4つのタイプは、あなたの心にある「根元的な欲求」の偏りによる分類です。
この4つの欲求と、個人が持っている才能に関しては、何の関係もありません。
芸術家タイプだから絵が上手いとか、学者タイプだから学校の成績がいいといった法則も、一切ないのです。
ですから、自分は○○の才能があるから、○○になるといった単純な考えはマチガイです。才能ではなく、自分の欲求が満足する職業を選ぶべきです。
もし偶然、自分の能力と欲求を一致させることができれば、その人は幸せですね。自分の才能が発揮できる職業を選び、それが欲求の満足にもつながるのですから。
が、なかなかそうは問屋が卸さないのが現実です。
例えば、軍人タイプで絵が上手い人は、絵描きになって、出世階段を駈け登れれば一番いい。
批評家からより高い評価を得、号いくらという値段が、ライバルより早く上がることを励みにすればいいわけです。
ところが、芸術界で出世をめざすなんて、タブーです。批評家は「絵には魂の叫びが必要だ」などと抜かしたりします。
もちろん、あなたの卓越した技術で「魂の叫びっぽい絵」を描けば問題は何もありません。
しかし、イジワルな批評家の目がごまかせそうにないなら、もっと稼げる別の業界に転職を考えましょう。
イラストやマンガ業界など、絵の才能を生かせるジャンルは他にいっぱいあります。
「自分は『芸術家』なんだから、もっと魂の叫びがなければ」とか、ありもしない欲求を自分の心の中に探しても無駄なことです。いたずらに自分を不幸にするだけです。
座禅を組んで人間を磨こうとしたり、自分の中身を作ろうとしても仕方ありません。
軍人タイプのあなた、あなたの心の大部分は、いつも外を向いてきました。というのも、あなたの幸せが外側にあることを知っていたからです。
それなのに、いきなり内側を見てもからっぽなのは当たり前ですね。オレは出世しか考えられないダメな奴だ、などと悩む必要もありません。
軍人タイプというのは、自分の好みしか考えられないエゴイスト野郎なのですから、おあいこなんですよ。
反対に、職人タイプで話術が巧みな人は、営業マンになることも悪いことではありません。
自分の巧みな話術で、きちんと納得して貰ってから契約を取ってくるのがあなたのやり方だとすれば、それを貫くのはあなたの喜びになるでしょう。
ところが、会社側があなたにノルマを課して、とにかくどんなやり方でもいいから、1件でも多くの契約を取ってこい、と言いだしたら、あなたは不幸にならざるを得ません。
自分のやり方はだめなんだろうか、と悩んでも仕方ありません。
それは、あなたのやり方がダメなのではなく、会社があなたに要求する欲求と、あなたの持っている欲求が食い違っているだけなのです。
それを、どうせオレはだめな人間だとか、もっと向上心を持たねばとか考えて、わざわざ不幸になっても仕方ありません。
第一、あなたが断腸の思いであなたのやり方をまげ、たとえ取扱高が会社でトップになったとしても、喜ぶのは会社だけ。肝心のあなた自身はちっとも嬉しくない筈です。
それを心の底で知っているからこそ、あなたはそんなに契約件数にこだわれないのです。
学者タイプの人が管理職になり、いきなり部下達に「好かれる上司、良い上司」になろうとするのもムチャです。
学者タイプの欲求を生かして、どの仕事をどの順番で誰にさせるか、といった方面での管理能力を発揮できれば問題ありません。
が、学者タイプのあなたがしたくもないのに、部下を飲みに誘ったり、人生相談に乗ったりしても無駄でしょう。人気はあがらず、懐は寂しくなり、帰る時間は遅くなる。
しかも、自分はこんなに努力しているのに、部下の信頼をあまり得られない、と不幸な気分で一杯になること請け合いです。
王様タイプの人が、大学教授をめざす時も、注意が必要です。
まだ助教授だというのに、テレビになんか出演すると、それだけで睨まれます。
学者というのは、本来、そういうすぐ目立つような派手なことを好むべきではないというわけです。
そこで、派手な行為を慎んで、学問に没頭しようとしても、不幸になるだけです。
それよりも、流行っている学派に鞍替えしたり、ハッタリの効いた論文を書いたり、学会での発表の仕方をいかに派手にするかを考えた方が、よほど励みになるのが王様タイプです。
いかがでしょうか?
このように、不幸とは「自分はこんな人間であらねば」と努力する方向が間違っている為、努力しても努力しても幸せになれないところからやってきます。
どんなに努力して成果が上がっても、あなたは嬉しくないので、こんな無駄なことはありません。
ちゃんと自分の欲求の方向がわかっていれば、その方向に努力を集中することが可能です。
そういう「欲求とシンクロした努力」は、ちょっとがんばれば、すぐに喜びが発生して、それを原動力に又がんばりたくなる。そういう「正のフィードバック」が発生するのです。
ところが、方向の間違った努力の場合は、やってもやっても嬉しくないので、努力を続ける事自体がとても難しい。
それでも心の表面では、がんばらねばと思っているため、自分はがんばれないダメなヤツという、余計な自己嫌悪までしょい込むことになってしまいます。
こんな不幸のルーチン、「負のフィードバック」は、さっさと断ち切ってしまうことが大切です。
その為には、今のあなたのタイプを正確に判断し、その欲求を肯定し、生きるエネルギーにすることです。
そうして初めて、あなたは自分で納得できる人生を歩むことが出来るでしょう。