FREEexなう。

2011年03月24日

2011年3月掲載・毎日新聞「異論反論」 テレビ消し、仕事に戻ろう

ツイッターでこんなつぶやきを見た。

自衛隊の彼氏が事故のあった原発に行く。「大丈夫?」とメールした。返事が来た。
「大丈夫。大丈夫にする」

どうしようもなく心が動かされた。我々の世界はこういう「現場」の支えでできているんだ。

今回の大震災について、被害は大きく分けて4つある。
1次災害…地震や津波
2次災害…原発事故やインフラ破壊
3次災害…社会不安
4次災害…モンスター化する我々

1次災害は防げない。被害を小さくするために準備することはできるけど、基本的に人間は関与できない。
2次災害は「担当者に任せる」しかできない。彼らをいま追い詰めて責任を追及するより、事態の解決だけに専念させよう。
しかし,実は災害で最も被害の大きいのは1次2次ではなく3次4次だ。それは天災でもなく、権力者やメディアの怠慢でもない。我々自身が起こしたり防いだりできることだ。

会社や仕事場でテレビを見るのはやめよう。心配で不安でも、子どもやお年寄りを不安がらせてどうする?1秒でも早く不測の事態を知ったからと言って、全員がそれで行動すると暴動が起きる。被害が結果として増えるだけだ。ニュースは一日3回程度チェックするだけで充分。

買いだめはしない。「念のために」と店を覗きに行かない。店に人がいっぱいいるのを見ると、人は不安になる。みんなお互いの行動を見て不安になったり安心したりする。あなたの自制は社会の不安を減らす。

北関東は危ない、とか東京から逃げよう、とか不安を加速させているのはメディアだけではない。みんなのために、と「説明しろ!」「ニュースを見ろ!」「もうダメだ!」と叫び声をあげるのはやめよう。我々自身が災害の原因になってモンスター化してはいけない。

災害の近くでもちゃんと定食屋を開けている主人がいる。定時運行を心がけている鉄道マンたちがいる。だからみんな「あ、やっぱり大丈夫なんだ」と少しだけ安心できる。この「小さな安心」がムダな社会不安を減らし3次4次災害を減らす。

だから、ちゃんと仕事しよう。必要とされている現場から逃げずに職務を全うしよう。テレビを消して仕事に戻ろう。
でないと、我々には最初に紹介した「自衛隊の彼氏」に感動する資格すらなくしてしまう。

現場で頑張るのは、彼も私たちも一緒だ。いまこそ、誰もがヒーローになれるとき、なるべき時なのだ。


近況
おかだ・としお 評論家。1958年生まれ。これまでの著作や講演映像をネットで無料公開中。評価経済の実践として全ての印税やギャラの受け取りを断って仕事してます。詳細は
http://otaking-ex.jp/
twitterは@ToshioOkada




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