FREEexなう。

2010年03月13日

岡田斗司夫「FREE」インタビュー(週刊ダイヤモンド)その4

その3)からの続き

Q.これらのネットメディアが発達することによって、プロが供給者側で、アマチュアが消費者側という図式が成り立たなくなっている事例が、様々な業界において多く見られます。例えばiPhoneアプリがそうで、コンテンツ制作には企業というよりむしろアマチュアの個人たちが参入している。レコード会社に所属せずにツイッターやUstreamを使いこなして、飯を食っているミュージシャンがいる。そうすると、レコード会社やコンテンツプロバイダーといった、既存のプロと呼ばれていた企業は、とくに情報コンテンツを供給してきた企業というのは、どのような影響を受けるとお考えですか。

情報産業って言われる企業は、今までほとんどが、情報の仲介業者だったんですね。
ネットの世界っていうのは、実に簡単な仕掛けでできていて、中間業者が維持できない仕掛け、つまり発信者と受信者を直接結びつけちゃうのがネットの本質なんですね。


発信者と受信者といっても、どこまでが発信者でどこまでが受信者というのは限らないんです。
例えば出版業界で言うと、昔は著者から読者の間に、編集者がいて、出版社があって、印刷会社があって、取次があって、書店があったと。
で、さらにこの書店から読者までの間には「書評」という新聞があって、いろんなものがあって最終的に読者に届いたわけですね。で、この距離がどんどんゼロに近づく。
ところがゼロには絶対にならない。


まず、アマゾンが上陸して何がどうなるのかというと、出版社は相変わらず存在するわけですね。
で、取次と書店の影が薄くなると。じゃあその分、何が大きくなるのかというと、アマゾンの中にある書評とか、もしくは書評系のブログというのを参考にするようになった。
だから新しいビジネス形態として、書評系のブログで飯を食う人が現れた。
アマゾンという、簡単に本を選べるメディアができたために、書店と流通とが寂れて、その代わり書評ブログという、それまで考えられなかった産業が大きくなった。
出版社の方は、まあ影響は受けるんだけれども、まだそこまで大きい影響は受けていない。
これがアマゾンが上陸して起きたことなんです。


で、キンドルとかネット配信の何が衝撃かというと、次の段階として、出版社や編集者に対する脅かしなんですね。
でも、相変わらずやっぱり著者と読者を直に結ぶことはしないんですよ。
この間に「何か」が入って、その「何か」が新しく伸びていって、で既存の産業が脅かされるというのがネット世界の考え方なんです。


だからこれ、全て同じです。
音楽にしても放送にしても雑誌にしても新聞にしても、全部同じです。
僕が思うに、絶対に著者、コンテンツのメーカーと、消費者をダイレクトに結ぶという形はほとんど、やっぱりこれからもあり得ない。
相変わらずあるのは、これをネットで効率よく結ぶ線ができて、その新しいルートができる度に、いわゆる高速道路が出来るだけなんですね。
だから地道にそれまでやっていたショップは寂れてしまうのは当たり前なんですよ。
地道なショップはなくなるのかといったら、そうではなくて、その高速道路を通らない人もいれば、高速道路を嫌う人もいる。
だから、これからも出版社とか新聞社とか本屋というのはなくならないんですよ。
一方で、高速道路がそこにできると、インターチェンジという「儲け場所」ができる。それが書評ブログであったり、オンラインで本を出版しましょうというフリー編集者であったりするわけですね。
こういう産業とか、新しい金儲けの場所ができるだけなんです。高速道路が通ることをみんな覚悟しよう笑。


Q.あまりに分かりやすいんですけど笑。

今一瞬で考えたんだけどな笑。


その5)に続く




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