歩するものが出てくれば、パルパティーン以上の能力を得るものが出てきて、そうすると銀河皇帝が変わっちゃからですね。

 つまり、権力の座に一生懸命登っている時のパルパティーンっていうのは、力は正義だと。だから俺より優れているやつがいれば、俺と戦えばいいっていうぐらい思っていたわけです。だからヨーダと一騎打ちもするわけです。でも、一度皇帝の座に就いちゃったパルパティーンっていうのは、それを守りたいために銀座全体の進歩というのを止めてしまって、結局得た富をもう一回砂の惑星で、ちょっとはポッドレースとか位置があったのが、更に退化してしまったわけです。ルークが生まれ育ってきた惑星タトゥイーンというのは、更に経済的にも駄目になってしまった。

 だから、パルパティーンがやった革命ですね。銀河を資本主義の世界にしよう。つまり人格政治の、古代中国のような統治者が人格者であって、そして分かっている者ですね。人格的に優れた者が相談していって、銀河を運営しよう。で、問題があることはとことん話し合って決めようという議会政治だったものに対して、パルパティーンはそれでは駄目だと。欲望を肯定して、経済というのを導入して、資本主義というのをいろんなところで入れていって、お互いが競争していって、力がある者が勝つ。それがジェダイに駄目だって言われたフォースの暗黒面ですね。欲望の肯定というのは競争力の肯定ですから。

 そうやって銀河を運営していったはずなのに、いつの間にかパルパティーンが、自分が皇帝でい続けることに執着してしまって、自分の肯定の座を脅かす者をすべて防ぐという、江戸幕府に、徳川家康が江戸幕府でやったようなことですね。それまでの技術の進歩というのをもう止めて、すべて幕府に対する登録制にしろみたいなことでブレーキを掛けてしまった。その結果、鎖国の世の中みたいなものが銀河全体になってきてしまって、いろんな星の経済が、惑星タトゥイーンで見て分かるように徐々に劣化していくんですね。これが『スター・ウォーズ』全体でやったパルパティーンの栄光と挫折の物語。




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