近所に「本気度の高そうなラーメン屋」があった。
塩ラーメン専門で、お店も看板が小さくてメニューもなく、出すのは塩ラーメン一品だけ。
「勝負してます!」って感じの店だった。
でも、客が入ってるの見たことがない。
昼でも夜でもガラガラ。
どうなるんだろ?と思ってた。
ある日、カラフルなテントが店の前に張ってあった。
店長の巨大な顔写真がカラー写真で拡大されているテント。
でかでかと「TVチャンピオン優勝者の店!こだわりの塩ひとすじ!職人の技が光る・・・」とか書いてあった。
でも、相変わらず店内に客の人影はない。
こだわりの、職人の、チャンピオンの店長が一人でカウンターに向かっていた。
それまでは「いつかこの店、入ろうかな?」と思っていた僕は、なんだか入りづらくなっていた。
理想や夢を次々と妥協している人を見るのは、なんだかこっちも辛い。
でも同時に、「この店、どんだけ不味いねん?」と思ったことも事実。
数ヶ月後、そのラーメン屋の入り口にメニューが張り出されていた。
塩ラーメン
味噌ラーメン
とんこつラーメン
餃子
・・・ちょっと待て。
「こだわりの塩ひとすじ!」はどうなった?
さらに数ヶ月後、入り口のメニューはさらに賑やかになった。
「ランチ定食、はじめました」
(明日に続く)