昨年のキーワード「フリー」に続いて、今年注目を集めているのが「シェア」、互いの持っているものを分かち合おう、という世界的なムーブメントだ。フリーもシェアも、この経済社会が曲がり角に来ている、と告げている。
たとえば食べログなどのグルメサイト。経済社会の原則では、消費者は「より安い店」を求めているはずだ。でも実際は、利用者はまず評判のいい店を探し、次に価格を調べる。満足するとサイトに投稿され、その「評価」が次の客を呼ぶ。
ネット書店・アマゾンでは、新書だけでなく古書も扱っている。検索すると価格別に、安いものだと1円から表示される。ではユーザーは、いつも1円や5円の最安値を買うのか?違う。「そこそこ安い価格」で「評判が最も良い売り手」を選ぶ。「評価」が低い売り手は最安値をつけても敬遠される。
いまや価格よりも「評価」が重視され、ビジネスは動いているのだ。
その価格自体もフリー、すなわち無料または製造原価に近づいている。メールソフトはグーグルの無料ソフト。人気のある映画は必ずテレビで無料放送される。今の世界、本当に人気のあるモノほどフリーで提供される。
やっと売れたモノすらもシェア、つまり共有財として使われる。車大国の米国では自家用車のシェア利用が大ヒット。日本でも若者の間でシェアハウスが大流行だ。
つまり、モノはどんどん売れなくなり、売れても利幅はどんどん少なくなる。ようやく売れたモノやサービスも、所有や体験した人が、みんなに体験談やそれ自身をシェアすることで「評価」を得る。得られた「評価」がいまや一番の財産なのだ。
いま、僕たちが迎えようとしているのは、このような脱・貨幣経済社会であり、新しい「評価経済社会」だ。
「評価」がまるで貨幣のように社会を循環し、「評価資本」の多い人や会社に人材や投資が集まる。「評価」が高い人は手持ちのカネが少なくても起業や就職に有利で、カネがあっても「評価」が低いと何をするにも高くつく。
これまで「評価」は比較対象の方法がなく、評価軸もひと次第、つまり「人の評判などアテにならない」だった。しかしハイパー情報時代のいま、集合知というフィルターで「評価」は貨幣以上の通貨になりつつある。
カネが無意味になる、というユートピアを語っているのではない。あらゆる「評価」が数値化され、まるでカネのように社会にあふれ、すべてが「評価」で決まってしまう。「評価」さえあれば、カネなど勝手に集まるけど、カネがあっても「評価」がなければ損をし続ける社会。
そんな新しい「評価経済社会」がやって来る。