岡田 理想から見た、そうですね。理想同士は憎み合っちゃうので。理想から見た注目は、あこがれの的なんです。自分の信念で動くから、やっぱり基本的には人から理解されないと思うので、そこから見ると、注目の明るい感じとか社交的な感じというのは、自分にない部分に思えるんです。つい自分の師匠としても選びがちなんです。
理想は、同じ理想を師匠にするときというのは、信念の問題で、自分と相いれない部分があるんですけれども、注目には信念なんてからっきしないですから、その分、自分の理想像を投影しやすいんです。つまり、芸術家が案外アイドルを嫁にする法則というやつです。
加藤 そこをよく解釈して。
岡田 よく解釈して。おれの理想はこの人に違いないといって、女優とかアイドルみたいな、空っぽの人が好きなの。あれはいかに相手の、どんな相手の見え方に対しても対応できるようにできるだけ空っぽするのが仕事ですから。
加藤 なるほど。
岡田 なので、憧れやすいですけれども、相手はわりと空っぽですから、気をつけてくださいと。
加藤 気をつけてください。(笑)
岡田 はい。
加藤 こいつの期待にはこたえてくれないことも、大いにある。
岡田 そうです。
加藤 恋愛なんかでも。
岡田 司令型はさっき言ったように、全然わからないはわからないんですけれども、ただし、すごく不得意としている損得関係でやってくれるので、長くつき合うとほんとにいいことが生まれてくるから、長い関係を目指すのがいいです。
理想から見た法則型は、何に関しても本気にならない。腹の底が見えない。魂がない。
加藤 覇気がないというか。
岡田 覇気がないとかですね。
加藤 やる気はないのかという。もっと熱くなれと。
岡田 本気というのがないんです。だから一番よくわからない生き物なんですけれども、そこら辺、もっと本気出せよとかというと、辛そうな顔をしながらついてきますから。本気があるふりをしながらついてきますから。
加藤 そうか、ふりぐらいします。ああ、そうですね。
岡田 注目型から見た注目型同士というのは、お互い感情的だから、お互い、好き好き好きとか、すぐ盛り上がるんです。注目型のタイプって、ほうっておいたらすぐに恋愛関係になって、すぐに飽きて別れるんですけれども。盛り上がりやすいけれども、別れやすい。飽きっぽいんですね。温度が上がりやすく下がりやすい、油みたいなものですね。そこを気をつけるくらいですね。だから、すごく仲よくなったからといって、注目型同士はルームメートになってはいけません。盛り上がりやすい。
注目型から見た司令型というのは、頼りになる。兄貴だったり、姉貴だったりするんです。何かすぐにその人を頼ってしまう。注目型にとっては、人から見てどうかというのばかり考えちゃうから、その中でちゃんと価値とか利益というのをつかんでいく人たちというのが、社会性があって頼りになりそうに見えるんですよ。だからアイドルがプロデューサーを頼るみたいなものですね。頼りになるようになる。だから、適当に自分のことを利用してもらうのがほんとに、いいはいいんですね。
加藤 あ、いいわけですね。
岡田 はい。ところが、その司令型というのは、自分にとって勝ち目があるからつき合ってる……、何ていえばいいのかな。司令型からしたら、注目型のやりたいことを酌んでくれているんじゃなくて、この方法だったらおまえ、売れるよと言ってるだけなんですね。
なので、法則型のほうが、実は長期的には役に立つ。というのは、あなたがほんとにやりたいことは何なのかというのを、向こうが考えてくれるからです。何でそんなことを考えるのかって、ほんとにやりたいことが年がら年中、だだ漏れ状態だから。
じゃあ、あんたのパターンを読んだ。あんたってこうでしょうと。法則型は、自分から自分は全くわからないんです。だだ漏れじゃないから。でも、注目型のだだ漏れを見たら、めっちゃよくわかるから。他人の家の家計がよくわかる。自分は家計簿つけてないけど、こんなに無駄使いしていたら、ばかでもわかるよってぐらいわかるので。だから長期的な友人関係とか、そういうのに向いている。
理想型のほうは、ちょっとつき合いの下手な人は、自分に対しておずおずと寄ってくるので、基本的にはほかの人を紹介してあげればいいです。その人の世界を広げてあげるようにしてあげれば、その人たちは、理想は幸せになる。以上が……。
加藤 ずっとくっついてあげなくても、ずっと面倒見なくてもいいってことですね。
岡田 それをやると、うっとうしくなりますね。これは、それぞれのタイプから見たほかのタイプへの対処法。
加藤 わかりました。それで、それぞれのタイプを読者にわかりやすく伝えるために、デフォルメして、四コマ漫画にしたいなと思っているんですが、例えば考えたシチュエーションが、だれかから怒られたとき、職場のようなところで。どう反応するかというので、それぞれの性格がぱっとあらわせるかなと、ちょっと仮定してみたんですが。
例えば、みんながいるようなところで怒られた。そのとき、司令型はどうするか。
岡田 負けを認めない。
加藤 負けを認めない。
岡田 はい。
加藤 「私の何が悪いんですか」って言う。
岡田 「何が悪いんですか」なんていう勝ち目がない戦いはしないです。何が悪いんですかって言ったら、悪いところを言われちゃうから。
加藤 ああ、そうか。認めない。
岡田 まず、そんな問題はなかったふりをする。例えばお客様からクレームが来たっていったら、それはそのお客様が間違っているとか、それはオペレーションセンターの人が聞き間違えたんじゃないかとか、極めてその問題はなかったことにする。
加藤 だれかが悪い。自分以外のだれかが悪いと。
岡田 はい。
加藤 間違っているのは他人。
岡田 はい。
加藤 なるほど。それで周りは唖然としても、それを通す。
岡田 はい。
加藤 はい。わかりました。じゃあ理想型は、クレームが来たらどうするんでしょうか。
岡田 理想型は、クレームが来たら、どっちかですね。クレームが来た自分をすごく責めるか、クレームした相手、言った相手を死ぬほど憎むか、どちらかですね。
加藤 死ぬほど憎む。これが上司であっても同じことですよね。
岡田 同じですね。上司は、自分を理解してくれない上司っていうのは、死んだほうがいい上司ですから。
加藤 えー。(笑)そんなこと言ったら、この人は職場を点々として……。
岡田 だから、理想型からいえば、理想型が煮詰まってくれば、世の中に神と死ぬべきやつと、二種類しかいないんです。
加藤 じゃあ気持ちよく働く場所とか、ないじゃないですか。
岡田 なくなりがちになりますね。
加藤 孤立するといいますか。
岡田 しがちになります。それは煮詰まって人ですけれども。
加藤 死ぬか神。なるほど。
じゃあ注目型は、しかられたりクレーム来たら。
岡田 大声で叫びますね。それは泣く場合もあるし、笑い飛ばす場合もあるし。とりあえずリアクションが大きくなる。
加藤 周りが「どうしたの、どうしたの」って言って。
岡田 言ってくれないと、嫌ですね。だから、周りが「どうしたの」って言ってくれたら、たとえ怒られても大丈夫。
加藤 それはそれでうれしいと。
岡田 うれしい。
加藤 注目を集めて。で、ごめんなさいって助けてもらいながら、それはそれで、みんなが、周りの人が迷惑だと思いながら残業を手伝ってくれたら、それはそれで幸せなことなんですか。
岡田 幸せ。法則型は、クレームがついたら原因究明だけ考えます。ほんとうに怒られるべきかどうなのか、何があったのかというのを考えますね。
島田 理想は上司を憎むか、何でしたっけ。
加藤 憎むか、自分のせいだと責めるか。
島田 そこをどうしましょう。この……。
加藤 両方でいいんじゃないかな。
島田 両方。ああ。
加藤 うん。両方ある、両極端にぶれるみたいな感じで。だから、漫画の場合も、こうなのか、こうなのかみたいな、オーバーな。
島田 二通りに分かれる。で、一つはこうで、もう一つはこうで。その極端さが理想型であるみたいな。
加藤 うん。
岡田 どんぴしゃ同じ時間で 。
加藤 原因究明をすると。
岡田 原因究明しますね。だから、何でしょうね。ちょっと何を聞かれてるかよく僕も理解できないんですけれども、怒られた場合の対処法というふうにおっしゃいましたけれども。
加藤 対処法といいますか、怒られたときの反応で、この人たちのタイプがはっきりわかるデフォルメのあるもので。
岡田 なるほどね。はいはい。じゃあ、そうですね、はい。
島田 反応だけ、いろいろ。
岡田 反応だけでいえば、それです、はい。
加藤 なので、法則型はつまり、感情的に歯向かったりはしないってことですよね。
岡田 歯向かったりはしないですね。はい。
加藤 悔しいとか、そういうことで。
岡田 理不尽だったら、理不尽であるってことをずっと言いますけれども。
加藤 悲しいとか悔しいじゃないですよね。
岡田 ないです。納得できないとも言いますけれども、そうじゃないです。
加藤 はい。そして、これ、それぞれのタイプに有名人の例を挙げてみたいなと思っておりまして、しかも、歴史上といいますか、みんなが知っていて……。
岡田 それがね、何か僕が知っている人があんまりいないのが問題で。はい。
加藤 例えばで、清少納言なんかは法則かなと思ったんですが。
岡田 さあ。だって、文献しか残っていないですから。
加藤 そうか。歴史上はそうですね。
岡田 そうですね。だから、生きていて、ある程度、キャラクターがいじくれるんだったら、わかるんですけども。
島田 なるほど。
加藤 そうか。どうするか。