FREEexなう。

2010年06月04日

メイキング・オブ・2010年6月掲載「異論反論」

毎日新聞のオピニオン面「異論反論」に月イチで原稿を書いている。
4人の識者が持ち回りという、なんだかこのシステムってどの新聞社も同じだよね(笑)

今回、僕に振られたお題は「サイトやtwitterの選挙活動は解禁すべきか?」。
しかしオマヌケなことに原稿を書くより先に、事実上解禁されてしまったんだよね。

というわけで、「twitterに限らずネット全般」「選挙に限らず政治全般」で論を書くことになった。
書き上げたのが以下の文章だ。

*************異論反論・開始***********

ネットの選挙利用について、ようやっと合意が出た。
「外国に比べて遅れている」とか、そういうつまんないことを言うのはやめよう。
これは「ネットによって政治が変わってしまう」ほんの第一歩に過ぎないから。
ネットは政治をどう変えてしまうか?
視野を高く、見晴らしよく眺めてみよう。

ネット界最強の書評家・小飼弾氏によると、世界最大の検索サイトGoogle本社では”機械政府”という研究が進行している。
検索エンジンであらゆるブログやメール、携帯の会話から「民意をマーケティング」し、それを基準に政策や行政を自動装置化してしまおう、という壮大な計画らしい。

無茶に聞こえる?
いや、民意のマーケティング手段として、選挙よりも検索エンジンが劣っている、とは誰も言えないはずだ。
米国ではすでに医者や弁護士・司法書士の仕事をネットが負担しつつある。今や税金申告や簡単な病気診断はネットで済ませてる人も多いだろう。
前例踏襲や事務処理が大部分のお役所仕事ってどっちかというと「人間には向いていない・IT化に向いてる」仕事なんだよね。関係者は絶体に認めないだろうけど。

もちろん機械だけにまかせるわけにはいかない。
でも現在の政治や行政・司法に関わる人間の99%は整理され、経費つまり国家予算も激減するだろう。
21世紀の後半、倒産せずに生き残れる国家とはIT化、すなわち「政治家や官僚・法律家の大量リストラに成功」した国家だけになるに違いない。
大幅に減量した政府と、マスコミという批判装置、市民ネットという監視装置の新三院制が国家運営を分担する。
思い切ってこれぐらいシステム変更を目指すのが真の「政治改革」だ。今よりずっと安上がりで効率良くなるだろうしね。

「政治には、血肉の通った人間の熱い魂が必要」
わかるんだけど本当かなぁ?
明治以来、百年以上この国では「今の政治家はダメだ。だからこの候補を」という叫びが選挙のたびに響いた。で、百年以上も「今の政治家はダメ。だから次は私が」という再チャレンジが続いている。
結果は?
今年の選挙も同じパターンだ。つまり「政治を良くしよう」というムーブメントではこれ以上の改善効率化は望めないんだ。
有能な人でも清貧の人でも若い人でも、百年間ず~っとダメだったんだから、やり方を根本的に考え直した方がいいよ。

いずれ政治や行政はGoogleなどITシステムの波に呑まれて超スリム化する。
リストラされた政治家や役人たちは、そして僕たちはどう生きていけばいいのだろう?
それこそGoogleが教えてくれない「人間の仕事」だ。
そっちを考えようよ。
*************異論反論・終了***********

以前から僕の持論は「ネットはホワイトカラーを大量に失業させてしまう」だ。
これに「ホワイトカラーが現在もっとも多く生息してリストラの嵐に遭っていないのは、司法立法行政という政府組織だ」という当たり前の知識を足すと、上のような見解になる。

産業革命は第一次産業労働者を、大量に工場へと連れ去った。
そして情報革命の初期である20世紀の後半、工場労働者(ブルーカラー)は大量に事務職(ホワイトカラー)へと職を移した。
しかし現在のネット革命では、失業したホワイトカラーの受け皿はどこにもない。運のいいほんの一握りの「ネット成功者」たちが持てはやされるだけだ。
大部分のホワイトカラーたちは「徐々に小さくなる労働というパイ」に気づきながらも、大きく動く先が見えない。
僕なりの仮説は「ビジネスという概念は終わった」だけど、それはまたいずれ。とりあえず言えるのは、近い将来、労働は義務ではなく「権利」になるだろう、ということ。

話が流れた。政治に戻そうか。
今の政治は無駄に人数だけを使っている。
在日米軍基地をどこにするかなんて、実は選択肢は思い切り少ないわけじゃない?つまり「誰が決めても結論は似たようなもの」なんだ。
だったら、あそこまで手間とコストをかけて検討する必要が本当にあるんだろうか?

これからは政治は斜陽産業だと思う。
夏の選挙の前哨戦が始まった。またもや「こんな素晴らしい人がまだ在野にいた。ぜひ政治に参加を」というキャンペーンがこれからもあふれるだろう。
でも、そのアプローチばっかしと言うのは間違ってないかなぁ?

さすがに新聞にはそこまでは書けなかったので、ここだけでつぶやいておきます。




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