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2010年11月29日

週刊朝日12/10号 ワイド特集インタビュー ノーカット版

去る11月17日、11月29日に発売された週刊朝日のワイド特集向けに、岡田斗司夫へのインタビューが行われました。

10月半ば、2ちゃんねるを中心としたネット上の有志が、中国語における「日本鬼子(リーベングイズ)」という日本人に対する蔑称を、萌えキャラに転化するという現象が起きました。あっと間に1000を超える画像が画像SNSのpixivなどに投稿され、それを見た中国人が困惑してしまったことも話題になりました。

この現象を岡田斗司夫はどのように見たのか。週刊朝日で「中国の罵声は“萌え”ではね返せ 岡田斗司夫の『オタク国防論』」と題された記事のインタビューの一部始終をお届けします。

参考:
■日本鬼子って萌えキャラ作って中国人を萌え萌えにしてやろうぜ まとめ@wiki
http://www16.atwiki.jp/hinomotooniko/

■「オタク文化はレアメタルより大きいリソース」

週刊朝日 日中関係が尖閣諸島沖の衝突事件などでゴタゴタしている中で、中国人が日本人を差別的に呼ぶときに使う「日本鬼子(リーベングイズ)」という蔑称に対して、(日本の)有志が「日本鬼子(ひのもとおにこ)」というキャラを作って(画像SNSのpixivに)1500点を超える画像を上げている事態になっています。

岡田 これが日本人だけじゃなければもっと面白かったんだけどね。

週刊朝日 外国人もあるかもしれませんね。

岡田 調べたら韓国人が上げたものとかもあったら凄い面白いよね。

週刊朝日 本当ですね。彼らの反応も面白いものがあって、中国人も「今回ばかりは負けた気がする」「まさか公開されるとは思っていなかった」といった反応が、現象として面白かったというのがこの企画の趣旨です。

日中関係がゴタゴタしている中で、ユーモアで返すというか、差別的・攻撃的な発言に対して、オタクの方の発想が面白いなと思いまして、これについてどのように思われているか、アニメなどとは別にこうしたことに対する興味・関心が強いんだなと前から思っていまして。それは一体何故なのか。

まずお聞きしたいのは、これに対して率直にどう思われたのでしょうか。

岡田 うまいと思いましたね。それはユーモアのある返しだからではなくて、最も効果がある戦略だからですね。

1995年にOTAKONという、アメリカのオタク関連のイベントに三泊四日で招待されたんですね。そのときのことは週刊AERAに執筆しています。そこで夜中に集まりがあって結構突っ込んだ話やしんみりした話をしたんですね。

向こうの軍人とか、エリート官僚にも結構オタクの人がいて、その人が話していたのが、米海兵隊のパイロットの一人が「僕は愛国心はあるし、何か命令があったら絶対なんだけど、日本ともし戦争があった場合、自分の国境を爆撃しろと言うのと同じように、日本を爆撃できない。何故なら僕はアメリカ人なんだけど、同じように、オタクでもあるから」と。彼には国籍が二つ(アメリカとオタク)あったんですよ。

asahi1これは僕ら日本人が持っている文化的な資産だと思うんですね。レアメタルよりよっぽど大きいリソースです。よその国の国民一人ひとりがこれだけ強い忠誠心を持ってくれているんだから、もっと利用すればいい。今回の日本鬼子の件で何故、中国人が「これだったら日本のことは嫌いになれないや」と思ったかというと、それまでさんざん日本の漫画やアニメを彼らが見ていたんですね。これだけのベースがあるからなんです。

これを資源と考えるとして、どうするかですね。もし、今までそうした資源が今全くなかったら、あの絵を見せられても「何だこれは、何だこの変な絵は」となる。中国の昔の絵を見たら、「もっと素敵じゃないか」、と言ったはずなんですよ。

そうでなくて、日本の漫画やアニメがさんざん流れた結果、彼らはそれに対して好きになって、結果的に日本に対して嫌いになれなくなってしまった。デモや政治運動をしているとついつい、日本人や日本政府、目に見えないものに対して憎しみを向けることができる。けど、「俺たちが好きなものを作ってくれた人たちなんだ」と思ったら憎めるはずがないんです。

だから戦略としてはすごく有効で、多分まともに外交するよりも、防衛費を増やすよりも、よほど有効。

■日本の強みは「エロとテクノロジーの融合」にあり

週刊朝日 一番効果的な外交戦略、と。

岡田 はい。アメリカが(第二次世界大戦後)日本を占領して最初にやったのが、映画の解禁ですね。つまりハリウッド映画を大量に見せることでアメリカ的な価値観や民主主義のすばらしさを宣伝するのではなく、勝手に好きにさせた。戦後日本人がアメリカに対するあこがれを持ったおかげでこれだけ日本人はアメリカびいきになわけですよ。

何故それと同じことができないのか。外交問題が起こるたびに、外務省の官僚や政治家は何をしているといっても、あんな奴らに何をやってもダメなのは50年間分かっているのに、これ以上金や人手をかけても仕方がないですよ。適当に二流、三流大学を卒業した奴らに官僚と政治家は任せればいいんです。

週刊朝日 (苦笑)なるほど。(日本の)アダルトビデオなども最近はアジアで受けていて、差別的な見方をする人もいるのかもしれませんが…

岡田 いやいや、差別的ではなく、日本はそれしかないんですよ。昔から。ゴヤとかゴッホに影響を与えたのも浮世絵ですよね。日本はエロとテクノロジーしかないんです。海外で通用するものは。

エロとテクノロジーが合体したものがアニメであり、ゲームであると。自動車があるじゃないか、携帯電話があるじゃないか、というけど、それはテクノロジー。エロとテクノロジー以外のものは僕らは持っていないんです。それをうまく融合させるといいんですけど、テクノロジーだけだったら弱いんですね。それはあっという間に安い物や希少資源を押さえられていることで諸外国、あるいは生産拠点が人件費が安い国に簡単にひっくり返されてしまう。

週刊朝日 現に起こっていることですね。

岡田 でもエロとテクノロジーを結びつければ、日本人はかなり強い。それも300年前から強い。

週刊朝日 もの凄い数の日本鬼子のイラストが上がっているんですけど、イラストのレベルはどうなんでしょう?

asahi3岡田 レベルは普通。そんなにうまい人がいない代わりに、あっという間に1500のイラストが集まるのが日本人の基礎力の凄さなんですよ。これを人口が10倍ある中国でやっても、あれだけクオリティの高い絵が1500も集まらないんですよ。それが日本の優位点ですね。

評論家の夏目房之助さんがおっしゃっているんですけど、日本のマンガ産業の強さは、コンテンツを作る能力ではなく、読者の質というんですが、マンガを読んだりマネをしたり学校で描いたりする人の質・レベルが高く、人数が多いことなんです。これも資源なんですね。いざ今回のような事件が起こったらネットで政治的に敏感な人たちが描くだけでも1500点あれくらいのクオリティの絵が集まってしまうんです。

あの絵はうまくもなければ下手でもないけど、十分に商業的に通用するレベルだし、多分中国や韓国に持っていったら、商業誌の表紙を飾れるレベルの絵がいくらでもあるんですよ。それくらい基礎力が強いのが日本の強みです。

週刊朝日 他の国だとこうはいかない、と?

岡田 無理です。他の国だったらすごいお金をかけて、一流作家を説き伏せて、マイケル・ジャクソンが「We Are the World」を制作したときのように、キャンペーンを張らないとあんなことはできないです。日本は民間で、三日くらいあればあれだけ出てきてしまう。

週刊朝日 しかもどこかで大きく報じたわけでもなく、2ちゃんねるでちょっと始まっただけ。

岡田 それを誰も名前も出さず、匿名でどんどん出してしまう。すごい国ですよ。

週刊朝日 それこそ日本の最大の資源だと。

岡田 よく「都市鉱山」というじゃないですか。日本にはレアメタルはないけど、都会のゴミのなかにあるというのと同じように、僕らが持っているものは論文数が少ないとか特許数が少ないとかではなく、実は「マンガが好き」とか「アニメが好き」とか、民間の中に埋もれている未発見の民間資産がこれだけある。それを外交に使えばここまで効果的な手を打てる。

これと同じようなことを中国の人たちが日本に対して持っている反感を、通常の外交や防衛手段で下げようと思ったら、一体いくらかかったか。多分1000億円では済まないですよ。

■「もしドラ」と「ヘタリア」を輸出産業に

週刊朝日 そんなにお金かけてもできるかどうかですよね。今回の仮タイトルの一つが「オタクは世界を救うのか」なのですが、それを冗談ではなく、大まじめに考えてみたいと思うんですけど。他に、たとえば国が関与してもいいんですけど、日本の資産を生かして世界平和に寄与するといった手法はあるんでしょうか?

岡田 現在ベストセラーになっている「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら(もしドラ)」。あれ、表紙が萌え絵になっています。今度NHKでアニメになります。あれも日本の加工産業だと思うんです。つまり昭和型の加工産業は原材料を輸入して、工業製品にして輸出する。もしドラはなにかというと、ピーター・ドラッカーのマネジメント論という原材料を輸入して、萌えアニメに加工して輸出してるんです。

そうすると、本来ドラッカーを読まないといけないんだけど、読めないと思っていた世界中の「美少女戦士セーラームーン」「ポケットモンスター」「機動戦士ガンダム」が好きだったかつての少年少女たちが今(課長などの)マネジメントクラスなんです。その人たちがドラッカーに触れることができる。

それは日本のオタク産業が持っている力だと思うんです。知的な意味での加工生産業です。世界中の考え方や価値観を、優秀なものを輸入して、萌えとかオタク的なソフトに変換して輸出する。

週刊朝日 それは凄い発信力を持っているわけですよね。

岡田 「もしドラ」の原作の単行本の出版担当者が僕の単行本の担当でもあったので、どこでアニメ化すればいいのか、と聞かれたときに、「絶対これはビジネスマンに向けろ」という話にしたんですね。それで(NHKの)BSマンガ夜話のプロデューサーを紹介して、コンビを組んでもらったんですけど、民放の深夜枠でアニメにするんだったらともかく、NHKということで躊躇があったんですね。

マンガ夜話やアニメ夜話でずっと出ていた岡田さんの推薦だから読んでみますということになって。僕の方が一生懸命、これは輸出産業として考えてくれと言ったんですね。つまり、ドラッカーを読みたい、読まなければいけないビジネスマンの卵が世界中にいて、彼らの入門書としてのアニメという風に考えれば、ただ単に日本のオタク向けのアニメではなくて、世界のかつてオタクと呼ばれて、今ビジネスマンになりつつある人たちに対しての作品になる。

こういうのが一つ作られると、同じようにできるものが山ほどあるはずなんです。それは世界的な思想でも、日本的な思想でもいいんですが、マネジメント論でもいいんですが、それを萌えのほうに変換する。

asahi4もう一つは「ヘタリア」。世界の国をキャラ化した作品ですが、あれも輸出すればいいんじゃないか。シェアワールドというんですけど、著作権を解放していってやればいいのではないかと。現在ヘタリアは作者が描いているヘタリアと、ファンが描いているヘタリアが同時に出版されているんですね。作者が描いたのは「御本家」と呼ばれているんです。

これを全世界に広げちゃえばいいんじゃないかと。つまり日本は何か言いたいことがあったら、ヘタリアという文脈で全世界の国を萌えキャラにするんです。中国はツンデレで親戚には甘いとか、アメリカは体が大きくて、兄弟が全部肌の色が違う、家族のサラダボウルとか。お互い言いたいことがあるんだけど言えない、みたいなドラマを国ごとに作ってしまえば、言いたいことがそれぞれの国に通じるんじゃないか。国家の政治の真面目な折衝レベルではなくて、国民感情レベルでこれを作ればいいんじゃないか。ドイツが何か言われて、ムカっときたら、日本に反論するヘタリアを作ればいい。

僕らはそれらに対する著作権などを「じゃ、君たち使っていいよ」とオープンに放棄して、それはヘタリアの作者から買い上げるのでもいいし、新しいキャラクターデザインやってもいいんです。それぞれの国で萌えキャラを作るのは難しいと思うんですよ。だから、イタリアとかスペインとかから発注があるたびに、日本では1500人とか2000人くらいが一斉にそれぞれの国民が納得するようなヘタリアのキャラを作ってあげればいいんです。ボランティアで。それぞれの国家予算を使うなり、それぞれの国でスポンサーを集めてアニメを作って、世界中にタダで配信すればいい。

そうすればそれぞれの国が、自分たちの国は何がしたいのか、どこを分かって欲しいのか――「最近アメリカこんなことを言ってるから悪者にされつつあるけれど、そんなんじゃないんだよ」ということをドラマと感情とキャラクターで表現すればいい。というのが僕が考えるオタク産業を防衛産業として使うと同時に世界平和として使う方法です。

一方向で自分の国だけを守ろうとする防衛産業にしちゃうとただ単に日本が孤立化するだけなんですね。そうではなくて、僕らが持っている、キャラクターを作るという能力を世界に輸出すればいいんです。無料で。

週刊朝日 無料というところが大きいんですか。有料じゃダメなんですか?

岡田 有料で一億円かけて雇うよりも、無料でやってくれる1500人のほうがいいものをさっさと作ってくれると思いますよ。有料で優秀な人を雇っていい物を作ろうと言うのが古いんですよ。それよりは、「スペインの公式キャラを作って~」って言って10億人くらいに呼びかけた方が絶対にいいものが手っ取り早く集まる。有料だったら原著作者に対して権利交渉をしなければいけないし、使い方も相談しなければならない。それだと国際競争に負けてしまう。

(10秒程度間を置いて)

岡田 と言うのがきっと週刊朝日では全部載らないだろうなぁ、と僕らは思ってるんですよ。で、きっと、岡田はここまで話したのに、こんな風に編集されたと2ちゃんねるに書かれるから、頑張ってね。

■「オタク」から「理屈民族」に

週刊朝日 (苦笑)それでもう一つ、最初にも話したんですが、そうしたオタクの方が政治や経済について、ネット右翼みたいな人たちもそうだと思うんですけど、ネット右翼になるということはそれだけ政治や国際的なことに興味・関心があって発信したいんだというのがあるんだと思うんですけど、そういうのは何ででしょう。

岡田 それはオタクの人たちはオタクである以前に、理屈民族だからです。僕たちは理屈が好きなんですよ。理屈通らないことがイヤなんですね。今回の問題点は何で中国があんなことになるのか、というのが腑に落ちなくてイヤだと。で次に、中国の人たちに、こんな萌え絵を見せたら納得してくれるんだろうか、とか怒りが収まるんだということを実験したみたいな感じでうれしい、と。

オタクというのは趣味がたまたまアニメとかマンガの中の美少女に向いているから世間からオタクと見られるのではなく、実は社会の中にいる理屈好きの人たちの一つの現れにしか過ぎない。多分一般社会の中で理屈民族って声が小さいんですね。みんな理屈っぽくて嫌われるから。特にネットで発言するような人たちは弁が立つ人が多い。つまり、理屈民族が多いんです。

だから最近僕は「オタク」って言ってないですね。オタクっていう割り方をしちゃえば、秋葉原で「萌え~」って言ってる人という意味になっちゃうので。もっとそれより大きいカテゴリーとして、「理屈民族」っていうのがいるんだよな、って風に考えています。

週刊朝日 でも会社の名前やサイトは「オタキング」ですが…

岡田 それは何ででしょうね。一度そういう風にでっち上げてしまったからですよね。

週刊朝日 理屈が通らないことがイヤだから、理屈でものを考えるからこそ、ああいった理屈が通らないことに対して声高に言いたくなると。

岡田 はい。誰かを責めるときに絶対に感情論であっても、理屈っぽく語っちゃうんですね。だから政治運動している人たちが若い人が運動にこないというのはそういう人たちに目を付けていないからだと思います。

週刊朝日 若い人には確実にそういう層がいて…

岡田 そんな中で理屈っぽいんだけど友達から理屈っぽいと言われて、そういう部分を隠している人がいっぱいいるんです。かつて自分のオタク趣味を隠していたのと同じように、自分が理屈っぽいことを隠している人が一杯いると。

週刊朝日 なるほど。

■余談:日本ファンを増やすには

(10秒ほど間を置いて)

週刊朝日 お聞きしたいことは大体お聞きできたかと。ものすごくシャープにお話しされるので…早いですね。本当に今回のはすごく格好いいというか、発想が面白いと思ったんですよね。

岡田 僕は気持ちいいなと思いました。いいとこ決まった感じがして。

週刊朝日 こういう発想でもっと色々なことを取り組んでもいいんじゃないかと思って…

岡田 でもね、外務省の文化局とかが5年くらい前に日本文化の何を発信しよう、「最近は私たちも小津・黒澤ではいけないと分かってきたので、マンガをやろうと思うんです」と言ってくるんですよ。で、何とかやろうとするのがやっぱり手塚とかあとは日本漫画家協会の偉い人の作品なんですよ。そんなもの今更見せてもしょうがないんだけど。

そんな中で、日本には恥ずかしい美少女マンガみたいな文化があるけど、それは隠していく、って言うんです。それは世界中で叩かれるから。「バカ野郎、それが世界中で求めているものだよ」と。世界中でそういう物に対していけないと言っているからこそ、日本がガラパゴス化する利点がそこにあるのに、何でそこをワールドスタンダードにして自分たちの長所を殺そうとするんだ、と僕は思っちゃうんですよね。

週刊朝日 海外ではやっぱりそういう萌え的なマンガやアニメと、ストーリー性や社会的な意味を持たせたマンガやアニメがあると思うんですけど、どっちが広まっているかといえば…

asahi2岡田 まず、海外ではマンガというものの評価自体が低いんですよ。ヨーロッパではバンド・デシネといってアート系のマンガの評価はある程度高いんですけど、それは絵画とかと同じような、芸術性としての高さであって、僕らみたいに日常生活で山ほど読んで、山ほど消費できるような豊富なものじゃないんですね。

日本のマンガとかアニメが流れていくと、ファンが徐々につくんですけど、それは年齢層が下の人からなっていくので、今の40代、50代の人はまだそれで育っていない。ようやっと昔の「マジンガーZ」や「科学忍者隊ガッチャマン」を見ていた世代が40代半ばに達してきて、いわゆる海外でのオタク第1世代は40代くらいになってきて、日本の層の厚さとはまだ全然違う。現在海外で日本のオタク文化に接している人たちは日本人が描く女の子はカワイイと思っている人たちと、そうでなくて、ゲームがかっこいいとか、日本のアイドル文化とかサブカルチャーとして楽しんでいる人たちと、層は分かれています。

週刊朝日 文科省の人たちはおそらくそうした一昔前の重厚な感じがする芸術的なマンガを発信しようとしたんでしょうけどそれでもいいのでしょうか?

岡田 それはあまり効果がなくて、一番いいのは今日本でオンエアしている、過去15年のテレビアニメをそれぞれの国の放送局で格安でオンエアさせるのが一番いいですね。それを浴びるように流せば、洗脳完了。

週刊朝日 (笑)今でもそういう一部のアニメとか流されていますが…。

岡田 でも海外で権利取りやすいものばかりだから、結局同じ物の繰り返しになっちゃうんですよ。それよりは今日本で流れている物をどんどん流しちゃうのがいいと思います。

週刊朝日 実際最近は外国人のオタクみたいな人が日本に来てアニメ歌手になったりとか、若い世代の人たちが日本に対してあこがれのようなものを持ってきている人が出てきていますよね。そういうのがもっと進めば…。

岡田 昔だったら海外の人でちょっと知的な人が日本へ来て、まず行きたがるのは京都だったり、浅草だったりしたんですけど、今はもう何をおいてもアキバって言いますから、彼らにとっても世界で一番刺激的な場所の一つなんです。世界中のどこへ行ってもあんな街ないですから…。

週刊朝日 そうですよね…。

岡田 世界中どこへ行ってもあんな街がないって言うのはそんなにないんですよ。ラスベガスとかウィーンとか、世界中で限られているんです、そんなの。そのうちの一つを持ってるという強みをもっと自覚した方がいいですよ。でもこれ自覚すると石原慎太郎が変なこと考えそうだ。週刊朝日では石原慎太郎が見えないところにこっそり書いてください。

週刊朝日 海外のオタク人口というのは確実に増えているんですか?

岡田 増えています。もの凄く増えています。

週刊朝日 でも一方でマンガやアニメに対する評価って低いんですよね。それはまだ上の方の世代がそういう価値観を持っているから…

岡田 はい。あと、なんでしょう、東アジア以外は子供に基本的にお小遣いを与えないので、子供たちが自分のお金で自分の好きな物を買えないんですね。日本みたいにオタクが爆発的に増えないんですね、子供の中である数以上。

週刊朝日 ああ、なるほど。

岡田 11歳とか12歳くらいのオタクとしてちょっといい感じで上り坂で上がっていける頃って、、日本だったら子供でもお小遣いの1000円や2000円を持っているじゃないですか。でもアメリカではお小遣いはあげなくて、子供が欲しい物があったら親に言って、親が買う。親の検閲を通るわけです。だからオタクが本格的には発生しないんです。なので、図書館とか無料で見られるところで大量にオタク文化を与える(ほうがいい)。

週刊朝日 そうしてオタク文化を大量に…

岡田 (そのように)やっていけば、日本が好きな人、日本ファンが民間で増えれば、そんなに防衛とか交渉に気を遣わなくても大丈夫。親日家が増えれば増えるほど得。

週刊朝日 なるほど。それこそそのうち今の若いオタクが20年、30年後に政府の高官とかになったりして、そういう立場になったりしたらまた違うかもしれないですね。

岡田 それは役に立たないから。やめたほうがいい (笑)

週刊朝日 役に立ちませんか?

岡田 家に帰ってアニメを見る方が好きですから(笑)

週刊朝日 なるほど。(笑)

岡田 そういう大局的な物の見方をしなくてもいいのかな。僕は政府高官はあまり数がいらないって考えているから、ここらへんの話はややこしくなるからいいです。

週刊朝日 分かりました。どうもお忙しい中ありがとうございました。

**************スタッフクレジット*****************

代々木のアニキ(プロデューサー、テキスト起こし、写真、サイト公開担当)




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