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2010年10月26日

[悩みのるつぼ]女を捨てたくないんです

女を捨てたくないんです 2009/10/24 朝日新聞 朝刊

●相談者 主婦 50代
どうしてこうシワやたるみに連日悩まされるのでしょう。
還暦前の女性です。鏡を凝視できなくなりました。60歳近くなれば老け肌も老け顔も当たり前ですが、異性から若く見られたい、10歳くらいは若々しくいたいのです。
白髪ならごまかせますが、顔や首となると……。同世代の友人は顔面の肉付きがよく、弾力があるのでシワも目立たずたるみも軽いのですが、私は顔がやせていて、皮が自然に重力の法則で垂れます。鼻から口元へのほうれい線までくっきり出始めたのでショックを隠せません。
テレビ通販で目を引いたアンチエイジングのコラーゲンやヒアルロン酸入り、コンドロイチン含有化粧品を救世主と飛びつき、1日2回マッサージ。家族の笑いぐさとなっても、これが最後の手段と、寝る際、粘着テープをほおに張ってたるみを持ち上げようとしました。が、すべてダメ。一時しのぎに過ぎず努力は水の泡と消えました。
リフトアップ整形も考えましたが、いまひとつの勇気と多額の費用がありません。メスを使わないプチ整形も、小心で慎重派の私には失敗が怖いのです。「その年でまだ男性を意識してるの?」と、友人たちは言いそうですが、女を捨てたくはありません。女にとって美は永遠の課題。私は切羽詰まっています。的確な肌対策、また若返り法があれば教えてください。

○回答者 岡田斗司夫
「的確な肌対策、また若返り法のアドバイス」ですか。
回答の範囲指定までされてしまっては、逃げるわけにはいきませんね。
もちろんあなたは「見た目にこだわらなくても」などの世間的助言は求めてないでしょう。「女を捨てたくはありません。美は永遠の課題」とまで言い切るその気合に押されました。
しかたない。私が思うところを正直にお答えします。
結論から言います。整形手術したほうがいいですよ。でないと気が治まらないでしょう?
薬品や施術で少しばかり若返っても、きっと数年後にはまた同じ悩みの繰り返しです。
だからと言って「老いを受け入れるのもイヤ」なんですよね? じゃあ手術しかないです。
「勇気と多額の経費がありません」「小心で慎重派の私は施術の失敗が怖い」
駄々をこねてはダメです。得るためには、なにかをあきらめるしかありません。入試を突破するには、遊び時間を減らして勉強時間を増やすしかないのと同じ道理です。
なんとかお金を工面し、自分の恐怖心をなだめて、整形手術しましょう。と、ここで回答を終えてもいいのですが、私の話を聞いてください。
私は独自のダイエット法で一年で50キログラム、体重を落としました。そのとき、出版社の企画で、ある大物整形外科の先生と対談しました。
対談中、何度も「アンチエイジングは人類の夢です。岡田さん、整形して若返りましょう!」と勧められましたが、ちょっと考えて断りました。
手術代はタダという条件だったので、経費が問題ではなかったし、手術が怖かったのでもありません。整形手術に抵抗や偏見もありません。
「美しく見せるために工夫する」という意味では、私のやったダイエットも、女性の化粧も、整形手術も本質的にかわりはないからです。
本質は同じだからこそ、あとは本人の好みと美意識だけです。
私は「手術してまで若く見せたい」と思う自分を、自分で好きになれなかった。だから断りました。
あなたはいかがでしょう? 手術の翌日や翌年、10年後の自分も好きになれますか?
だったら、おやりになるべきだと思います。




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